最新アンケート「この学歴で結婚なら一生独身のほうがマシ」
プレジデントオンライン / 2020年5月23日 11時15分
■高年収の日東駒専vs低年収の東大の行方
「男性に求める学歴ですか? 特にこだわっているつもりはないんですけど……」
そう答えた佐々木詩帆さん(仮名・28歳)は早稲田卒。大学時代から英語を活かせる仕事に就きたいと考え、メーカーに入社し、ベトナムに駐在した経験もある。26歳を過ぎたころから、結婚を意識し始め、婚活パーティーに参加したり、マッチングアプリを使ったりするようになり、今まで10人ほどの男性に会ってきた。
「国際結婚にも興味があって、駐在中、アプリで出会ったベトナム人とおつきあいもしたんです。でも彼の年収が低くて、先が見えないと思ってお別れしました。結婚相手の条件に高い学歴は求めないんですけど、やっぱり稼げる人がいい。そこから逆算すると、『せめて大学は卒業していてほしい』となるんですよね」
同じく早稲田卒の柳早希さん(仮名・35歳)も、「パートナーの学歴は意識しない」というスタンスだ。金融業に従事し、10年。これまで趣味も持たず、ひたすら仕事に打ち込んできた。しかし最近、「このまま1人で生きていくのは寂しい」と感じるようになり、結婚相談所に登録した。会いたいという申し込みがあれば相手に会っている。
■仕事に対する情熱や姿勢に共感
「自分と仕事観が合う人がいいんです。ただ、自分の膨大な仕事量を伝えると、大体の男性は『家庭をつくる気があるのか?』と思うみたいで、目をひんむいたり、黙り込んだりしてしまうんですよね……。学歴は気にしてないんです。1度お会いした高卒の経営者は、仕事に対する情熱や姿勢に共感できることが多くて、波長が合いましたから」
結婚相手を選ぶ際、判断基準のひとつとなる「学歴」。「相手の学歴は気にしない」という声も聞こえるが、心の奥底ではどれぐらいの学歴であれば結婚していいと考えているのか。編集部では、1017人の独身男女に対し、インターネットを通じて「結婚と学歴」に関するアンケート調査を行った。
男性が理想とする最終学歴でもっとも多かった回答は、「大卒であれば、学校名にはこだわらない(以下・大卒)」(36.8%)だ。これが妥協できる最終学歴になると「高校」(39%)が一番多く、中学校、専門学校、短大を加えた「非・大卒」の合計は66.5%と全体の3分の2を占める(図1-1)。
女性も理想の最終学歴ナンバーワンは同様に「大卒」(43%)、妥協できる最終学歴も「大卒」(30.8%)がトップで、「非・大卒」の合計も44.6%ある(図1-2)。結果を見るかぎり、大学さえ出ていればある程度受け入れる層が存在し、婚活市場で困ることはないように見える。セレブ・高学歴者に特化した結婚相談所「アニバーサリーパートナー青山」代表の真央侑奈氏は、一般的な婚活市場について、「学歴にこだわらない女性は多い」と語る。
「自分が高学歴でないかぎり、『この学歴だったら会わない』とNGを出すことはほぼないですね。日東駒専クラスでも、『高年収』『外見がイケメン』などの強い魅力がひとつでもあれば、特別苦戦することはないと思います」
しかし、婚活は競争の世界だ。他人と比較したとき、学歴が評価の軸になることもある。
「同じレベルの外見や年収で、学歴に差がある2人がいれば、女性は高学歴の男性を選ぶ傾向があります。また、営業職で結果を出して年収1000万円の日東駒専クラスの男性と、それよりも年収の低い官僚や研究職に就いている東大の男性なら、おそらく後者を選ぶ女性のほうが多いのでは。高学歴を感じさせる仕事内容や稼ぎ方に、女性はつい尊敬の念を感じやすいんです」(真央氏)
今回の調査で改めて見えてきたのは、高学歴志向だった。「結婚相手が自分より低学歴・低偏差値でもよい」と答えた女性は50%。理想の最終学歴としてあがった「MARCHクラス」「国立・早慶クラス」を合計すると、25.9%。実に4人に1人の女性が、MARCHクラス以上の男性との結婚を夢見ていることになる。現実の婚活市場を見ても、高学歴男性の需要は高い。
「東大・早稲田・慶應(以下・東早慶)クラスの男性なら、35歳までであれば、年収がそこまで高くなくてもほぼ結婚が決まります。ただ、高学歴男性の弱点は、余裕があって危機感が薄いこと。大企業勤務で今後も年収が上がっていく展望があるから、女性もついてくるだろうという自信を持って、39歳ぐらいではまだ焦りません。気がつくと年齢を重ねてニーズが低減している、というケースもあります」(真央氏)
