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「バカだな」が蔑みに聞こえる人は、とにかく寝たほうがいい

プレジデントオンライン / 2020年4月9日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yacobchuk

イライラする気持ちを鎮めるのにはどうすればいいのか。教育コンサルタントの嶋津良智氏は、「脳が疲れていると、なにを言われても怒りが湧いてきてしまう。イライラを抑えるには、寝るのが一番いい」という——。

※本稿は、嶋津良智『なぜ、突然妻はキレるのか?』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■自分の感情は自分で選べる

『夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル/みすず書房)という本があります。精神科医であり心理学者である著者が、ナチス強制収容所での実体験をもとに考察したものですが、この本のなかに次のような一節が登場します。

「あらゆるものを奪われた人間に残されたたった一つのもの、それは、与えられた運命に対して自分の態度を選ぶ自由、自分のあり方を決める自由である」

これは、どんな極限状態にあっても、自分の感情をどう表現するかは自分自身で決めることができるということです。イライラやムカムカは、相手に与えられたものではなく、自分で選んでイライラ、ムカムカしているのです。

たとえばAさんに、間違いを指摘されてイライラしたとします。でも、同じことをBさんにされても、イライラしなかったというような経験があるでしょう。ですが、別の日にBさんに同じことを言われたら、今度はキレてしまうかもしれません。

これはあなた自身が自分で感情を選んでいるということです。相手によって感情を選んでいるのです。たとえば、新婚当時はラブラブだったのに、いまでは顔を合わせれば怒鳴り合うようになってしまった夫婦がいます。これも決して、「相手のせいで怒鳴った」わけではありません。自分が相手を怒鳴ろうという明確な意思決定のもとに行動を起こしているのです。他人のせいにして自分を正当化してはいけません。それは逃げているだけです。

■「イライラ」のうちの8割は不必要

イライラやムカムカなどの「ネガティブな感情」をゼロにすることはできません。しかし、日々襲ってくるネガティブな感情によいも悪いもありませんし、ネガティブな感情をもっていない人もいません。

喜怒哀楽という感情があるように、ネガティブな感情は、むしろ、使い方によっては人が成長する原動力になるような人間が生きていくうえで非常に大切な感情の一つです。でも、その表現方法には「よい」「悪い」があって、それを決めているのはあなた自身だということです。

私は「イライラ」「ムカムカ」のうちの8割は不必要なものだと考えています。この8割の不要な感情の乱れは少しずつ減らしていきます。そして必要な2割の感情については正しく表に出していくようにすることで、感情をマネジメントできるのです。

よく、怒りたい時に怒らないとストレスが溜まるのではないかという質問をいただきます。それは、怒ることとストレスの相関関係を誤解しているのです。

なぜストレスが溜まるのかと言えば、伝えるべきことを伝えていないからです。それがストレスとなり、またイライラの元になるという悪循環を引き起こす。ある意味、妻の一言にムカッときて「バカヤロー」と言い返したところでなんの問題解決にもなりませんし、あなたの本当の気持ちは伝わっていません。目的は、本当の思いを伝えて行動を変えるところにあります。

■誰もがマイルールをもっている

では、なぜ人は感情が乱されるのでしょうか。それはあなたの「心の枠」が原因です。枠とは「価値観」「自分なりの常識」「固定観念」「想定」「期待」「思惑」などです。心の枠の数や大きさは人それぞれになります。たくさんもっている人もいれば少ない人もいます。一つ一つの大きさも小さい人もいれば、大きな人もいます。

日常生活を送っていると、心のなかに目に見えないボールが飛んできます。ボールとは、相手の言葉や態度です。それが心の枠のなかにすっと収まれば、心は穏やかなままです。あるいは「そうだ、その通りだ」と同意することもあるでしょう。イライラや怒りにつながりません。

ところが、言葉や態度が心の枠の外に来ると、イライラや怒りにつながります。私は学生時代、ハードロックバンドのボーカリストでした。ハードロックが好きな人からは「魂を揺さぶられた」「刺激的だった」と言われますし、そうでない人には「耳障り」「やめてくれ」と言われたことがあります。音楽は同じでも「心の枠」によって受け取り方が違っていました。

「心の枠」とは「価値観」「自分なりの常識」「固定観念」などだと前述しましたが、それは端的に言えば「○○すべき」というマイルールです。このマイルールが守られないと感情は乱れます。

■「○○すべき」が感情を乱す

「○○すべき」が多いと感情を乱される頻度が増えます。「○○すべき」の数が少なくても、一つの強度が強いと感情が乱される頻度は増えます。あなたのなかにもマイルールがあるはずです。パートナーに対しての「こうあるべき」もマイルールです。たとえば、「夫は早く帰宅して一緒に夕食をとるべき」「妻は夫の帰宅まで起きて待っているべき」もマイルールです。

心の枠の大きさは、いつも同じではありません。絶えず膨らんだり縮んだり。気持ちや体調の変化で、大きくなったり小さくなったりします。数も同じではありません。増えたり減ったりします。

たとえば、疲労と空腹にも大きく関係します。優しさや思いやりは余裕がないと生まれません。だから私は「怒らない技術」の究極の奥義は「寝る」だと思っています。疲れてイライラするのは、脳が疲れてしまっていて、相手に対して思いやりがもてなくなっていたり、細かい作業をするのがイヤになってしまっているのです。

■イライラし出した妻に効く一言

一晩ぐっすり寝て、脳がリフレッシュすると、「一体なんでそんなことでイライラしていたのだろう」と思うこともよくあります。ですからパートナーと「イライラしてきたら休もう」ということを共有しておくととてもよいのです。

嶋津良智『なぜ、突然妻はキレるのか?』(フォレスト出版)
嶋津良智『なぜ、突然妻はキレるのか?』(フォレスト出版)

相手がちょっとイライラしてきたなと思ったら、「少し横になったら」「休んで甘いものでもちょっと飲んだら」と言葉をかけてあげてください。枠が大きく膨らんでいれば相手の言葉や態度は、ほとんど枠のなかへ入ります。枠が縮んでいたときにイライラや怒りの対象だったことでも「取るに足らないこと」になります。

反対に何かの拍子に枠が縮んでしまうと、普段気にならないことでもイライラや怒りの対象になります。パートナーに言われた「馬鹿だなあ」が愛情をもった言葉に聞こえたり、蔑みの言葉に聞こえたりします。つまり、遭遇している出来事は同じでも、そのときの気分や体調によって受け取り方は変わります。受け流せることもあれば、キレて怒り出すこともあります。

いずれにしてもイライラや怒りがあなたの心の枠の広い狭いによって決まります。怒らない技術を身に付けて、枠を広げることができれば、感情の乱れを減らすことができるのです。

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嶋津 良智(しまづ・よしのり)
教育コンサルタント
日本リーダーズ学会代表理事。リーダーズアカデミー学長。1965年、東京都生まれ。日本唯一の上司学コンサルタントとして、講演・企業研修・コンサルティングを行う。著書に『怒らない技術』(フォレスト新書)や『だから、部下がついてこない!』(日本実業出版社)など。

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(教育コンサルタント 嶋津 良智)

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