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在宅勤務でイライラをため込みがちな夫婦に知ってほしい選択肢

プレジデントオンライン / 2020年4月7日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

新型コロナウイルス対策で在宅勤務を導入する企業が増えた。夫婦が顔を合わせる時間が長くなるが、イライラしないコツはあるのか。教育コンサルタントの嶋津良智氏は、「相手に違和感を覚えたら、『8割スルー、2割話し合い』のバランスがいい」という——。

※本稿は、嶋津良智『なぜ、突然妻はキレるのか?』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■相手に感じた「違和感」に対してどうするか

二人でいると「心の枠」は二つになります。「心の枠」とは、価値観、自分なりの常識、想定、期待、思惑などです。相手の言葉、態度、反応、行動が、自分の心の枠のなかに入れば、つまり、共感できれば、「そうだよね」「その通りだよね」と共感できます。でも、相手の言葉や態度、反応、行動が枠の外に返ってくると、「え? なんで?」「それおかしくない?」と違和感を覚えます。

違和感を感じているうちに、互いの幸せに関係する部分は必ず、すみやかに擦り合わせる必要があります。たとえば夫婦間のトラブルの原因として、お金の使い方は大きなテーマです。

全国20〜60代の既婚男女686名に「夫婦ゲンカの原因」について複数回答で実施した調査結果によると、夫婦ゲンカの原因の第1位は「お金(27.8%)」でした(しらべぇ編集部、2017年11月実施)。

お金の使い方は幸せに関係します。擦り合わせがうまくいかないときは、別離に向かう可能性もあります。立て続けに相談なしで大きな買い物をしたり、貯蓄に回す分まで使っていたり、ギャンブルに入れ込んだりすると問題です。

■まずは相手の言い分を必ず聞く

こういうときは自分の不快感を伝えるとよいでしょう。最初にやってほしいのは、「盗人にも三分の理を認める」ことです。悪いと感じることでも、その行為をする人には必ず理由があります。納得できるかどうかは別として、必ず理由があるので、まずそれを聞きます。「どうしてそうしたのか、考えを聞かせてもらっていい?」お金の使い方について夫婦の考え方を確認するのが目的で、不満を相手にぶつける必要はありません。だから冷静に聞きます。

こうすることで、あなたのイライラが相手に伝染したり、イライラが怒りへと発展するのを避けられます。もし聞いた理由が理解できないなら、どうしてほしいかを伝え、決め事をつくります。たとえば、「5万円以上の買い物をするときは、一言言う」などです。

ただし、決め事をつくるのは相手も納得してくれたときだけです。文句を言いながらでも、合意したうえで決め事をつくります。そうしないと、次のイライラや怒りを生む種をつくってしまいます。

私は結婚した当初は、給料をすべて妻に渡していました。しばらくして妻に「貯金はいくらあるの?」と聞いたら「あまりない」と言われました。決して無駄遣いしているわけではないのですが、積極的にお金を貯めていないこともわかりました。そこで何度か話し合い、私が貯める係、妻が大事に使う係になることを提案しました。

■お互い経済的に自立していれば擦り合わせ不要のケースも

さらには家計のお金の入れ方についても話をしました。私は月によって収入が違います。収入に応じて家に入れるお金が増えたり減ったりするのと、毎月一定の金額を家に入れるのとどちらがいいかを聞きました。妻が後者を選びました。

ただし、お金の話は、二人の働き方によって変化します。かつての男は外で働き、女は家庭を守るという時代は終わり、現在は共働きのカップルのほうが多くなっています。共働き家庭で、お互いに同じくらいの収入があると、お金が共有の幸せにならないケースがあります。「共通の財布」であれば価値観を合わせたほうがよいですが、お互いに自立している場合は、擦り合わせなくてもよいケースもあります。

私は6年間シンガポールに住んでいました。シンガポールでは男性も女性も自立していて、男性が女性におごるという感覚があまりありません。女性と食事をして「ごちそうしますよ」と言うと、当たり前のように「割り勘にしましょう」と言われます。

さらにお互いいくら稼いでいるか知らない夫婦も結構いました。日本でも女性が外で働くことが一般的になってきた現在では、お金に対する考え方が変わってきたように思います。数十年前の「男は外で稼ぐもの」「オレが稼いでいるのだから」という価値観は古いものになっています。

■擦り合わせられない価値観はどうすればいいのか

なかには擦り合わせられない価値観があります。そのために別れてしまうカップルもいます。思想・信条、宗教観、政治観などです。

擦り合わせられない価値観は事前に知っておくことが重要です。たとえば、私の友人にある宗教の熱心な信者がいました。宗教に関係ない人と恋愛関係にあったこともありますが、結婚相手は同じ宗教の信者と決めていました。