そして男性だけでなく、女性に対しても高学歴志向が垣間見えた。アンケート調査で、「相手が自分より高学歴・高偏差値でもよい」と答えた男性は62.9%。男性は自分よりも高学歴の女性を敬遠しがちなイメージがあるが、約6割はこだわっていないのだ。真央氏によれば、近年、経済の先行きが不透明になったことから、共働きを希望する男性が増加。いわゆるバリキャリ女性への需要は年々高まっており、「『頑張る女性をサポートする側に回って、自分も生活レベルを上げたい』という男性もいる」(真央氏)という。
■慶應は結婚相手に同窓を選ぶ
個別の大学ではどこが人気なのか。
「男性で人気があるのは東早慶。それ以外だと一橋や東工大でしょうか。『就職を頑張っている』『男性率が高く、力強さや逞しさがある』というイメージがあって、印象がいいんです。女性では上智や青学の結婚が決まりやすい。家が裕福だったり、女子力を磨いたりして、セレブ婚を実現してる女性が多い気がします」(真央氏)
東早慶の中で評価が分かれやすいのが、東大だ。エリートを数多く輩出する強みがある半面、「頭の回転が速すぎて話についていけない」「異性とのコミュニケーションが苦手」などの典型的なイメージから遠慮する女性が一定数いる。対して早慶は「勉強も恋愛もバランスよく取り組んできた」と思われることが多く、評価が高い。
結婚相手として早慶のどちらがよいか、アンケート調査した結果、男女合わせて早稲田を選んだのが7.3%、慶應が9.7%と大きな差はなかった(図4)。早稲田を選んだ理由で目立ったのは、「庶民的なイメージ」「慶應は遊んでいそう」。対して慶應は「育ちがよさそう」「真面目なイメージ」だ。
「早慶の男性人気を比べると、完全に女性の好みで、どちらかが上ということはないですね。ただ婚活する立場からすると特徴があって、慶應の方はとにかく堅実で、経歴や家柄を重視します。特に女性は理想が高くて、なかなか決まらないことも。また団結力が非常に強く、男性が同窓の女性を好むのも慶應の傾向です。一方で早慶卒の女性に共通していることは、結婚相手の男性に少なくともMARCHクラス以上の学歴を望む女性が多いということ。最終学歴がそれ以下だと、最初から『会わない』という方もいます」(真央氏)
一方で、高学歴の女性は、自分の学歴を不利だと考えている側面もある。調査でも、女性が不利と回答している比率は、男性に比べると高い(図5)。冒頭で紹介した早稲田卒の佐々木さんと柳さんは、婚活の際、大学名を自らアピールしないという共通点があった。その理由は、「早稲田卒を誇っている女性に見られたくない」(佐々木さん)、「『すごいですね』と言われてそれに謙遜するやりとりが面倒」(柳さん)であるから。婚活市場で高学歴女性のニーズが高まっていても、誰しもがそれを感じているわけではないようだ。
■自分より低学歴だと建設的な話が難しい
では、高学歴の男性であれば婚活市場で圧倒的な勝ち組になれるかといえば、そうともかぎらない。慶應卒の藤村亮さん(仮名・33歳)は、通信業の仕事に関わり年収700万円。自分の学歴は婚活においてプラスになっていることを自覚している。
「自分はべらぼうに年収が高いわけでもなく、身長も若干低い。それなのに、女性側から『会いたい』という申し込みが来る理由は、大学のネームバリュー以外に考えにくいので」
藤村さんは2年前に婚活を開始し、これまで30回のお見合いを経験した。何回か「交際したい」という申し出を受けたが、断って今に至るという。
「当初は気にしなかった相手の学歴を、婚活中に気にするようになったんですよね。僕は乗馬と絵画鑑賞が趣味で、旺盛な知的好奇心についてこられる女性を探すと、どうしても高学歴になってしまうことに気づきました。高卒の歯科衛生士とお見合いした際、『素敵な趣味ですね』と言われたけれど話が続かず、関心範囲の狭さを感じましたし……。自分より学歴の低い方とは建設的な話ができない気がします」
高学歴ゆえにハードルが上がり、それが藤村さんの結婚を妨げているようだった。「学歴は気にしない」と考えてはいても、その後に「ただ……」という条件の補足はついて回る。そして、学歴に付帯する「収入」や「仕事」に意識は向かい、相手も同じように自分を見ている。これからも学歴は、婚活市場で静かに、そして強い影響力を及ぼしていくのだろう。
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早稲田大学第一文学部卒。2011年に結婚相談所「アニバーサリーパートナー青山」代表取締役に就任。「東早慶倶楽部」「士業倶楽部」などのサービスを展開する。
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(プレジデント編集部 鈴木 工)
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