海外経験0でも大丈夫。私のシンプル英語学習法、教えます。
プレジデントオンライン / 2020年4月26日 11時15分
■Google翻訳を叩き台にステップアップ
4年前、私の英語力は大学を卒業した時点から何も変わっていませんでした。しかし、弊社には「グローバルな人材を育てる」という意識があり、英語力がない状態でも、次第にネイティブの社員(海外支社)と仕事をするようになってきました。
その際、メールのライティングにはかなり鍛えられました。メールを書くときは、Google翻訳も活用していました。しかし、直訳したままではおかしな英語になってしまう。わからない言葉や表現、文法が毎回のように出てくるので、逐一、辞書や参考書、ネットなどで調べます。そうやって語彙力や表現力が自然と蓄積されていくとGoogle翻訳で出てきた文章が相手に伝わるものなのか、パッと見てわかるようになってきます。
でも実際に話す場に出てみると、あまりにも話せなかった、言いたいことが言えなかった。実際、メールのライティングはかなりの効果があったのですが、それだけでは話せるようにはならないのだと、実感しました。
弊社には、会社全体でグローバルな組織になっていくためのプログラムがいくつかあり、私は2017年からそのうちの2つに計1年間参加しました。ただ、どちらも英語を学ぶプログラムではなく、あくまで英語を使って、海外で働くネイティブの社員たちとリーダーシップや自社ビジネスの発展について考えていくものです。
そのプログラムの一環として、オンラインビジネス英会話の「ビズメイツ」にも入会しました。オンライン英会話はただのフリートークではありません。毎回レッスンが用意されており、順序立てて学習していきます。とはいえ、講師はアドリブを利かせてくることも多い。そのため、前回のレッスンの内容や会話の内容などから次はどんな話になるのか予想し、あらかじめ考えておくなど、自分なりの準備をするようになります。その結果、うまく会話が続いたときはとてもモチベーションが上がるのです。
![ディクテーション機能が付いたTEDのアプリ。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/9/250/img_5928dbb5210c0e162a1b384779a6bcfc91527.jpg)
個人的には、「TED」のアプリを活用しました。おすすめはディクテーション(音声テキストの転写)機能が付いている「TEDICT」や「TEDMe」といったアプリです。TEDの映像が流れ、虫食い状態になっている字幕に、英語を打ち込んだり、選択したりして、文章を完成させます。これはネイティブの人間が、ネイティブのペースで話しているので、難度はかなり高いと思いますが、英語を聞き取る力はとてもつきやすい。参考書や教材で聞くような綺麗な英語ではないというところもポイントです。
日本人は綺麗な発音にこだわるあまり、話すことを躊躇しがちです。私もはじめはそのタイプでしたが、プログラムの一環で現地(アメリカ)に行ってみると、日本人以外の外国人は無茶苦茶な英語でもとにかくよく話す。そこは本当に見習わなければいけないと思います。
メールのライティングでもオンライン英会話でもそうですが、人間、必要に迫られないとなかなか行動することができない。そういった状況を自分でつくってしまうことが、上達への近道になるかもしれません。
■老舗英会話教室はやはり手堅い
私は中学生の頃からずっと洋楽が好きで、英語に対するアレルギーがありませんでした。当時から、オアシスなど好きなバンドの歌詞を片っ端から日本語に訳していました。歌の意味を理解し、発音して歌ってみる。1000曲近くはそんなことを繰り返したでしょうか。歌詞は音楽に乗せるものなので、大幅に省略されたり、独特な言い回しがあったりします。HIP HOPになると、よりリズムや韻を大切にするのでその傾向は強くなる。この歌をつくった人は何を伝えたかったのだろうと考えるので、文脈から意味を考える力は身に付いたと思います。
このように、昔から英語になじんでいたということもあり、仕事に関しても私は海外志向が強かった。でも、いざ話そうと思っても、洋楽で培った英語だけではどうにもならない。そこで選んだのが、「ECC外語学院」です。
私は約2年間、週に1回レッスンに通い続けました。日本人講師のグループレッスンと、外国人講師の授業の2つを1日で受けていました。
■ECCには多業種、様々な年代の生徒が集まる
グループレッスンの強みは、生徒同士でも会話をするため、相手によって話す内容が変わり、応用力が身に付くことです。さらに、ECCには多業種、様々な年代の生徒が集まる。異業種交流の場としても機能しており、知見も広がります。
また、英会話の授業とはいえ、わからない点があれば日本語で日本人の講師に聞くほうが理解は深まりやすい。細かいニュアンスの部分まで英語で表現するのははじめは難しく、「何がわからないのか」を伝えられない。その点、日本人講師が常にいるというのはとても心強かったです。
