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あなたが「いい人」をやめて本当の自分を生きる方法

プレジデントオンライン / 2020年4月26日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/violet-blue

■あなたは今日から好きに生きられる

あなたは「いい人」になって苦しんでいないでしょうか? 「いい人」でいるあまり、自分の意見が言えず、ストレスが溜まってしまうこと、ありませんか? 今の日本には、「いい人」になって精神的に病みがちな人が多く存在します。

僕は、現代病である「いい人」を2種類に定義しています。

1つは、生き方の軸がない人。自分の外側から与えられたルールや規則はしっかり守るのですが、自分の人生をどう生きていくかのビジョンがないのです。そのような人は、親の言いなりだったり、人と違うことをするのが嫌だったりして、自分の本当にやりたいことを殺しています。あるいは、そもそもやりたいことが見つからないという場合もあります。

もう1つは、対人関係の軸がない人です。具体的には3つ特徴があります。まず、優しい人。これは一見褒め言葉のように聞こえるのですが、嫌われるのが不安で人に優しくすることしかできないだけです。自分の意見を主張したり、自分に害を及ぼす人にノーを突き付けたり、強い意志を持って切り返したりすることができない人ですね。

そして、お人よしな人。自分の軸がないために頼まれたことを断れず、余計な仕事を押し付けられがちなタイプです。典型的なパターンとして、ブラック企業で大量の仕事をさせられて、「会社の役に立っているはず」「これがやりがいだ」と自己暗示をかけて、安い給料で心も体もすり減らしている人などが挙げられます。

最後に、愛想笑いが得意な人。人と会話をしていても、自分に自信がないので自らボールを投げることができず、ただヘヘヘッと笑うことしかできない人です。

これらの特徴を持つ「いい人」は周囲から見れば、単なる「都合のいい人」です。敵をつくることはないかもしれませんが、確実に人生を蝕まれていきます。

それでは、「いい人」であることの弊害を具体的に説明しましょう。まず、自分の心が消滅します。僕は以前ブラック企業で「いい人」をしていたことがあるので、身をもって言えるのですが、はっきり言って「家畜」と同じ状態です。上司に対し、心の中では「ばかじゃねえの、こいつ」と思っているのに、そういった感情を押し殺して「そうですね」と受け答えしていました。そんな毎日を繰り返していくうちに、自分の本当の気持ちがわからなくなってしまったのです。

そうなると感性も鈍りますし、面白みもなくなり、人を思いやる余裕やリーダーシップも枯渇します。他人の言いなりになっているので、何か物事を構想する力も消えます。

そのような状態では、成功者になれません。仕組みをつくることができないからです。

■「いい人」をやめれば幸せになれる

成功者というのは、プロ野球選手などピンで活躍する人は別として、チームをうまく機能させる仕組みを持っています。「いい人」はそれが苦手。人に何かをやってもらうことが悪いことだと思い込み、全部1人で丸抱えしようとします。他人をプロジェクトに巻き込むことは、ある種その人の人生を充実させるステージをプレゼントしているのに、「いい人」は「人に仕事を押し付けて悪いな」と勘違いしちゃうんですよね。

それでは、なぜ人は「いい人」になってしまうのでしょうか。これには3つの理由があります。

1つ目は、人間が持つ「自分を高く売りたい」という自尊心が関係しています。尊敬されたいし、給料も高くもらいたいし、魅力的だなと思われたい。だからこそ仕事だって頑張るわけです。だから、人間関係で不快なことがあったり、嫌な仕事を押し付けられても、気持ちを殺して耐えてしまうんですよね。

2つ目は、「奉仕のマジック」に囚われること。一般的に、奉仕は素晴らしいものとされている。奉仕自体はすごくいいことで、他人を幸せにするし、幸せになった人を見てこちらも幸せになります。ただし、それは奉仕を自分の意思で選んでいる場合のみ。本当は自分がやりたいことではないのに、気が付いたら「奉仕」という十字架を背負わされている人は要注意です。

「いい人」になってしまう理由、3つ目はリスクヘッジのためです。わかりやすく言えば、会社をクビにならないためですね。特に外資系では突然クビになることもありえます。まあ、そこまで極端でなくても、評価が下がるのが嫌だ、仲間から分離するのが嫌だという不安があると思います。それを恐れるあまり、嫌な一言にも耐えなければならない。協調性を守り抜くための、日本人特有の国民性ともいるかもしれません。

さて、多くの人は、この3つの理由のどれかに当てはまるのではないでしょうか。人から悪く思われたい人はいませんし、誰しも自分の立場を守りたいものです。

■半沢直樹のように倍返しだ!

