1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

コロナ暴落相場のいまこそ「仕込むべき、避けたい」銘柄全実名!

プレジデントオンライン / 2020年4月14日 15時15分

「株式市場での混乱はとどまる気配がなく、世界各国の中央銀行は大幅利下げと量的緩和に」と話す馬渕氏。

■優良株がバーゲンセールに

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、記録的な暴落に見舞われている株式市場。コロナ大不況が本格化しています。景気の先行きへの不安が強い中で、株式市場での混乱はとどまる気配がなく、この緊急事態に世界各国の中央銀行が大幅利下げと量的緩和を行っています。

日本は副作用として金融機関の収益にダメージを与えるマイナス金利の深掘りによる効果は期待できないため、マーケットに実効性があるETF(上場投資信託)の買い入れ枠の拡大で対応しています。日本銀行が2020年3月16日に3年半ぶりとなる追加の金融緩和策を提示し、「日銀ETF買い入れ」の年間枠を6兆円から12兆円に倍増しました。

この速報直後に株が下がったことで、「ウイルスに金融緩和は効かない」などとの言葉も聞かれますが、12兆円に拡大したことは、今後の株式市場にじわりと効果を生むでしょう。

では、コロナ暴落相場の中、「仕込むべき&逃げたい」銘柄とは?

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を踏まえ、東京オリンピック・パラリンピックは延期で合意にいたりました。夏季オリンピックは過去3回「中止」されたことがありますが、「延期」となったのはこれが史上初です。

コロナの影響はオリンピックだけではありません。イベント業や飲食業、ウエディング、旅行などはコロナ不況のダメージを受けた業界として真っ先に思い浮かびます。感染拡大が続くと、ダイレクトに影響を受け、消費者のマインドの低下から、その後の客足が戻るのに時間がかかる可能性があります。東京都が3月25日に不要不急の外出自粛要請を出していることやロックダウンの可能性などから消費への影響は否めません。一方、この混乱で今まで高くて手が届かなかった次世代通信規格「5G」銘柄などの大型優良株がバーゲンセールになっています。

暴落局面で5Gの関連銘柄が逆行高を見せる局面があるでしょう。自律反発の要素もあるものの、コロナの影響が長引くことを見越した“withコロナの世界”でも、堅調なシナリオを描きやすいのが5G銘柄です。ソニー、アンリツといった5G関連株が本命と考えます。また大型優良株がバーゲンセール状態のため、オリエンタルランド、中外製薬など最低購入単価の高い銘柄が値を下げていることから買いの手が入っています。

その他、優良株でありながら、かつ、リーマンショックの2008年以降も継続配当を出しているKDDI、オービック、カプコンなども底堅い値動きとなっています。業務用食材を販売する「業務スーパー」を運営している神戸物産も相場が急落する中でも、底堅い値動きを続けています。

そして、新型コロナウイルスの感染拡大で「遠隔医療」への関心が高まっており、オンラインで医師に相談できるサービスを展開しているエムスリー、ネット会議システムを提供しているブイキューブは新型コロナウイルスで揺れる相場においても引き続き期待が持てそうです。

金利低下で利ザヤが縮小している金融株や中国に工場のある自動車関連株は厳しい状況が続きます。また、渡航制限がかかり、人の移動が行えない影響で世界最大の航空機メーカーであるボーイングのキャッシュ・フローが急減、信用格付けがBBBに引き下げられました。国際的な空運需要が減速し、需給の悪化は日本航空、ANAホールディングスも避けられないでしょう。

■五輪関連株が受ける影響

国際航空運送協会は最悪の場合、世界の航空会社全体の収入が1130億ドル失われると試算しています。企業の格下げが起こり始めたら事態はさらに深刻化しますので、政府による、企業の資金繰り対策を支援する緊急融資策の「スピード」がとても重要になってきます。

また、新型コロナウイルスの感染拡大で、イベントの中止が相次いでいます。それに加えて「東京五輪の延期」により、イベント関連の企業の業績にも影響が出そうです。東京五輪に関しては、インフラ整備など開催までの需要については、ほとんど完了しているため建設関連はさほど影響が出ないですが、開催期間中の特需やインバウンドがいったん、見込みづらくなります。一方、「中止」ではなく「延期」により約1年後には開催される見通しであるため、引き続きCMなどは継続されることになります。広告代理店、テレビ局、セキュリティー会社、マーケティング会社などの業績への打撃が中止に比べて影響は小さいといえます。

