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コロナ地獄の中で、神対応が話題の各国リーダーたち。一方で安倍晋三は…

プレジデントオンライン / 2020年4月23日 9時15分

2020年4月8日 - 写真=AFP/時事通信フォト

世界中が新型コロナウイルス感染拡大による医療崩壊の危機や経済への打撃と必死で闘っている今、問われているのは政治的リーダーの指導力や判断力かもしれない。迅速な対応と強いリーダーシップで支持を集める者もいれば、的外れな発言を繰り返して批判の的となる者もいる。SNSの活用にも注目だ。

■国内3000世帯に手紙を送付したボリス・ジョンソン

【イギリス】ボリス・ジョンソン首相

イギリスは、現地時間3月23日にロックダウン宣言を行った。自身もコロナに感染し、4月12日に入院していたロンドンの病院から退院したボリス・ジョンソン首相は、症状が出るまでほぼ毎日のように自ら記者会見を行って専門家とともに感染拡大の状況や対応を説明していた。

また、3月末には国内の約3000世帯に手紙を送付。飾らない言葉で支持を集めた。

手紙の冒頭では「もしあまりに多くの人が一時に深刻な病状に陥れば、NHS(イギリスの国民保健サービス)は対処できなくなってしまいます。(中略)私たちは可能なかぎり命を救うために、この病気の感染拡大を遅らせ、病院での治療を必要とする人々の数を減らさなくてはならないのです」と率直に述べている。さらに、同居する家族や友人以外に会わないこと、極力家に留まること、外に出るときは他者と2メートルの距離をあけることなど、国民がすべきことを端的に示し協力を求めた。

■メルケル首相「制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」

【ドイツ】アンゲラ・メルケル首相

ドイツのメルケル首相は3月18日、14年超の在任の中で、恒例となっている毎年の大晦日のものを除いて初めてのテレビ演説を行った。

演説の中でメルケル首相は、新型コロナウイルスの感染拡大について「東西ドイツ統一以来、いや第二次世界大戦以来の試練だ」と表現して国民に危機感を持たせた。また、一時にあまりに多くの感染者が増えれば、医療システムが「完全に参ってしまう」と発言。人々が他者との接触を避け、感染者の数を抑えることがいかに重要かを説いた。

メルケル首相は旧西ドイツ生まれで、生後まもなく西側への移動が禁じられた旧東ドイツに移住しており、移動を制限された暮らしの不自由さについて身をもって知っている。しかし、「旅行や移動の自由を苦労して勝ち取った私のような者にとって、こうした制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」として、国民に真摯に理解を求める姿で支持を集めている。

ドイツ-健康-ウイルス
写真=AFP/時事通信フォト
2020年4月9日 - 写真=AFP/時事通信フォト

■ライブ配信で国民の質問に答えるNZ首相

【ニュージーランド】ジャシンダ・アーダーン首相

ニュージーランドの新型コロナウイルスに対する対応は、他の国とは一線を画している。国内で感染者が確認されるより早く、2月3日の時点で外国籍の人の中国からの入国を禁止。同月28日に国内初の感染者が確認されると、直後に入国禁止の対象国を拡大。3月19日には世界のすべての国からの入国を禁じ、「鎖国状態」となった。

アーダーン首相は鎖国の翌日にテレビを通じて国民に新型コロナウイルス対策に関する説明を行った。彼女は1982年以来初めて官邸からテレビで国民に呼びかけたニュージーランド首相だという。

アーダーン首相の国民に対するメッセージはメディアを通じたものにとどまらず、3月26日には外出制限中の国民に向け、自宅からFacebookを通じてのライブ配信を実施している。スウェット姿で登場した首相は配信の中で「外に散歩に出てもいいの?」といった国民からの質問にリアルタイムで答え、支持を集めた。

■オフィス内で腕立てジョギング、ウガンダ大統領

【ウガンダ】ヨウェリ・ムセベニ大統領

ウガンダでは、4月1日からショッピングモールや商店街、宿泊施設など商業施設の営業停止や、公共交通機関の停止などのロックダウン措置を行っている。当初この規制は入国・出国や航空輸送の中止、非食料品市場の営業停止を32日間とするほかは14日間を予定していたが、4月14日に5月5日までの延長が発表された。ロックダウンを伝えるガイドラインには大統領の写真が使われ、ツイッターやFacebookのアカウントも記載されている。

ムセベニ大統領は自らのツイッターで国民に対して家にいるよう呼びかけ、4月9日には「集団でジョギングをしている人たちを見てがっかりした」という書き出しのツイート(書き込み)を投稿。「運動のために外へ行く必要はない」として大統領が自らグレーのジャージに裸足の姿で、オフィス内でジョギングや腕立て伏せなどをしている動画を公開した。