「いい人」を脱却するために、ちゃぶ台をひっくり返す勇気を持つことはとても大事です。先ほど申し上げた通り、僕は20代のころ4年間「いい人」でいた経験があります。その会社の環境はひどいもので、「口答えしたらすぐ辞めさせる」という雰囲気が蔓延していました。「大卒なのに使いものにならない」と入社早々言われるなど、人の悪口ばかり言うネガティブな人間だらけ。私は感情を殺して「いい人」と化していました。命の無駄遣いをしていたなと思いますね。あの期間は、修行という意味で「服役」と呼んでいますが(笑)。

パワハラをしてき た嫌な上司
PIXTA=写真

その会社で特にパワハラをしてきた嫌な上司がいました。仕事の改善を促すような注意はせず、人間性をコケにするような言動をする人です。

僕が会社を辞める日も、いつものように廊下で挑発をしてきました。僕がわざと言い返すと胸ぐらをつかんできたので、最後だからと思い、200人ほど社員がいるフロアに奴を引きずり出しました。そして「やれるもんなら、ここで殴ってみろ!」と大声で怒鳴りつけたんです。みんなが見てる前で。上司はどうしたか。「おまえがここでボコボコにされたらかわいそうだから、やんねえよ」と言って逃げました。そうしたら他の社員の人たちが花束を持って花道で送り出してくれました。大人げない行動だと今では思いますが、23歳の私にとっては、それが精いっぱいの、苦肉の策でした。

そんなふうに、「いい人」を脱却するために、勇気を持って、ちゃぶ台をひっくり返してもいいんですよ。もちろん、話し合いを冷静に粘り強く重ねて、改善できなかった場合の最終手段ですが。やるなら思いっきり大胆にやったほうがいいでしょう。中途半端はダメ。思いきりやることが重要です。

思いきりやれば、もちろん社会的制裁というリスクも付きまといますが、「自分に対して勝ち癖がつく」というメリットもあります。少なくとも「負け癖」はつきません。日本人は『忠臣蔵』のような正義に則った倍返しが大好きですよね。スカッとします。

同じように、ずっと「いい人」でストレスを抱えている人は、負け癖を治すためにもやってみてください。自信がついて、人生のいろいろな場面で「前にできたから今回もできる!」と思えるようになります。そうすると心に余裕ができます。多少パワハラを受けても「いつでもやり返せる」と余裕ができ、心が追い込まれずに済むんです。

ちゃぶ台をひっくり返すというのは、会社を辞める、意見を言う、強い態度に出るなど、という意味。こういったことをやればいいだけの話です。本当の自分が見えてきて、がんじがらめになっていた小さな自分がバッと大きくなります。

さらに人間関係が、いい意味で整理されるというメリットもあります。会社でもプライベートでも、至るところで本当の自分を出していくことによって、自分に合った人とだけ出会い続けることができるのです。

倍返しと言えば、ドラマ『半沢直樹』。あれが流行ったのも、主人公の半沢が思いきりちゃぶ台返しをしたからだと思うのですが『半沢直樹』を見ていて感動した人はみんな「いい人」だと思うんです。あれを見て、自分の人生に「倍返し」したいと思った人が多いことが大ブームの背景にあります。

■サードプレースのつくり方

「いい人」を脱却するための処方箋。まずは家でも会社でもない3番目の居場所「サードプレース」をつくるのがおすすめです。自分が心から楽しめる趣味を見つけると、人生が充実します。

