「コロナ休校でYouTube中毒」困った親子を救う5つの処方箋
プレジデントオンライン / 2020年4月16日 11時15分
■子ども側の問題だけでなく、保護者側の問題もある
新型コロナウイルスの感染拡大は、子どもたちの生活にも影響を与えている。ある小学4年生の子どもを持つ30代主婦は、電話口で疲れた様子でため息をついた。
「うちの子どもは1日7~8時間は家でゴロゴロしながらYouTubeを見ています」「3月はかわいそうと思って放っておいたけれど、4月になっても休校だし、いい加減やめてほしい。どうすれば良いでしょうか……」
政府は、3月2日から春休み前までの全国一斉休校を要請。しかし、感染拡大が収まる兆候は未だ見られず、各地の小中高校では新学期を迎えても休校が続けられている。保護者としても、困惑し、疲労を感じている人も少なくない。
そして、保護者たちの悩みの多くが、「子どもが一日中YouTubeを見ている」「ずっとゲームばかりやっている」というものだ。確かに、自宅で過ごす時間が増えれば、スマホやタブレット端末、ゲームに触れる時間は増えてしまうだろう。相談を聞くと、この問題は小学生などの低年齢の子どもに多く見られる問題だと感じる。
多くの家庭にヒアリングするうち、子どもが「YouTube漬け」「ゲーム漬け」になる理由があることがわかってきた。これは子ども側の問題だけでなく、保護者側の問題もあるようだ。本稿では、スマホやゲーム漬けにならないための5つの対処法をご紹介したい。
■子供もやることがなく、何をすればいいのかわからない状態
<対処法①>子どもの「やること」を見える化する
今は、子どもにとって最大のピンチの時と言ってもいいのではないか。毎日決まった時間に学校に行き、宿題をし、習い事に行けばよかった子どもたちが、突然、毎日自分で決めて時間を過ごさなければならなくなったからだ。
しかも、保護者側もテレワークなどで忙しく、相手できないということも多い。つまり、子どもたちにはやることがなく、何をすればいいのかわからない状態なのだ。
そこで、まず「やること」を用意しよう。学校からの宿題、通信教育やドリル、習い事の練習、お手伝いなどがあるだろう。この機会に新しいお手伝いを任せるなどしてもいい。リストアップしてチェックリストにしてもいいかもしれない。子どもにとってやることを見える化することで、日々の時間はかなり埋まる。
しかし、「やること」だけでは過ごせない。やることは必ずしも「やりたいこと」ではないからだ。
<対処法②>子どもの「やりたいこと」を見える化する
大人でも、急に休みになってやることに困った経験はないだろうか。同様に、突然時間だけできても、やりたいことが思いつかないという子は少なくない。
図書館や習い事も休みとなり、友だちと遊ぶことも制限された今、子どもたちにとって、現状でできる「やりたいこと」といえば、YouTubeやゲームしかない。他にないのだから、ハマるのが当たり前なのだ。
■コロナ休校は子どもの選択肢の幅を広げるチャンス
そこで、次にYouTubeやゲーム以外の「やりたいこと」をリストアップしよう。正確には、子どもが喜んでやるようなこと、やりたくなるようなことをリストアップして用意しておくのだ。子どもの選択肢の幅を広げるというわけだ。
子どもによって興味や関心は違うので、やりたいこと、つまり楽しくて夢中になれることも異なる。子どもに話を振って意見を聞きながら、検索したり本などで調べたりするのはもちろん、同じ学年や同じ趣味の友だちの保護者・子どもと情報交換してリストアップしていこう。
勉強になるものだけでなく、当人が興味や関心を持つ分野について学べるものもおすすめだ。たとえば料理が好きな子ならクッキング動画、プログラミングに興味がある子ならプログラミングソフト、サッカー好きな子ならサッカーがうまくなる動画などだ。
この機会に子どもが興味を持ちそうなことに新しくチャレンジしてもいいだろう。たとえばプラモデルを作ってみるとか、電子工作をするとか、ミシンで小物を作るとか、お菓子を作ってみるとか、子どもがやったことがないけれどやったら楽しいことはたくさんあるはずだ。
テレワークとなった方などは、久しぶりに家族でいる時間がたくさんあるのではないだろうか。この機会に、親子で何かに挑戦してみるのもいいかもしれない。
◯学習まんが
◯プログラミングソフト・ゲーム
◯体を鍛えるゲーム
◯興味関心がある分野の動画・書籍
◯やったことがない新しいこと
◯親子で挑戦できること
■禁止だけでなく、子どもと話し合ってルールを決める
<対処法③>利用時間のルールを決める