東京五輪のオフィシャルサポーターである乃村工藝社は、延期の発表により不透明感が払拭された可能性から株価が下げ止まっています。同じような値動きをしているのが、ディスプレー大手の丹青社です。その他、東京五輪のスポーツ用品カテゴリーでゴールドパートナーであるアシックスやその他のスポーツ関連であるミズノなども、21年決定を好感し下げ止まっていますが、買い一巡後は上値が重くなる可能性もあります。

■訪日客需要が長期間見込めないことが予想される

世界的に渡航制限がかかる中で、「インバウンド」関連株は今後、立ち上がりに時間がかかりそうです。日本政府観光局によると、20年2月の訪日外国人旅行者は、推計108万5100人で前年同月比58%もの記録的な減少でした。中国からの旅行者が8割以上減少するなど日本の観光への影響は、一段と深刻になっています。五輪延期に伴う経済損失として、宿泊業で約810億円、飲食サービス業で約590億円の売り上げ減少が見込まれます。訪日客需要が長期間見込めないことが予想され、特に厳しい状況に置かれています。

インバウンド関連の中核として、ドーミーイン事業でホテルを全国展開する共立メンテナンス、ロイヤルホテルなどのホテル関連株、観光客へルーターを貸し出しする「Wi-Fiレンタル」サービスを展開するビジョン、訪日客のみやげ需要を支えてきた寿スピリッツなどは厳しい状況が続く可能性があります。

観光客の戻りは鈍さが予想されます。その中で、あえてインバウンド関連として買い場を探すとするならば、JR東日本、東急、東武鉄道などの鉄道輸送株でしょう。リモートワーク、ロックダウンの可能性でいったん売られていますが、鉄道輸送株は景気変動の影響を受けにくい公共サービスの1つですので、いずれ値を戻す可能性が高いです。一方で、中国関連の建機最大手のコマツ、工作機械・NC装置最大手のファナックなどは厳しい状況が続いています。

■決算発表後の20年6月は要注意だ

日経平均の下値を探る方法として、「PBR(株価純資産倍率)」「フィボナッチ数」などがあります。PBRとは、純資産から見た株価が割安かどうかを判断する指標になります。フィボナッチ数は下降相場などで一時的な戻りの目標価格を判断する際に使用する指標です。リーマンショック時の「PBR」「フィボナッチ数」の数値を参考にしながら判断すると、夏までに新型コロナウイルスが終息した場合、下値メドは1万5000円あたりになるでしょう。

夏までにコロナウイルスが終息した場合、日経平均の下値メドは1万5000円あたりに。
夏までにコロナウイルスが終息した場合、日経平均の下値メドは1万5000円あたりに。(時事通信フォト=写真)

また、新型コロナウイルスの影響が反映された20年3月末決算企業の発表は、ゴールデンウイーク明けから20年5月15日頃がピークになります。各社の業績は当然、芳しくない、または、減損損失の計上見込みなどの企業も多いことが予想され、株価は20年6月に下落し、2番底となる可能性があります。投資家が市場に抱く不安の程度を示しているといわれるVIX指数(恐怖指数)は、経済に対する強い危機感が広まる時期に高騰します。

このVIX指数がリーマンショックのあった08年10月の89.53に並ぶ、82.69を記録しています。リーマンショック以上ともいわれる現状に政府がどんな手を打つのか。アメリカでは20年3月25日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、総額2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策で合意。財政支出の規模はGDP(米国内総生産)の約10%に達し、リーマンショック時の総額約8000億ドルの経済対策を上回ります。

一方、日本も消費が冷え込んでしまいリセッション(景気後退)に入らないための財政政策に注目が集まります。20年3月14日に安倍晋三首相は以下のように発言しています。

「一気呵成にこれまでにない発想で思い切った措置を講じてまいります」

この言葉に期待したいです。

----------

馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)
テクニカルアナリスト
京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、株式会社フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。ロイター・ブルームバーグ・yahoo!ファイナンス、雑誌プレジデント、テレビCMなど多数出演。

----------

(テクニカルアナリスト 馬渕 磨理子 撮影=横溝浩孝 写真=時事通信フォト)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください