「新型コロナに規制と禁煙…」三重苦にあえぐパチンコ業界、店舗減は必至
プレジデントオンライン / 2020年4月16日 15時15分
■没落した「娯楽の王様」
30兆円産業・庶民の娯楽・不況に強いなどと言われ、栄華を極めていたパチンコ業界。だが、その華やかさは失われ、今や斜陽産業となりつつある。
それを如実に表すのがパチンコ店の店舗数だ。各パチンコホールが加盟する全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)の発表によると、1995年には全国に約1万8000店もあった店舗は2016年には一時1万店を割り、2020年1月には8000店台にまで減少している。ここまで店舗数が減ったのは、遊技人口の低下が原因だ。
レジャー白書によれば、95年のパチンコ参加人口は約3000万人。だが、現在では1000万人を割り込んでいる。なぜここまで遊技人口が減ってしまったのだろうか。
その要因のひとつに、ギャンブル性の低下があげられる。パチンコ台は大当たり確率や1度の大当たりで払いだされる玉の上限などに、国が定めた規則が定められている。これをクリアしなければ、パチンコ店に台を設置することはできない。店舗軒数、遊技人口共にピークだったころのパチンコ台は、一撃の出玉性能がとても高く、多くの人を虜にしていた。
だが、それは同時にギャンブル依存症などの社会問題を誘発した。それを境に規則は徐々に厳しくなっていき、ギャンブル性は低下していくこととなった。大きく勝つことも負けることもできなくなった現在のパチンコにユーザーは物足りなさを感じ、ホールは大きな収益を上げられなくなっていった。
収益を上げられなければ、お客さんに還元ができない。つまりは勝率も下がってしまう。勝ちづらくなったこともパチンコ離れに拍車をかけている。
■タバコが心置きなく吸えるから、パチンコを打つ
逆風はこれからも続く。20年4月からは、改正健康増進法によりパチンコ店は原則全面禁煙となる。日本遊技関連事業協会が18年に行ったアンケートによれば、パチンコユーザーの喫煙率は54.7%。国民生活基礎調査のデータによると、同年の成人喫煙率は男女計で17.8%だから、パチンコユーザーは全国平均よりも圧倒的に喫煙率が高い。「タバコが心置きなく吸えるから、パチンコを打つ」という人もいるくらいだ。
愛煙家のパチンコ離れが懸念される中、「パチンコ店がクリーンになることで、新規ユーザーを呼び込めるのでは」という意見もある。しかしパチンコを打たない人たちの多くは、パチンコにネガティブなイメージを持っているため、いまさらパチンコを始めないだろうと、パチンコ店関係者はあまり期待していないように思う。
さらに同年に「ギャンブル等依存症対策基本法」の一環として行われた規則改正で、パチンコ機のギャンブル性はさらに削がれた。
加えて21年1月末日までには、すべての台をこの新規則に沿ったものに入れ替えなければならない。その台数は20年1月現在、パチンコ、パチスロ合わせて約275万台(全日遊連発表)。一店舗の平均では300台以上になる。
パチンコ台の価格は一台約50万円と高額で、仮に300台を新台に入れ替えると1億円を優に超える。中古台をメインに差し替えても、その半値~3分の1程度はかかる。膨大な費用を賄えず廃業するホールも出てくるだろう。
そして新規則機に入れ替えを行ったとしても、新台の費用は売り上げから回収することになる。言い換えれば、お客さんから「回収」することになる。さらにパチンコで勝ちづらくなることは想像に難くない。しかも入れ替えられた新規則機は、ギャンブル性が抑えられた仕様となっている。お客さんが満足してくれるかは未知数だ。
さらに大阪では、コロナウイルス感染者の来店により休業したホールもあり、厳しい状況に追い打ちがかかった。
苦境に立たされ、さらなる店舗減少は必至だが、20年4月下旬からは一定数デジタルを回すと、高確率で大当たりを得られる「遊タイム」という新機能が搭載されたパチンコ機が登場するなど、明るい話題もあるにはある。斬新なパチンコ機で、業界の窮地を救ってきた過去もあるだけに、そう簡単に滅ぶことはないと私は信じている。
(「パチンコ必勝ガイド」ライター 邦彦)
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