ブログで人生を変えるために必要なたった一つのルール
プレジデントオンライン / 2020年4月13日 11時15分
■真摯に何かと向き合えば人生は変わる
僕の経験からいうと「書く」はあらゆる行為のなかで、人生をもっとも劇的に変えられるもののひとつである。では、書くことで人生が何が変わるのか。
いきなり結論を出してしまうと、世界でただひとつの世界観を持てるようになり、結果として、自分を取り巻く流れが良いものになる。人生を切り開く武器を手に入れられて、生きるうえでの悩みが少なくなる。端的にいえば、すっきりと生きられるようになる。
僕は20代の終わりから自分の意志で文章を書き始めたが、そこから、楽に生きられるようになった。もちろん、当時も今も、悩みや苦労は絶えない。だが、それと向き合う自分ができているので、乗り越えることがずっと楽になったのだ。
■なぜデマ情報で長蛇の列ができるのか?
「個」が強く求められる今の時代で、武器のない人が生きぬくのはかなり厳しい。すでに生きることに悩んでいる人も多い。
たとえば、新型コロナ騒動の一環で、「中国産の紙が輸入できなくなりトイレットペーパーが近いうちになくなる」というデマ情報を聞いて、各地のドラッグストアに長蛇の列ができた。多くの人は、その情報がデマだと知っていて列に並んでいた。
いろいろな理由はあるだろうが、確固たる自分のなさ、弱さが大きいように思われた。弱いからブレ、群れるという楽な方向に流されてしまうのだ。
「今のままではヤバい」という危機感のある人は、武器や強みを持つことの必要性を強く感じて悩んでいる。ところが、「あなたの武器は何ですか」「強みはいったいどこにありますか」と質問すると、「実現したい夢や目標がある」「誰とでも仲良くなれる」といった答えがかえってくる。
はっきりいってそのような心もとないものでは、今を生き抜くのは難しい。僕のようにいい加減な人間なら、「ケセラセラ」と諦めてがぶがぶお酒を飲むなどして自堕落に時間を浪費して朽ち果てるだけだが、真面目な人が「私は武器をもって真面目に人生を生きようとしているのになぜうまくいかないのだ」と悩む姿は絶望的で悲しい。見ていられない。
答えは簡単だ。自分が持つべき武器がわかっていないのだ。自分というものがわかっていないから、自分の武器が何かわからないのだ。
■思考や感情を繋ぎとめる方法
僕らは自分で思っているほど自分自身がどういう人間なのか知らない。
たとえば、今朝起きた瞬間に何を考えていたか、正確に思い出すことができるだろうか。あるいは夜ベッドに入るまで、人と会話をしてニュースを見て、そのシーンごとに自分が覚えた感情や思考を再生することができるだろうか。できない。思考や感情は流れてしまうからだ。
仮に、それらを繋ぎとめることができたら、自分という存在を知るヒントになる。自分を知るために思考や感情を繋ぎとめる方法のなかで、もっとも手軽で、今すぐ始められること、それが書くという行為である。書くことに、音楽や絵画のような天賦の才能は必要ない。時間や金もいらない。記録としてではなく確認としての書くという行為をはじめよう。
■ルールは「自分を入れること」
「文章を書こう」といきなり言われてもフツーは書けない。なぜなら答えのない文章を書くことを僕らは教えられていない。書けないことで悩む必要もない。はっきりいってしまえば、書けないのは世の中が悪い。
ライティング、文章術といって書くことのハードルを上げている人もいる。まともに書けない人に「文章に自分を入れるな」と叫んでもできるわけがない。もっともそう教えている人の99%はできていないが、悪口になってしまうので別の機会にする。
また、小学校のとき「好きに書いて」と教師に言われて書いた作文を馬鹿な旧友にあれこれ評価されて以来、書いたもの(文章)を人に読まれるのが恥ずかしいという人もいるだろう。とかくこの世は書きにくい世の中なのだ。
だが、対価をもらって商売として書く文章ならともかく、自分のために書く文章である。他人のことは気にせず自由に書いてみよう。文法が間違っていたっていい。日記でも随筆でもメモでもいい、とにかく書いてみる。ルールはひとつだけだ。自分を入れること。
