学校のオンライン化を待てない富裕層が、いま自宅で実践している教育法5つ
プレジデントオンライン / 2020年4月24日 9時15分
■なぜ日本では公立校でオンライン授業ができないか
新型コロナウイルス感染防止のため世界的に自粛の動きですが、気になるのが「教育格差」です。休校がこれだけ長引けば、自学自習できる児童生徒・学生と、そうでない人との差は確実に広がるからです。
日本に限らず多くの国で学校は休校が続いていますが、海外に子弟を留学させている私の知人の富裕層に聞くと、すでにオンライン授業に舵を切り、試行錯誤しつつもかなり満足度の高い教育内容になってきていると言います。
むろん学校や教師によって違いはあるものの、先生たちは総じて生徒一人一人に対してきめ細かくフォローしようという姿勢であるとのことです。
日本でも一部の私立校などで対応は始まっていますが、特に公立校では「方針や方向性が出ていないから」「設備や環境が整っていないから」という理由で、自習は生徒任せ(つまりほぼ放置状態)の学校が多いようです。
もともと学校という世界そのものがIT化から遅れており、教師のITリテラシーも高くないため、積極的に動きにくいという側面もあるのでしょう。あるいは意識の高い一人の教師が何か始めると、スタンドプレー扱いされる懸念もあるのかもしれません。
しかし、ここで教育の空白期間が長く続いてしまうと、登校したときには圧倒的な学力差ができてしまいます。
■学校のオンライン化で何が起きるか
感染防止や経済対策も重要ではありますが、教育はそれらの声にかき消されてしまっているのが現状です。
「国の未来はいまの子どもたちが担う」という大前提のもと、文部科学省や教育委員会、そして校長は、声を大にして一気に「オンライン教育」へ舵を切る必要があると私は考えています。
それはアフターコロナの時代になっても有用です。
なぜならオンライン化が進めば、学校という場には「そこに生身の人間同士が集まるからこそ意味がある授業」だけが残るからです。「先生がしゃべって生徒は聞くだけ」という授業はオンラインに代わり、重いテキストを毎日運ぶ必要もなくなります。ドリルやミニテストもタブレットの中に入れば、たとえば苦手な問題だけが繰り返し出題されるなど個々人の進度や理解度に合わせた復習が可能となり、テストの採点といった先生の負荷も軽減され、よりきめ細かなフォローができるでしょう。
■学校の変化を待ってられない富裕層が、取り組んでいること
しかし、学校が動かないからといって待ってはいられないので、ここは親や本人が自発的に取り組むしかありません。そこで日本に住んでいる私の知人の富裕層数人に、子どもたちの教育はどうしているかをヒアリングしてみました。
1.親子で一緒に勉強タイムを設けている
小学生ぐらいのお子さんだとどうしても生活リズムが乱れやすいらしく、親が先導する必要があるとのこと。
そこで時間を決め、親子で並んで勉強するようにしている家庭がありました(経営者とはいえ親もリモートワークで家庭にいるため)。親は自分の仕事をして、子どもはその横でドリルを解いたりタブレット講義を視聴しているそうです。
別の親子は、親子で漢字検定の受験を目指しており、級は違っても同じ目標を設定して一緒に勉強をしているということでした。
2.弱点の徹底補強の期間に充てる
特に算数や数学は、以前に習ったことを前提により難易度が上がっていく積み上げ型の教科のため、途中でつまずくと、そのあとがまったくちんぷんかんぷんになってしまいます。
それで算数・数学が苦手、キライという人が多いのですが、このまとまった時間を使えば、自分がどこでつまずいたのか、その源流までさかのぼって復習することができます。
中学受験を目指すあるお子さん(小学6年生)は算数が苦手とのことで、小3のドリルから解き直してキャッチアップを図っているそうです。別の家庭の高校2年のお子さんも、中学の数学から復習しているそうです。予備校の講義動画などが多数あるので、それで勉強しているようです。
■今のうちに先取りしておきたい科目とは
3.先取り学習
これも受験を控えている家庭の話ですが、
特に習得に時間がかかる教科、たとえば英語や国語などです。
海外の大学に進学を希望する高校生の娘さんを持つ人の話では、
個人的なおススメは歴史書の通読です。どうしても暗記中心の無味乾燥な勉強になりやすい科目ですが、
こうしたものをじっくり読んでおくと、
何より歴史の面白さに目覚めるのではないでしょうか。
4.親が情報収集している
高校生以上になると、教育コンテンツは自分で調べたり、友達同士のネットワークで情報を仕入れたりできますが、10代前半ぐらいまでは情報収集能力の差が大きく、親の助言が必要な場面もあると思います。
特に有料コンテンツともなれば親が権限を握っていることも多いでしょうから、親の情報格差が子の教育格差にならないよう、親が調べて「こんなのはどう?」「これ面白そうじゃない?」と提案する必要もあるでしょう。
とはいえ「これをやりなさい」という強制では子はモチベーションが高まらず、受け身となって思考停止してしまうので、やるかやらないかの判断は子に任せることです。
私の卑近な例ですが、5歳と3歳の息子にはそれぞれタブレットを与えており、おススメ知育アプリをこっそりインストールしています。子どもたちは目ざとく見つけ、それで遊んでくれるのです(笑)。
5.お稽古事の復習
勉強とは何も学校の科目だけに限りません。一日中勉強などしていられませんから、趣味の分野でも才能を伸ばせる時間になるでしょう。
SNSにアップされている私の友人知人のウォールには、自宅でトランペットの練習をしたり、イラストを描いたり、ロボットのプログラミングをしたりしているお子さんの写真がアップされていて、それぞれ充足した時間を過ごしている様子がうかがえます。(ただ、体力低下に伴う免疫力の低下も心配なので、適度に運動させたいものですが、公園等の施設は閉鎖されているところが多く、散歩ぐらいしかできないのが悩みのタネだと嘆いています)
以上が私の周囲でヒアリングした内容ですが、やはり重要なのは「子の意思、子の好奇心」を重視することです。
そうなると「ゲームばかりして困る」ということにもなりかねないのですが、小学生以下には「楽しんでできる学習方法」を提案し、中学生以上では「英検や進学など身近な目標を持ってもらう」よう促すと良いかもしれません。
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米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。
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(米国公認会計士 午堂 登紀雄 写真=iStock.com)
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