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コロナショックで住宅ローン破綻! 手遅れになる前にするべきこと

プレジデントオンライン / 2020年4月30日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/eggeeggjiew

新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、住宅ローンの返済が滞るとどうなるのか。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は、「優遇金利が受けられなくなる、新たなローンが組めなくなるなど、多くの不利益を被る。最悪なのは、もし夫などの債務者がコロナで亡くなっても、団体信用生命保険(団信)が履行されない可能性があることだ」という——。

■収入減少した家計では住宅ローンなどの固定費は痛い

4月7日に発令された、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言から2週間が経過した。実施期間は5月6日までとされているが、感染者数の拡大ペースや医療機関の状況等によっては、期間が延長される可能性もある。

おそらく、ほとんどの人が、事態の収束までには、さらに時間がかかること。そして、国民生活や経済への影響も長期化することを予想しているのではないだろうか。

外出自粛を受け、休業や営業時間短縮を求められた飲食店等のオーナーは、「店を開けなくても、家賃や光熱費などのコストがかかる」と固定費の負担を訴えているが、それは、個人も同じこと。収入減少が続けば、真っ先に住宅ローンなど固定費の支払いが滞る。

そこで今回は、コロナショックによって、住宅ローンは払えなくなった場合にどうなるか? どのような対処法があるかをご紹介しよう。

※以下、2020年4月21日時点の情報をもとに執筆

■コロナで銀行への相談がじわじわと増加

コロナの影響によって、返済不安が高まり、住宅ローンを見直す人が増えている。

首都圏にある銀行の担当者に聞いたところ、実際に、影響はじわじわと出ており、特に自営業者等に関しては、平日でも3~4件の相談は当たり前だという。

住宅ローンだけでなく、資金使途が自由なフリーローンや既存借り入れの奨学金の返済に関しても相談がかなり増えているそうだ。

それもそのはず。誰もが、このような状況になるとは思いもせず、ここ数年、住宅購入への意向は強かった。

住宅市場動向調査(※1)によると、2019年度の一般消費者の住宅の買い時感は、「買い時」が53.4%(前回調査50.6%)と半数以上を占めていた。

※1:住宅金融支援機構「2019年度における住宅市場調査について」(2019年5月)

2019年は、10月から消費増税が実施されたものの、マイナス金利政策の導入以来、依然として住宅ローン金利は低かったこと。増税にともない、すまい給付金や贈与税の非課税措置、住宅ローン減税などが拡充されたことに後押しされて、買い時と判断した人が多かった。

■「共働きだからリスクが低い」という誤算

そして、実際に購入した人の平均像はどうだろうか?

2019年に首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県等)で、新築分譲一戸建ての購入者を対象に行った調査(※2)によると、平均購入価格が3902万円と、前年より400万円近く低下したものの、契約世帯の平均年齢は36.3歳(前年36.5歳)と「30~34歳」(31.2%)が最も多い。

※2:株式会社リクルート住まいカンパニー「2019年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調」(2020年4月3日)

また、5年前(2014年)と比べると「20代」(17%)の占める割合が増え、ライフステージでも「DINKS世帯(夫婦のみの共働き家庭)」(19%)の増加が顕著となった。

ただし、20、30代の若年層の購入者が増えたことで、平均世帯総年収と平均自己資金は、712万円(前年763万円)と514万(同614万円)と、前年より大きく下回っている。

購入者の平均的な実態から、「いずれ買うなら、若くて子どもがいない共働きの間に、住宅を購入したい」という意向が透けてみえるが、相対的に、この世代は収入や預貯金などが少なく、家計を維持するための体力(資本)が脆弱だ。

「共働きだから、どちらかが病気で倒れても何とかなる」と思っていても、今回のコロナ禍のように、自分たちの努力では何ともしようがない状況下では通用しない。

ちなみに、同調査では、新築分譲マンションの平均購入価格は5517万円と、戸建てよりも1600万円以上高かった。戸建て派もマンション派も影響があることに変わりない。

■住宅ローンの返済が滞るとどうなるのか?

では、もし住宅ローン返済が滞った場合、どうなるのだろうか? 時系列でみてみよう。

残高不足で、つい、うっかり延滞してしまっても、すぐに銀行から連絡が来るわけではない。滞納2カ月くらいまでは、コールセンターからの電話や郵便物などで督促がくる程度だが、そこで連絡せず、延滞したままにしておくと「延滞遅延金」が発生してしまう。

昨今の低金利の影響で住宅ローンも低い水準が続き、変動金利なら0.3~0.4%で借りられる。それが住宅ローンの遅延延滞金の金利は14.6%。これが、返済日の翌日から支払い遅延した元金に対して日割りで利息がかかってくる。

例えば、住宅ローン残高3000万円、遅延した月の返済元金15万円、遅延日数20日の場合、遅延損害金は1200円(=15万円×14.6%÷365日×20日)だ。

微々たる金額と感じるかもしれないが、日割りで計算されるだけに、そのままにしておくと、チリツモでとんでもない金額になる可能性もある。

督促されだすと早ければ、3カ月で一括返済を求められ、さらに滞納が続くと、6カ月くらいで競売にかけられ売却処分という流れだ。

もちろん、最終的な選択肢である競売は避けたいだろうが、仮に、返済のめどがつかず、競売で家が売却できたとしても、それがローン返済額を下回れば、マイホームを手放すだけでなく、住宅ローンという債務が残る。

