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「コロナで韓国経済は地獄に落ちる…」隣国で通貨危機!日本にスワップ要求

プレジデントオンライン / 2020年4月6日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ca-ssis

「新型コロナウイルスの感染者数の拡大により、いま、貿易依存度の高い韓国では最大級の危機が訪れています。韓国から外国人の投資が流出し、ウォンが大幅に下落。原因は米中貿易戦争の長期化によるグローバル経済の鈍化、最大輸出相手国である中国の景気鈍化。そして今回のコロナショック。まさに“泣きっ面に蜂”状態です」。日本からもっとも近い隣国の不況は、日本にも飛び火するリスクも高い。2020年、韓国経済の地獄のシナリオを、人気アナリストの馬渕磨理子氏が解説する。

■外国人投資家による韓国市場からの資本逃避が懸念

現在、新型コロナウイルスの対策として、世界各国が対策を講じています。韓国政府は、危機に陥っている企業のために約8兆8000億円(100兆ウォン)規模の金融支援を表明したほか、韓国銀行(中央銀行)は基準金利を0.5ポイント引き下げて0.75%に変更することを決定しました。しかし、こうした“救済策”は韓国経済にどれほどの効果をもたらすかは疑問が残ります。それほど今回の韓国経済の不振は深刻なもので、地獄のような大不況に陥る可能性もあります。なぜでしょうか。

一つは、韓国が貿易依存度の高い経済構造であるため。韓国はGDPの40%強を輸出が占めるほど貿易依存度が高い国。グローバルレベルでの往来ができない今、輸出が落ち込むだけではなく、サムスンやヒュンダイなどは売り上げの半分以上が米国と欧州であるため、大きな打撃となっています。

この状況を受け、韓国の株安とウォン安が急速に進行し、一時は対ドルで1290ウォン台と、ウォンは約10年ぶりの安値となりました。これを受けて、韓国銀行は3月19日、米国FRBと約6兆6600億円(600億ドル)規模の通貨スワップ協定を締結しました。これで韓国の準備高は約4600億ドルとなっていますが、それでも外国人投資家による韓国市場からの資本逃避がさらに本格化してもおかしくありません。朝鮮日報は、社説で「米国との通貨スワップが直ちに韓国の金融市場を安定させる効果をもたらした」と報道していますが、事態はさらなる悪化が懸念されます。

■残念すぎる、偏りすぎた韓国経済

その時限爆弾となっているのが、半導体産業です。前述したように、韓国経済の構造は、貿易で大きく稼ぎ、それ以外の収支がおおむねマイナスという特徴があります。そのため、足もとの貿易モデルは一見強固に見えますが、外貨は思ったほど貯まっていないのです。フィスコ世界金融経済シナリオ分析会議のデータで、韓国と日本のドルのストック・経常収支を比較してみると、18年度におけるドルのストックは韓国の官民で約26兆7000億円、日本の官民で261兆円の試算となり、日本のわずか約10分の1のストックにとどまります(※対外資産のうち60%をドルと試算)。

さらに、経常収支は韓国が約6兆5000億円なのに対し、日本は約19兆8000億円(19年)。日本と3倍の差があります。また、韓国の輸出のうち「機械と電子部品」「輸送機」は全体の6割を占めており、輸送機(自動車)が破滅的になれば、経常収支は損益トントン、機械と電子部品(半導体)が破滅的になれば、20兆円近い大幅な経常赤字に転落すると予想されています。

つまり、韓国経済は“稼ぐ部門”が集中しすぎており、バランスが偏っているのです。これが2つ目の理由です。「偏ってる」といえば財閥問題もその一つに挙げられます。韓国4財閥(サムスン、ヒュンダイ、LG、SK)は韓国のGDPの60%を占めています。この財閥経済を解体することは難しく、政治腐敗や経済面にも大きな影を落としているのは言うまでもないでしょう。

■日韓通貨スワップ、日本側にメリットはあるのか

3つ目は、外貨準備高が不安定だからです。

韓国銀行によると、1997年のアジア通貨危機の際、韓国の外貨準備高は39億4000万ドルまで減少しました。その際、資金流出が止まらず国際通貨基金(IMF)に緊急支援を要請した経緯があります。その後、08年3月には2642億ドルまで回復したものの、リーマンショック発生後の08年末には2012億ドルまで再び減少。直近の20年2月末時点では4091億ドルとなり、韓国内では「97年のような通貨危機は起こりにくい」との認識が広まっています。

そんな中、韓国の丁世均(チョン・セギュン)首相は3月27日、日本との通貨スワップ協定について、「外貨市場の安定に大きく寄与するため、(協定は)結ばれるのが正しいと思う」と述べています。

では、日韓通貨スワップは日本にどの程度メリットがあるのでしょうか?

自国の通貨が暴落して「通貨危機」の状態になると、自国通貨の価値が下がり、通貨の価値を維持するために、外貨を売って自国の通貨を買うことがあります。結果、保有する外貨はさらに減ることになります。当然ながら、外国と取引する際の決済用の外貨も減ります。この循環からデフォルトにならないために、「通貨スワップ協定」を結ぶことが検討されるのです。

スワップ協定は、簡単に言えば外国から外貨を補塡・融通してもらうこと。つまり、韓国はこのコロナ不況下で、「資金流出に備えて日本とも協定を締結すべき」「為替の安全弁として意味がある」と日本との通貨スワップの必要性を述べているのです。

■スワップのメリットは一方的に韓国にある

しかし、注意してほしい点があります。仮にいま、韓国との通貨スワップを締結したとしても、日本が韓国に外貨を融通することはあっても、逆はまずありえないでしょう。日韓通貨スワップのメリットは一方的に韓国にあるのです。

かつて、日韓で01年から通貨スワップ協定が結ばれていた過去があります。しかし、15年に締結は終了しています。11年の欧州債務危機の再燃でウォンが急落した際には、日本は韓国に外貨を融通し、一気に外貨準備高を700億ドル引き上げた措置を取っています。これにより、韓国は通貨危機を乗り越えた過去があります。

しかし、その後1年もたたないうちに李明博元大統領が竹島に上陸するなど、外交上の混乱を生み出したことは記憶に新しいでしょう。

2国間のスワップは信頼関係のもとに成立するのです。昨今の日韓関係を考えると、スワップが成立するのは難しいと考えます。

それでも、強いていま日本が通貨スワップ協定を結ぶメリットといえば、韓国の破綻によって起こるかもしれない経済危機に日本が巻き込まれないということくらいでしょう。

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馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)
株式会社フィスコ/アナリスト・投資家
京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、株式会社フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。ロイター・ブルームバーグ・yahoo!ファイナンス、雑誌プレジデント、テレビCMなど多数出演。

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(株式会社フィスコ/アナリスト・投資家 馬渕 磨理子 構成=鈴木 俊之)

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