会社の仕事はほどほどに、趣味を全力で楽しんでいる人のいい例が『釣りバカ日誌』のハマちゃんです。釣りに命を懸けるハマちゃんが、ひょんなことから出会った初老男性・スーさんに釣りを教えるという筋書きですが、実はスーさんは、ハマちゃんの勤める建設会社の社長さん。ハマちゃんは、釣り初心者のスーさんに「おいおい、じいさん、釣り糸の結び方、そうじゃねえだろ」などと上から物を言っているのが面白い。

サードプレースでは会社のヒエラルキーが崩壊するし、好きなことでイニシアチブをとれれば、自分がその世界のカリスマになれます。会社が自分に合わなければ、ハマちゃんのような、圧倒的に趣味に生きる会社員ライフのほうが確実に幸せな人生を選べます。

とはいえ、すべての人がハマちゃんのように熱い趣味を持っているとは限りませんよね。

■人生において、やりたいことの方向性がはっきりしてくる

やりたいことがない人には、まずは金曜の夜から月曜の朝までフルに使って、電車旅をすることをおすすめします。それによって、自分にとりついた「負の感情」が全部落ちていきます。すると、自分がどんなことに対して楽しいと思うかとか、何に心がときめくかとかが、全部むき出しに表れてきます。人生において、やりたいことの方向性がはっきりしてくるんですよね。

見えてきた「やりたいこと」を、旅先で書き出してみましょう。ヨットでも、クラブのDJでも、英会話でもなんでもいい。それがサードプレースのネタになるんです。それをひたすら、1人でやってみてください。

例えば僕も、最初の会社で「服役」していた23歳のときに、社外で社会人交流クラブを運営していました。学生時代の男友達を25人集めて、南麻布に「男の隠れ家サロン」をつくったんです。いわゆる大都会のセカンドシェアハウスです。マンションを借りて、そこをサロンにしたのです。さらに都内各所でイベントを300回以上やり、全盛期には500人以上のメンバーに膨れ上がりました。自分の感覚と近い人しか集めなかったので、パラダイスでしたよ。

そんな活動を続けると、ますます会社が自分に合わないことがはっきりするわけです。遅かれ早かれ「ここにいちゃいけない」という踏ん切りがついていくわけですね。このように、自分の心の軸がつくれることが、サードプレース創出の大きなメリットです。軸ができれば、邪魔する人と平常心で戦うことができます。サードプレースを守るために、強くいられます。「いい人」には守るものがないから、「いい人」になってしまうんですよ。

かつての僕のように、社員を「いい人」にしてしまう会社で働いている人がいたら、きっかり定時で帰って、サードプレースの活動に人生の8割くらいの気持ちをつぎ込んでいいんです。会社の人たちに対しては、透明な心のシャッターを下ろす。感情を全部殺す。そうすれば嫌なことを言われても何とも思いません。

時間が経つのをひたすら待って、仕事が終わった後、本当のあなたの人生を謳歌しましょう。

また今は副業が当たり前の時代です。副業をあなたのサードプレースとして、本当に好きな仕事を見つけてもいいと思います。会社員としてベースの給料をもらいながら、副業として好きな仕事をライフワークにすれば、それがいつか本業になるかもしれません。たとえ本業にならなくても自分が輝く軸を持てます。

あるアンケートによると、「人が死ぬときに一番後悔すること」という質問の回答は「やりたいことをやらなかった」が一番多いのだそうです。「やらなかったほうがよかった」という声はほとんどありません。やりたいことをできないのは、まさに「自分を押し殺しているいい人」の特徴です。

世の中にはまだまだ「いい人」が多い。早く自分の軸をつくって「いい人」を脱却することが、人生を輝かせるカギになります。

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潮凪 洋介(しおなぎ・ようすけ)
作家
ライフワーク・クリエイト協会理事長。人生100年時代の「自分流・働き方改革」のすすめを提唱。著書にベストセラー『もう「いい人」になるのはやめなさい!』ほか。

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(作家 潮凪 洋介 構成=万亀すぱえ 写真=PIXTA)

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