YouTubeやゲームは、とにかく利用時間が長くなりやすい。もっとやりたくなるようにできているので、大人でもハマって依存状態になる人が少なくない。中高生にも依存状態となっている子どもはとても多い。まして小学生など低年齢の子どもであれば、延々とやってしまうのは当然だ。
長時間利用している小学生の子どもや保護者に聞くと、「(利用時間は)決まってない」「決めていたけれど、かわいそうでずるずる長くなってしまっている」という話が多い。保護者自身が、長時間利用を許してしまっているケースが少なくないのだ。このように、利用時間についてのルールが決まっていないと、長時間利用になりやすい傾向にある。
そこで、YouTubeやゲームの利用時間は事前に決めておこう。具体的には、一日の利用時間の長さ、終わりの時間を決めておくといいだろう。
適切な時間の長さは子どもによって異なる。子どもと話し合いながら、適切な利用時間を決めていこう。「土日は少し長く遊んでもいい」など、特別ルールがあってもいいだろう。
なお、寝る時間や起きる時間が遅くなるのは、依存状態の入り口で危険サインだ。就寝時間は、通常通り、夜9時あるいは10時くらいまでにしたい。同時に、スマホのブルーライトは睡眠の質を下げると言われているので、寝る1時間前くらいまでには終了させるようにしよう。
■子どもが時間を守る手助け機能を活用しよう
<対処法④>利用時間制限をする
約束を決めても、既に述べたとおり子ども一人で守ることは難しい。そこで、利用時間制限機能を使って、子どもが時間を守る手助けをするといいだろう。約束した時間に制限を設け、子どもがその時間内にコントロールして利用できるようになるのが目標だ。
iPhoneやiPadなどのiOS端末は「スクリーンタイム」機能で、Android端末は「ファミリーリンク」機能で可能だ。利用時間制限、夜間の利用制限、コンテンツ・機能制限などもできるので、活用すべきだろう。
なお、小学生に人気のゲーム機Switchも、「ニンテンドーみまもりSwitch」で利用時間制限が可能だ。
このようなツールを使うと、子どもが好きなゲームや利用しやすい時間帯などもわかる。この後にご紹介する、親子での話し合いのきっかけに使うのもおすすめだ。
<対処法⑤>保護者が確認し、話し合い、手本を見せる
既に述べてきた通り、子どもだけに任せておくと、YouTubeやゲームの時間が長くなってしまう。放任が一番の問題なのだ。
そこで、保護者が一日の利用時間を確認し、その都度、子どもとルールや利用時間について話し合うようにしよう。利用が長時間になりやすいのであれば、理由について話し合ったり、どうすれば守れるのかについても話し合ってみよう。
■子どもに任せきりにしないで
保護者が長時間利用をしていると、子どもも影響されて利用時間が長くなる傾向にある。そこで、保護者が子どもの目の前で長時間利用などをしないことも大切だ。子どもにやらないように言っていることは、保護者自身もしないようにしたい。
大人だけでなく子どもも、突然長い時間ができてしまって困っているのは同じだ。子どもたちは本来、進級、進学でやる気があったはずなのに、何をしていいのかわからなくなっているのだ。
子どもたちに、やることややれること(やりたいと思えること)をわかりやすくしてあげよう。やること以外は子どもたちに選んでもらえれば、日常も豊かで楽しくなるのではないか。
もちろん、YouTubeやゲームは、適切な時間で見たり遊んだりするならば、けして悪いものではない。気分が晴れたり、勉強になったり、新しいことが学べるももの多い。たまには親子で楽しんでもいいだろう。
YouTubeやゲームの長時間利用は、子どもだけの責任で起きることではない。また、長時間利用が当たり前となってしまうと、学校が再開しても学校生活に戻りづらくなる。保護者が適切に関われればかなり防げるので、少しだけ手間と時間をかけてあげてほしい。
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ITジャーナリスト
情報リテラシーアドバイザー、元小学校教員。書籍、雑誌、webメディアなどの記事の執筆、コンサルタント、講演などを手がける。著書に『ソーシャルメディア中毒』『できるゼロからはじめるLINE超入門』ほか多数。「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。
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(ITジャーナリスト 高橋 暁子)
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