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日本マクドナルド創業者がユダヤ人に教わった「メモの魔力」

プレジデントオンライン / 2020年4月24日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/frema

■日本マクドナルド創業者はメモ魔だった

ハンバーガーショップ「マクドナルド」を知らない人は、まずいないでしょう。ところが、日本マクドナルドの創業者である藤田田(ふじたでん)については、とりわけ若い世代では、知らない人が多いかもしれません。藤田は同社を、日本を代表する外食企業に同社を育て上げただけではなく、日本の外食業界に科学的な経営理論を導入し、産業化を成し遂げた最大の功労者でもあります。

私は長年、藤田について取材し、彼が積極的に「メモ」を活用していたことを知りました。

藤田には、幼い頃から「メモを取る」クセがあったそうです。目で読んだり、耳で聞いたりした情報は、すぐに忘れがちですが、メモに残せば記憶されやすく、後で見直すこともできます。そのおかげか、藤田は「地頭のいい子ども」に育ち、全国有数の進学校だった旧制北野中学校(現在の大阪府立北野高校)、旧制松江高校を経て、東京大学法学部に進みました。

藤田が「メモ魔」になるのを決定づけたのが、戦後の占領期にGHQで通訳のアルバイトをしていたときの、ユダヤ人との出会いでした。

GHQで知り合ったユダヤ人の下士官は、サイドビジネスに高利貸しをしていたので羽振りがよく、上官であるアングロサクソンの将校も、実はユダヤ人に借金があるので、彼らに頭が上がらなかったのです。藤田はユダヤ人に弟子入りしユダヤ商法を学び、「世の中を支配しているのはカネだ」という信念を抱くようになったのですが、彼がもう1つ、引きつけられたのが、ユダヤ人のメモの習慣でした。

■商売上手なユダヤ人のメモ術

ユダヤ人は、交渉したり、商談したりするときに、必ずメモを取ります。日時や金額といった重要事項が曖昧にならないように、記録するためです。それが、ユダヤ人の正確かつ迅速な判断にもつながっています。

しかし、市販のメモ帳を常に持ち歩いているわけではありません。例えば、取っておいた紙切れやタバコの空箱に、走り書きをするのです。ICレコーダーを向けたり、ノートを広げたりすれば、相手も構えますが、物陰やトイレでメモを取るだけなら、警戒されにくく、秘密の話もできるからです。

ユダヤ人は、後でそういう貴重なメモを集めて、手帳に書き写しまとめます。こういう作業を行うことによって、記憶がより強化されるうえに、情報が整理でき、理解力や分析力は飛躍的に高まります。

修羅場でのユダヤ人のメモ術を体得したことで、藤田のメモ術は格段に磨き上げられました。藤田は自宅のトイレや寝室、風呂場、食卓や会社などいたるところに、小さなメモ用紙と鉛筆を置いておき、アイデアを思いついたり、有益な情報を得たりしたとき、24時間どこでもメモを書きつけて、毎日見返していました。

そして、1週間後にメモをまとめて整理・点検し、内容を忘れたメモは持ち歩き、覚えるまで毎日のように見直していたそうです。

藤田のベストセラー著書『ユダヤの商法』『勝てば官軍』も、藤田がふだんメモしていたことにおひれをつけたものです。本人が「物忘れ防止法」とうそぶいていた藤田流メモ術を、皆さんも、試してみてはいかがでしょうか。

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中村 芳平(なかむら・よしへい)
外食ジャーナリスト
早稲田大学卒。流通業界、編集プロダクション勤務、『週刊サンケイ』の契約記者などを経てフリーに。「日本マクドナルド20年史」に藤田田へのインタビュー原稿を執筆。著書に『居酒屋チェーン戦国史』など。

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(外食ジャーナリスト 中村 芳平 構成=野澤正毅)

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