■最悪は、団信失効で死亡しても住宅ローンが弁済されないこと

このほかにも、延滞した場合のデメリットは少なくない。いくつか例を挙げてみよう。

● 優遇金利の対象から外れる

住宅ローンを返済している人の多くは「優遇金利」が適用されているはずだ。

これは、文字通り優遇されている金利のこと。それぞれの金融機関が設定する所定の条件(給与振込口座や公共料金の引き落とし口座の指定、ネットバンキング登録など)を満たした場合、店頭金利(基準金利)から、優遇金利が差し引かれて適用される。

優遇金利の適用期間や優遇幅は、金融機関や商品によって異なるが、延滞が発生すると、対象から外れ、一気に毎月のローン返済の負担額がアップしてしまう可能性がある。

クレジットカード作成や新たなローンが借りられなくなる

延滞すると信用情報機関の事故情報リスト(いわゆるブラックリスト)に記録が残り(5~10年)、新規のクレジットカード作成や利用、新たにローンを組むこと等ができなくなる。ブラックリストに掲載される基準は、「61日以上の延滞または3回目の支払日を超える延滞」が目安なので、3回以上の延滞は要注意だ。

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団体信用生命保険の保険金が支払われない

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最悪なのは、債務者(夫など)がコロナで亡くなっても、団体信用生命保険(団信)が履行されない可能性があることである。

住宅ローンを組む場合、団信への加入が借入時の条件で、万が一、債務者が死亡した場合等は、ローン残高に相当する保険金が支払われる仕組みとなっている。

団信は、契約者=銀行、被保険者=債務者だが、延滞が続くと、銀行から保証会社に住宅ローンの債権が移る。その時点で、団信は失効(というよりも終了)してしまう。

実際、債務者(夫)の長期入院中に、妻は住宅ローンが延滞していることに気づかず、夫死亡後、団信で住宅ローンの残債が弁済されなかったケースもある。

借金(マイナスの財産)も相続の対象となるので、遺族は、相続放棄等の手続きをするか、保証会社から債権回収を請け負った業者に住宅ローンを返済し、最終的に返済できなければ、競売となる。要するに、延滞しても何一つ良いことなどない。

■ローン返済に困窮したときの対処法3つ

では、住宅ローンの返済が厳しくなった場合、どうするべきか?

その1~速やかに銀行に相談する(返済方法の変更等)

まずは、銀行に早めに相談すること。ここで肝心なのは「早め」にという点。延滞してしまうと、返済方法の変更ができなくなるからである。

返済方法の変更はニーズや要望によってさまざまだが、最近は、退職金などで繰り上げ返済を申し出たり、返済期間を延長したりといったケースが多いようだ。

なお、銀行への相談をハードルが高いと感じている人も少なくないが、今の銀行は、まさに10年前の中小企業金融円滑化法(※3)の対応時の再来といった様相を呈している。

※3:リーマンショック後の対応策として、2009年から2013年まで実施。主に、中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた場合、できる限り貸し付け条件の変更等を行うよう努めることなどが盛り込まれている。2013年3月末の終了後も、金融庁は、金融機関に任意でどれだけ条件を変えたかなど実行報告を求め、金融検査マニュアルや監督指針などに取り込まれる形で、実質的に継続。
出所:住宅金融支援機構「今般の新型コロナウイルス感染症の影響により返済が困難になっているお客さまへ」

みずほ銀行や三井住友銀行、りそな銀行など、多くの銀行では、コロナ感染拡大に対応した相談窓口を開設し、休日の窓口の案内やメール、電話での相談に積極的に応じている。外出自粛を受け、ソニー銀行などオンラインの相談窓口を開設した銀行もある。

また、「フラット35」を提供する住宅金融支援機構では、過去に災害等に対して特例措置を行っており、今回も返済特例などのメニューを提示。問い合わせも増加しているという。

■審査不要で借り入れをする方法とは

その2~無利子・無担保融資を利用して急場を乗り切る

政府は、売り上げが急減した中小企業や個人事業主を対象に、無利子・無担保の融資を行う方針を示している。個人に対しても、生活支援として「緊急小口資金」(上限10万円、学校休業など特例20万円)や「総合支援資金」(上限月額は単身世帯15万円、二人世帯20万円)の貸し付けを住宅よりも拡充して行っている(いずれも社会福祉協議会が窓口)。

もちろん、借金なので返済する必要はあるが、将来的に返済が見込めるのであれば、有利な条件で融資が受けられるものを優先的に利用したい。

このほか、加入している生命保険を担保に「契約者貸付制度」が利用できないか確認してみよう。銀行などと違って審査は不要。借入限度額は解約返戻金の70~80%前後である。現在は、コロナの特例措置により、ほとんどの生命保険会社が無利子で貸し付けを行っている。

■オンラインで借り換えの無料相談が受けられる

その3~借り換えを検討する

借り換えとは、新たに住宅ローンを借りて、返済中の住宅ローンを一括返済すること。

借り換えメリットは、現在返済中の住宅ローンとの「金利差1%以上」、「ローン残高1000万円以上」「残債期間10年以上」というのが一般的な目安。ただし、これに該当しなくても、削減効果が見込める場合も少なくない。

新たにローンを組むわけだから、これも住宅ローンを延滞しているとNG。しかも、審査や手数料などがかかる反面、有利なローンに乗り換えられれば、総返済額は圧縮でき、毎月の返済負担も軽減される。

住宅ローン相談サービス「モゲチェック」では、オンライン完結で、借り換えに関する無料相談や実行までサポートしてくれる。在宅勤務で、時間に余裕がある今だからこそ、チェックしてみてはいかがだろうか?

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黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
プレジデント誌でもおなじみのFP。お金の管理に関するプランニングや講演、メディア出演を行うと同時に、自身のがん経験を生かし、病気時の資金繰りサポート活動にも力を入れている。近著に『三大疾病 ライフプランニングハンドブック』(金融財政事情研究会)。

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(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

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