外国人講師の授業では、1対1で40分間、英語で会話をし続ける。逃げる場所はないので、とにかく言葉に出すしかない。よく言われたのは、はじめは文法を無視してでも伝えるのが大切だということ。相手がネイティブならば、ある程度はくみ取ってくれる。黙ってしまうのがいちばん困るというのです。むしろ、ネイティブの人自身も、文法を無視した表現を使うことが多い。それが生きた英語ということでもあります。
ECCで身に付けられる英語は、空手でいう型だと思っています。英語というのは、日本語ほど曖昧さがなく、型がほとんど決まっている。その型さえできてしまえば、覚えた言い回しや表現などをプラスしていくだけで、よりネイティブな感覚に近づいていく。土台がしっかりとあれば、あとはどんどん伸びていくだけです。
私はECCで英会話を習得し、20年の3月からアメリカに赴任することになりました。5年間は在住する予定なので、ドメドメ日本人であった自分がどれだけネイティブ化するのか楽しみでなりません。
サイトで予約されたお客様のキャンセル、日程変更などの交渉を現地のホテルと英語で行う仕事をしています。
![繰り返し読みこんだ洋書はボロボロ。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/0/300/img_60e2fd3f023fa585c8015e2370909f2e152425.jpg)
仕事上英語は必須ですが、留学をしたこともなければ研修なども受けたことがありません。
私が主に英語学習で使用したのは洋書の小説です。一冊につき5~6回、計50冊以上は読んだでしょうか。わからない単語、文法、スラングなどはいちいち調べずに、内容が理解できる範囲で飛ばし読みします。文脈から予想して覚えてしまえば、頭から離れにくい。専門用語、業界用語などでない限り、洋書を読みながら辞書を引くことはほとんどありませんでした。
■英語を英語として頭に取り込めるようになる
このトレーニングを繰り返すうちに、頭のなかで英語を日本語に変換することが面倒になってきます。そこまでくれば、英語を英語として頭に取り込めるようになるので、自然と会話もできるようになってくるはずです。
最近ではネットフリックスの作品も非常に役立ちます。海外の作品を1度日本語の字幕で見て、内容を把握したうえで、次は英語の字幕で見てみる。さらにステップアップするなら字幕なしで見ることです。1つの作品でもいいので、英語で理解できるまで何度も繰り返し見ることが重要だと思います。
また、私が英語の基礎を身に付けた参考書はきわめてスタンダードなものです。文法は『Next Stage 英文法・語法問題』、英単語は『英単語ターゲット』。どちらのシリーズも高校生が持っているものです。日本の英語教育は、よく読み書きに特化しすぎだと批判されることがありますが、英語を話す際にその能力は大きなアドバンテージになります。むしろそれがないと、基本も何もない、実用性のない英語力しか身に付かないのではないでしょうか。
私は沖縄生まれ、沖縄育ち。20年以上前の話ですが、10代の頃は地元の暴走族に入り、毎晩のように単車で暴走行為に明け暮れていました。そんな私がなぜ英語がペラペラになったのか。それは、いつも私たちを見にきていた米軍の娘との出会いがあったからです。彼女はある日、カタコトの日本語で、「後ろに乗せてほしい」と私に言いました。そこから、僕たちの交際はスタートしました。
![単車に米軍の娘を乗せて、英語がペラペラになった。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/b/b/300/img_bbb723744689a2630b4c6a7e6d5cea35221894.jpg)
彼女と一緒であれば、私でも基地の施設に入ることができた。夜な夜な、基地内のディスコに繰り出しては、彼女の友人たちと語り合いました。ふたりでイヤホンを片方ずつ着け、MDプレーヤーで彼女の好きな「スタンド・バイ・ミー」を聴きながら、チークダンスをよく踊りました。歌詞の意味が気になって、辞書で一つ一つ単語を調べました。
基地のなかには映画館もあった。でも、字幕も何もないのでまったくわからない。映画が終わった後、彼女が「どうだった?」と聞くので、気休めに「面白かったよ」と言うと、「嘘つくなよ、おまえの英語力では、こんなの理解できるはずがないよ!」と激怒する。
こんなことを真正面から言う日本人はいないので、圧倒されました。
彼女には、間違った表現、差別用語、省いていい文字なども教えてもらいました。たとえば「I love you」は「I love u」と書くのが向こうでは一般的です。そして、何よりも文化です。基地内のトイレは足元が高く開いており、なかの様子がわかるんです。黒人の軍人が、大便をしながらハンバーガーをモシャモシャと食べているのがとても衝撃的でした。教科書や参考書では、文化までは学ぶことができないのです。
(プレジデント編集部 撮影=プレジデント編集部)
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