たとえば日記なら、ニュースで悲惨な事件を見て「こんな事件があった」と書くのではなく、一言でいいから自分の気持ちや意見を入れる。「こんな事件があった。とても悲しい」。対象(でき事)について自分(感情や思考、意見)を入れて、自分に引き寄せるようにすると、文章を書く際のハードルは一気に下がる。書くことが難しいと感じるのは、自分のフィールドで戦っていないからだ。まずは自分のほうへ対象を引っ張ってくることである。
■「書く」は自分を発掘する営み
書くことは自分の知らない自分を発掘するようなものである。
たとえば「会社を辞めた」というでき事に対して、理由を足して「上司がムカついたから、会社を辞めた」、感情を足せば「上司がムカついたから、会社を辞めた。今はとてもすっきりしている」、さらに過去と未来を加えると「同僚をイビり続けてきた上司がムカついたから、会社を辞めた。今はとてもすっきりしている。この勢いで明日は海を見に行こう」と一気に厚みが出る。
感情や意見に過去や未来を加えると、自分の色が強くなる。僕は書くことを副業にしているが、ほとんどこのやり方で乗り切っている。
そのうえで、書いているときに、「あっそういえば」という気付きがあったら、迷うことなく文章に取り入れよう。
たとえば、例文なら、「ああ、私はクソ上司を殴りたかったのだ。」という気付きを入れると「同僚をイビり続けてきた上司がムカついたから、会社を辞めた。法律がなければぶん殴っていた。今はとてもすっきりしている。この勢いで明日は海を見に行こう。」となる。書いているうちに上司を殴りたい自分の感情を発掘したのだ。書くこととは発掘である。ときどき思いもよらないものが見つかることがあるのだ。
肝心なことは書くことであって、書き残した文章ではない。書いているときは、対象が何であれ、自分と向き合っている状態である。
つまり書くことは考えること、己の思索をたどることである。そして、書くことは、対象との向き合い方や距離を確認する作業である。書くを継続、繰り返すことで、世界の見方が形成されていく。それこそがあなただけの世界観になる。
文章を書くことで自分を知り、世界観を得られる。自分と他者とがわかれば、生きていく上での戦略が立てられる。どのような武器を身に付ければいいかわかってくる。武器とは誰かに与えられるものではなく、書くことで自分を知り、考え抜いたところから生まれるものである。
■書くことで得た世界観が良い流れをうむ
冒頭で申し上げたとおり、書くことで自分を知り、自分だけの世界観を得られれば、情報に踊らされず、迷いも少なくなり、ノイズのない状態で目の前の問題に向き合えるようになる。すっきりとした生き方ができる。人生が好転するようになる。
世界観は文章のみならず普段の言動にもにじみ出てくるものだ。その結果、何が起こるだろうか。周囲から、あの人はああいう世界観を持っている人だと認識されれば、人や情報は集まってくるようになる。集まってきた人の知見で、世界観はより深いものになる。プライベートや仕事にも影響が出てくる。書くことを続ければこの良い流れを続けられるようになるだろう。
僕は20年前にウェブで文章を書き始めた。ストレス発散のための文章だった。その文章を読んで僕の世界観に共感してくれた奇特な人たちとの縁で、連載を持ち、著作を出すことができた。書くことで人生を少し変えることができた。だが、本当に大事なのは、書き続けて、自分という(くだらない)人間と向き合って、自分がこういう人間であることを知り、自分と世界との距離感(世界観)を知ることができたことなのだ。
誰でも悩みがある。僕は書くことによって悩みを最適化して、人生における悩みと向き合えるようになった。書くことはとても簡単だ。書き始めるのが少し難しいが、それを超えれば素晴らしい人生をひらくきっかけがそこにはある。書くことはそれくらいエキサイティングな行為なのだ。書かないなんてありえないのだ。
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1974年2月、神奈川県生まれ。神奈川の湘南爆走族エリアに生息する中間管理職。「はてなブログ」の前身である「はてなダイアリー」で2003年からブログを始め、今では月間100万PVを誇る会社員ブロガー。独特な文章でサラリーマンの気持ちを代弁。ツイッター:@Delete_All ブログ
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(ブロガー フミコ フミオ)
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