広報担当者が在宅勤務中にアップデートすべき「PRの新常識」
プレジデントオンライン / 2020年4月26日 11時15分
■11年ぶりに改訂された広報の指南書
日本という国は、外国からの見られ方を意識した「広報視点」に欠けるといわれる。国家と企業では異なるが、似た部分も多い。広報の本質は、危機対応を踏まえた「攻め」と「守り」のバランスだ。
本書は2009年に刊行されたロングセラーの改訂版。神戸製鋼所で広報部長を務め、独立後は広報・PR・危機対応コンサルタントとして活躍する著者が広報やPRのあり方を指南する。時代に合わせてSNSやインフルエンサーの活用法を加えるなど、旧版に比べ内容はさらに充実した。体系的に整理され、広報担当やメディア人が実名で登場する巻末付録も手厚い。
私自身も30年以上にわたり取材側と広報支援情報側の双方から広報業務と向き合ってきたが、広報・PR関係者の中には「木を見て森を見ず」のタイプも目立つ。「当社からこんな画期的な新商品が生まれました」と訴求するだけでは取材側の興味を引かないのだが、そこに気づけない。新商品という「木」を見るだけではダメで、本書でも触れられている通り「3つの品=製品の品質・社員の品性・会社の品格」といった「森」の視点や、「ブランドの本質をついた差別化と地道な情報発信がブランドを作る」といった「林」の視点が必要なのだ。
身近なノウハウに加え、こうした哲学を説く本書は現役の広報担当者にどう読まれているか。店舗勤務から広報へ着任した際に旧版で学んだという大手飲食チェーンの広報ウーマンは、こう話す。
■広報はこんなに凄い仕事だ
「メディアとの付き合い方やリリースの工夫についての記述もあり、実践的でとても役立ちました。ただ、本文には『広報はこんなに凄い仕事だ』とエールを送ってくれる部分もあるのですが、そこは割り引いて読むようにしています。広報は成果が目に見え、上司や同僚にも知ってもらえる恵まれた職種です。それだけに、謙虚さを心掛けなければいけないと思っています」
![山見博康『新版 広報・PRの基本』(日本実業出版社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/200/img_059281830e43c4e721b31fcf66d8dca0167257.jpg)
会社の中には、辛辣な客にも対応しなければならない消費者相談窓口の担当者もいれば、従業員の給与や福利厚生の実務を担当する人もいる。この人たちがいてこそ企業活動は回っていく。また、著者も指摘するように「各部署の実力者は必ずしも肩書通りではない」。本書を誤読し、広報担当者が肩で風を切っているようではいけないのだ。
一冊を通して伝わってくるのは「どの部署にいても周囲から頼りにされる存在になれ」というメッセージだ。著者自身は「有能でなくても有用であれ」と表現する。その心得があれば、ビジネス人としての「現役寿命」が延び、人間性も磨かれるだろう。
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広報・危機対応コンサルタント
「山見塾」塾長。1945年生まれ。九州大学卒業後、神戸製鋼所へ。広報部長などを経て2002年に独立。第一線で後進の指導に当たる。
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経済ジャーナリスト/経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。
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(経済ジャーナリスト/経営コンサルタント 高井 尚之 撮影=遠藤素子)
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