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アフターコロナ注目「歯のITベンチャー」デンタルテックをご存知ですか?

プレジデントオンライン / 2020年5月8日 11時15分

歯っぴーが提供するアプリの使用イメージ。

AI(人工知能)などの最新技術の活用が「歯」の領域にも広がり始めている。「歯=デンタル」と「テクノロジー」をかけあわせた「デンタルテック」と呼ばれるベンチャー企業3社のサービスを紹介する。

■【AI歯周病チェック】スマホでかんたんにわかる

日本人成人の約8割がかかっていると言われる歯周病。なんと近年目覚ましい発展を遂げるAIを使えば、自宅で歯周病リスクをチェックできると語るのが、デンタルテック企業である歯っぴー(熊本県)代表の小山昭則さんだ。

「歯周病かどうかの検査は、細い針を使ったプロービング検査を行います。あるとき、歯周病専門の先生に話を聞いたのですが、プロービング検査をしなくても、見た目で一定程度歯周病かどうかがわかるとのことでした。そこで、AIによる画像解析を活用すれば、専門医と同様に歯周病かどうかがわかるのではないかとひらめいたのです」

歯周病にかかっている人は、歯石の状況や歯肉の形状、歯茎の色に特徴が表れる。そのため、歯の写真と歯周病検査の結果をAIに学習させることができるのだ。すると、スマートフォンなどで撮影した歯の写真をAIに解析させれば、歯周病リスクがあるかがわかるというわけだ。小山代表は大手電機メーカーで研究開発を行っていた経験を活かし、2018年に起業した。

「福岡市などが創設した『福岡ヘルス・ラボ』で、福岡歯科大学を含む産学官連携で18年に実証実験を行いました。実証実験の結果、歯周病かどうかの客観的正答率は67.2%。まだ決して高い精度とは言えませんが、低くもないと考えています。AIは歯の色も解析していますが、撮影環境で歯や歯茎の色が影響を受けることもあります。そういった課題を1つずつ解決していけば、より高い精度になっていきます」(小山代表)

歯周病かどうかの診察は、いずれにせよ歯科に行く必要がある。しかし、歯周病は自覚症状がなかなか表れず、気づきにくい。

「開発中のアプリは、福岡市や神戸市の市民向け健康イベント、広島県福山市の特定健診などで実証実験を行っています。最近はドラッグストアにもご協力をいただいています。歯の写真を撮るだけで歯周病リスクの大・中・小がわかります。リスクがあるとわかったら、歯科医に行こう、歯みがきをしっかりしようといった行動に結びつく。それで、皆さんの歯の健康に役立ちたいと考えています」(同)

■【IoT歯ブラシ】口臭チェックが毎日できる

人と会うときに「口が臭い」と思われたくはないだろう。そこで、口臭を検知するセンサーを搭載させた電動歯ブラシを開発中というデンタルテック企業が大阪府にある。NOVENINE(ノーブナイン)代表取締役社長の廣瀬智一さんは、次のように語る。

現在開発中の口臭センサー付き電動歯ブラシ「SMASH」。
現在開発中の口臭センサー付き電動歯ブラシ「SMASH」。

「世界初の口臭センサー付き電動歯ブラシ“SMASH”(スマッシュ)の開発を進めています。口臭には様々な原因がありますが、SMASHで検知できるのは歯周病菌が産出するガス。そのため、口臭があるかをチェックできるうえに歯周病リスクも知ることができます。歯ブラシ本体の表示機能で簡単な計測結果がわかるほか、スマートフォンのアプリでは歯周病リスク度の推移などの詳細を見ることができます」

計測したデータはインターネットを通じて解析を行って、アプリに自動的に保存される。「SMASH」は、あらゆるものがインターネットでつながる「IoT」(Internet of Things:モノのインターネット)機器なのだ。

ただ、なぜ歯ブラシにセンサーを搭載させるのか。単なる口臭チェック機器にしなかった理由について、自身が歯科医師免許を持つ代表取締役歯科医師の竹山旭さんは次のように説明する。

「歯の健康を維持するためには、“習慣化”が大切です。歯ブラシにセンサーを搭載する理由は、毎日習慣となっている歯みがきの際に口臭チェックも習慣にすることはハードルが低いからです。口臭チェックだけでは、新しい習慣を始めなければならないので三日坊主になりがち。しかし、すでに習慣化されている行動の中で習慣を少し変える分には継続がしやすくなるのです」

このスマート歯ブラシは、どのように入手できるのだろうか。

「今後、自治体や大手企業と手を組んで実証実験を行います。一般の流通は、2020年中に開始できるように準備を進めているところです。本体価格は2万円前後を予定。詳細は公式ホームページなどでお知らせをしていく予定です」(廣瀬代表)

■【遠隔オンライン診療】自宅で歯科医に相談できる

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、「オンライン診療」への注目が集まっている。そのオンライン診療のシステムを、2016年から提供する企業にメドレー(東京都)がある。

メドレーが提供するオンライン診療システム「CLINICS」(クリニクス)の使用シーン。
メドレーが提供するオンライン診療システム「CLINICS」(クリニクス)の使用シーン。

同社が提供するオンライン診療システム「CLINICS」(クリニクス)は、歯科も受診ができる。同アプリについて、CLINICS事業部長の田中大介さんは次のように紹介する。

「『CLINICS』は歯科に限らず、内科や精神科、小児科などの様々な診療科でオンライン診療ができるアプリです。治療や矯正前のカウンセリング、治療後のフォローアップ、子どもの歯みがき相談などで利用する患者さんが増えています。昨年から歯科医からの問い合わせが急増しており、今では全国各地にオンライン診療ができる歯科が広がっています」

「CLINICS」のアプリは、スマートフォンやパソコンで、無料でダウンロードできる。歯科のオンライン診療メニューは自由診療だが、前述の田中さんはオンライン診療のメリットを次のように説明する。

「利用者である患者さんの声でよく耳にするのが、医師との距離感が近くなったという感想です。患者にとっても、医師にとっても、高い満足度が得られる結果につながっています」

同社は歯科オンライン診療の需要増加に応えて、新たに歯科業務支援システムの「Dentis」(デンティス)の開発に着手している。Dentisプロダクトマネージャーの波切雅也さんは、次のように解説する。

「『Dentis』は、24時間WEBから診察予約ができる機能、Eメール/SMSでの自動メッセージ送信機能など、歯科業務の効率化に必要な機能を既に提供しています。今後『CLINICS』と同様のオンライン診療機能を追加提供していく予定です」

患者にとっても、歯科診療がますます便利になっていきそうだ。

(プレジデント編集部 結城 遼大)

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