■「家でプレステしてろ!」とイタリアの市長

【バーリ】アントニオ・デカロ市長、レッジョ・ディ・カラブリア ジュゼッペ・ファルコマータ市長(イタリア)

イタリアでは感染者が多数発生した自治体を政府が封鎖するなどの対策を進めていたが感染の連鎖を止めることはできず、3月10日には一部地域に限定していた移動制限措置を全土に拡大した。また、12日からは食料品店と薬局を除くすべての店舗を閉鎖。19日には新型コロナウイルスによる死者数が世界最多となった。しかしそんななかでも3月末には外出自粛指示を守らず外出する市民が後を立たず、各市の市長が激しい言葉で家に留まるよう訴えた。

南部バーリのアントニオ・デカロ市長は外で卓球する市民に向けて、「家でプレイステーションしてろ!」などと叱責するシーンが話題となった。また、南部のレッジョ・ディ・カラブリア市長ジュゼッペ・ファルコマータ氏は「これは映画じゃない。あなたは『アイ・アム・レジェンド』のウィル・スミスではないのだから帰宅しろ」と、SF映画でただ一人生き残った主人公に例えて外出中の市民を注意したと報道された。

■イスラエルは大統領がテレビで絵本読み聞かせ

【イスラエル】ルーベン・リブリン大統領

イスラエル政府は感染が拡大する各国からの入国を拒否し、3月9日には全ての国からの外国人の入国を拒否するなど、世界でも迅速かつ厳粛な新型コロナウイルス対策を行ってきた国だ。しかしそれでもウイルスの封じ込めはできず、3月14日にはすての教育施設の閉鎖が発表された。それ以降も、公共施設への訪問が禁じられ、食料品や医薬品の調達などのやむを得ない場合を除いて外出しないように国民に求めた。

そんななか、3月31日にはリブリン大統領が自ら、テレビを通じて絵本の読み聞かせを行って話題になった。これは教育機関が閉鎖になり、自宅待機を強いられた子供たちを持つ親たちが休めるようにという配慮によるものだという。ちなみに、イスラエルの大統領は儀礼的存在であり、行政府の主張は首相であるベンヤミン・ネタニヤフ氏が務めている。

■ブラジル大統領「私たちは、いつかどうせ死ぬのだ」

【ブラジル】ジャイル・ボルソナロ大統領

「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ大統領は、3月24日、政見放送で新型コロナウイルスを「軽い風邪」呼ばわりした。自身の支持者には「私たちは皆、いつかどうせ死ぬのだ」などと語ってロックダウンを否定、サンパウロ州などが取った外出制限措置には、「犯罪だ。国を破壊している」などと批判を繰り返した。

また、3月下旬には自身のツイッターとフェイスブックに「60%から70%の国民が感染することでブラジルに免疫がつく」「特効薬はもうすぐできる」などと投稿し、デマとして両社に削除されている。

こうした発言は国内外から批判を集め、対策を進める保健相やリオ連邦地裁の判事らとも対立している。ブラジル国内の感染者数は右肩上がりだが、いまだ大統領の事態の軽視は変わらず、商業活動の制限には消極的だ。

■我らの総理が投稿した動画は大大大炎上

【日本】安倍晋三総理

安倍総理がコロナに関して初の会見を行ったのは、国内の感染者数が200を超えていた2月29日のことだ。既に国内ではマスクや除菌スプレー、トイレットペーパーやティッシュなどが品薄になり、混乱を極めていた。

同会見で安倍総理は「躊躇なく対策を講じてきた」などと発言し、3月2日からの全国一斉臨時休校要請を発表した。しかし、一方的に冒頭で文章を読み上げたのち、記者からの質問も数問しか答えず、不満に思う国民も出た。

また、マスクの不足に関しては当初から品薄の解消を行うとしていたが解決はなされず、4月1日には全世帯に布マスクを2枚配布すると発表し「エイプリルフール?」などと揶揄されることとなった。この施策は批判を集めながらも敢行され、4月第3週以降、順次配布される予定だ。

さらに、4月12日朝に安倍総理はSNSアカウントに動画を投稿。ミュージシャンの星野源さんが歌う動画とのコラボレーションが流行っていたものに、安倍総理が“乗っかった”形だが、大炎上した。「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています」などと安倍総理はメッセージを添えたが、「友達に会えないのではなくて、なかなか進まない政府の対応にイライラしている」などと批判が殺到した。

新型コロナウイルスの終息はいつになるのか、終息したとき、国民の生活や経済はどのようになっているのか、政治的リーダーの手腕が明暗を分けることになるかもしれない。

(フリーランスライター 梁 観児)

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