そこまで重要なものでなければ、受け入れるか、一時的に「追放する」という方法があります。私は、かつては家具やインテリアについて自分なりの好みがありました。自分の好みを開示し、妻と意見が違うときは話し合っていました。しかし、いまは受容しています。妻のほうが家にいる時間が長いので好きにすればいいと思っています。多少の違和感はあっても、受け入れると決めています。二人で選びにいっても「私はこっちがいいけど」と開示することはありますが、最終的には任せています。

■「8割スルー、2割話し合い」がイライラしないコツ

男女の間に生まれるイライラやムカムカへの対処法は、大きく分けると二つです。「え?」と思った違和感に対し、

①「こだわらない」と決めてスルーすること(つまり「追放する」、です)
②「こだわる」と決めて時間をかけて話し合うこと

価値観の違う二人なので、お互いの考え方や行動に違和感はあって当たり前です。さらに忘れてはならないのは、違和感をもっているのはあなただけではありません。相手も必ず違和感を抱いていて、時々それを口に出したり、黙ってスルーしたりします。あなたが「なんでそんなことを?」と思うようなことを、「じっくり話し合いたい」と言われることもあります。違和感はお互い様なのです。

基本的には、二人の幸せにつながることは擦り合わせます。「こだわる」ことには時間をかけ、「こだわらない」ことはなるべくスルーします。割合としては「8割スルー、2割話し合い」が私の感覚であり、イライラしないコツです。

たとえば、夫は妻に朝起きて食事をつくってほしいと思っていました。しかし、妻はギリギリまで寝ていて、自分の身支度を整え、出社してしまいます。夫はイライラしていました。でも妻は悪気があるわけではなく、夫のイライラには気づいていません。まず夫がすることは「いまのままでいい」(こだわらない)のか「起きて食事をつくってほしい」(こだわる)のかを決めることです。

こだわらないならそのままスルーし、朝食は自分でつくる、コンビニで買う、ファストフードを食べるなど別の解決策を実行します。こだわるのであれば、まずは自分の気持ちを伝えます。理解してもらえるか、実行してもらえるかはわかりませんが、まずは気持ちを開示します。

でも、それを受け入れて、やるかやらないかを決めるのは奥さんです。やらないからといって、怒ったり不満を述べたりするのは筋違いです。やってほしいなら、まず、気持ちを伝え続けることです。それと同時に、やってほしいことを奥さん自ら「やりたい」、あるいは「やらなくては」と思ってもらうために、自分に何ができるかを考え、環境をマネジメントしていきます。

■「こだわらない」と決めるだけで楽になる

こだわるか、こだわらないかを決めるだけでずいぶん楽になります。実際には、多くの人がこだわらなくてもいい些細なことでイライラしているものです。私の知人に、妻の料理の味付け、掃除の仕方、洗濯物のたたみ方などが自分のやり方と違うからと、いちいち妻に対してイライラしている人がいます。よくよく聞いてみると彼は、自分の母親と妻のやり方を比べて、いちいち「違う」と感じてイラだっているのです。

嶋津良智『なぜ、突然妻はキレるのか?』(フォレスト出版)
嶋津良智『なぜ、突然妻はキレるのか?』(フォレスト出版)

母親の影響でできた心の枠に、妻のやり方が入らないことがイライラの原因です。別の女性は、夫の食事の仕方や、服を脱ぎ散らかしたり、片付けをしないことなどにイライラしています。それが自分のやり方と違うからです。

それらが二人の人生に大切かどうかを一度考えてみるとよいでしょう。大切ならこだわります。そうでないなら、こだわる必要はありません。たくさんのこだわりを抱えていると、考えることが増えます。うまくいかないことも増えます。イライラが少しずつ増えていきます。イライラがイライラを呼ぶ、イライラが別のイライラを大きくするという「イライラの相乗効果」によって、ストレスまみれになることもあります。

そこで不要なものを見極め、勇気をもって捨てます。そのとき「まあ、いっか」「○○にはこだわらない」と思って自分の心にピリオドを打ちます。とても簡単なことですが、するとしないとでは大違いです。どんどん捨てたり、やめたりすることによって、本当に大切なものだけが残ります。気にしないという選択肢をもつと、イライラから解き放たれます。

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嶋津 良智(しまづ・よしのり)
教育コンサルタント
日本リーダーズ学会代表理事。リーダーズアカデミー学長。1965年、東京都生まれ。日本唯一の上司学コンサルタントとして、講演・企業研修・コンサルティングを行う。著書に『怒らない技術』(フォレスト新書)や『だから、部下がついてこない!』(日本実業出版社)など。

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(教育コンサルタント 嶋津 良智)

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