横文字連発で日本大混乱…コロナと同時に拡大した「新カタカナ語」辞典
プレジデントオンライン / 2020年4月16日 9時15分
■コロナと同時に急激に拡大したカタカナ語
新型コロナウイルスが都市部で急速に感染拡大している事態を受けて、安倍晋三首相は4月7日、東京など7都府県を対象に法律に基づく「緊急事態宣言」を行った。12日には首相自ら、星野源が歌う「うちで踊ろう」の映像に合わせて家でくつろぐ様子の動画をInstagram投稿するなど、国民への外出自粛要請に力を入れている様子がうかがえる。
だが、その動画も国民からは賛否の声があがるなど、政府の新型コロナウイルス対策はどこか空回りしている感が拭えない。コロナにまつわる言葉ひとつとってもそうだ。安倍首相や小池百合子都知事が記者会見で「オーバーシュート」や「ロックダウン」「クラスター」などのカタカナ語を連発する様子からは、国民に現状をわかりやすく伝えようという気遣いが伝わってこない。
感染拡大の抑制には、老若男女すべての国民の協力が不可欠だ。本来なら、コロナにまつわる呼びかけでは、どんな人にもわかりやすい言葉を使うのが筋であろう。
ということで、新型コロナウイルス騒動で大量に発生したカタカナ語や横文字についていけない人のために、意味の解説を簡単にまとめた。これを読んで少しでも新型コロナ対策への理解を深めていただきたい。
■オーバーシュートに「感染爆発」の語議なし
オーバーシュート
予測以上の感染者急増。感染爆発。英語のovershootは「通り越す」「行き過ぎる」などの意味で、それ自体に「感染爆発」の語義はない。新型コロナの感染拡大以前は、有価証券価格の「行き過ぎた変動」を指す言葉として、金融市場で用いられることが多かった。
ロックダウン
「都市封鎖」と訳される。緊急時、交通網を止めるなどして強制的な出入り制限を行うこと。日本では、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)にロックダウンへの言及はないため、諸外国のような厳密な意味での都市封鎖はできない。
クラスター
集団感染や、それによってできた感染者の集団。新型コロナウイルスにおいては、スポーツジムやライブハウスなどがクラスター発生源となった。
アウトブレイク
限られた狭い範囲で疾病が急増すること。その範囲は相対的なものであり、明確な区分けはない。新型コロナの流行が武漢にとどまっていたときの状態や、特定の病院内での感染者急増などを指す。
■エピデミックとパンデミックの違い
エンデミック
予測の範囲内において、一定の地域・一定の罹患率で感染症が広がること。風土病もエンデミックの一種。
エピデミック
予測の範囲を超えて、一定の地域や集団において感染症が大量に発生すること。
パンデミック
世界的流行。予測の範囲を超えて、複数の地域や国にわたって感染症が大量発生する状態。
インフォデミック
「インフォメーション(情報)」と「エピデミック(流行)」を組み合わせた言葉。不安定な状況下で根拠のない情報やデマが拡散されること。
ゾーニング
感染者がいる病院内などにおいて、感染領域と非感染領域を区分けすること。新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の「清潔ルート」「不潔ルート」は、きちんとゾーニングができていないとしてTwitterを中心に波紋を呼んだ。
エピカーブ
流行曲線。発症時刻と患者数のグラフ。
WHO
世界保健機関(World Health Organization)。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関。新型コロナウイルスを含め、感染症対策の指針を発信している。
COVID-19
新型コロナウイルス感染症の正式名称。「Coronavirus Disease, 2019」(2019年にコロナウイルスにより発生した病気)の意味。
※編集部註:初出時、COVID-19を「新型コロナウイルスの正式名称」としていましたが、正しくは「新型コロナウイルス感染症の正式名称」でした。訂正します。(4月21日18時23分追記)
■テレワークなのか、リモートワークなのか…
ソーシャル・ディスタンス
感染症などの拡大を防ぐため、意図的に人と人との物理的距離を保つこと。一般的には2mほどの距離を空けるのが効果的とされる。新型コロナウイルス感染症防止策としては、飲食店の席やスーパーマーケットのレジで人と人との間隔を広めにとるなどの対策が行われている。
テレワーク
自宅やサテライトオフィスなど、通常のオフィスから離れたところで働くこと。英語では「telework」と書き、「tele=離れた所」と「work=働く」の二つの言葉を組み合わせた造語。
リモートワーク
英語で「remote work」。「remote=遠隔の・遠い」、「work=働く」の二つが合わさってできた造語。テレワークとほぼ同じ意味で使われるが、総務省では「テレワーク」の呼び方を統一して使用している。
ベーシックインカム(BI)
最低限の所得を保証する制度。イギリスやアメリカ、スペインなどが、新型コロナウイルスにおける経済対策として導入を検討している。
コロナ禍
新型コロナウイルスが招いた危機的状況や不幸のこと。「コロナか」と読む。見出しの文字数に限りがある、マスコミなどが多用する。「禍」は「わざわい」の意味で、主に「人為的ミスなどにより発生した凶事」に使われる。外出自粛中にする鍋のことではない。
■ズームでオン飲みしようぜ!
ZOOM
アメリカ・カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、ズームビデオコミュニケーションズが提供するWeb会議サービス。新型コロナウイルス感染拡大防止に際して、多くの企業がセミナーやミーティング用に取り入れたことで有名になった。互いのIDを交換する必要のあるSkypeと違い、招待URLにアクセスすれば誰でも参加できる。
オン飲み
「オンライン飲み会」の略。ZOOMやLINEのビデオ通話、「たくのむ」等のオンライン飲み会サービスを用いて、離れた場所にいる友達などと飲み会を開くこと。外出自粛や居酒屋の営業自粛を受けて流行している。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、正しく情報を読み解くことが不可欠だ。言葉の意味を正確に理解し、一人ひとりが感染拡大防止に努めることが一刻も早いコロナウイルス収束につながる。
一方でマスコミには、発信者の言葉を一度咀嚼して、読者・視聴者にわかりやすく伝えることも責務としてあるだろう。こんな国家的危機だからこそ、情報弱者を生み出さないことに努力をするべきだ。かつて福沢諭吉が「サイヤンス」を「実学」と訳したように、ただ政府や自治体の発表をそのまま垂れ流すのではなく、もう少し工夫があってもいいのかもしれない……。
(プレジデント編集部)
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