ネイティブ大爆笑座談会「気になってしょうがない日本人英語」

プレジデントオンライン / 2020年5月23日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rawpixel

■結構あるある奇妙な和製英語

ライアンさん(仮名)
香港出身の20代男性。日本のベンチャー企業でデータサイエンティストとして活躍する若きホープ。日本語は「チョットだけ」。趣味は読書。何か意見するときに、すぐ哲学者の名前を引用するのが鼻につく。
スティーブさん(仮名)
日本の有名商社に勤める30代アメリカ人男性。日本語はペラペラ。酔っぱらうと女の子にdrunk text(俗語。酔った状態でメールすること)をしちゃう。無視されても翌朝「ごめん、酔っぱらってた」と会話をつなげる。
カナコさん(仮名)
アメリカ歴12年の帰国子女。アラサーとアラフォーの間。「やる気、元気」の井脇ノブ子氏にどことなく似ている。漢字と虫が大の苦手。日本の出版社に勤務するが彼氏はマスコミ嫌いでギクシャクしている。

【ライアン】こんにちは、香港出身のライアンです。3年前にビジネススクールに通うために来日し、今は都内のベンチャー企業に勤めています。

【スティーブ】初めまして。アメリカ出身のスティーブです。日本の商社に勤めています。日本にきて、もう10年くらいたつかな。会社では海外企業との取引の窓口などをしています。

【カナコ】カナコっていいます。日本生まれですが、親の仕事の関係で小学校1年生のときにアメリカに渡って、高校卒業するまで向こうでした。大学のときに日本に戻ってきて、今は東京の出版社に勤務しています。日本人ですが英語はネイティブレベルに近いかな。

【ライアン】さっそくだけど、今回のテーマは外国人が感じる変な英語。うーん、気になることはたしかにあるね。

【カナコ】この座談会があるから、日本にいる外国人の友達にも聞いてみたんだよね。なんか変だなって思ったことある?って。そしたらイギリス人のクリスがね、「僕ら外国人はそういう日本人のくだらない企画に辟易しているんだ。そう担当者に伝えてくれ」って怒っていた。さすがブリティッシュだなって(笑)。でも不自然な英語はたしかにある。変な和製英語とか。

【スティーブ】あるね。例えばモーニングコール。正しくはwake up call(ウェイクアップコール)かな。ドンマイも。ドントマインドの略なのだろうけど、日本でのドンマイの使い方を考えると、ちょっと固い。直訳すると「構いません」だから「no worries(気にしないで)」のがカジュアルだね。

スティーブさん(仮名)
スティーブさん(仮名)、辛酸なめ子=イラストレーション

【カナコ】ほかにも、アレルギー(※)とか。英語の発音だとアラジー(allergy)ね。花粉症の友達がアメリカ人に「アレルギーなんだ」って伝えようとしてたけど、相手はキョトンとしてたな。ほかにもマンション(英語だと大きな一軒家という意味)とか。僕は四谷のマンションに住んでますとか言うと、一体どんな豪邸に住んでいるのかなぁなんて英語圏の人に勘違いされちゃうね。

※アレルギーはドイツ語由来の発音。

【ライアン】ただ、そういうのって、なんかかわいいじゃん。日本にいるんだから日本流の言い方にもある程度は慣れなくてはいけないと僕は思っている。それより、僕が気になるのは、英語の言葉に詰まったとき、すぐ「えー」とか言うことかな。

【カナコ】たしかに、「えー」は極めて日本語的な間の取り方だよね。英語だったらアム……(ummm)だね。

【ライアン】そう。なんか変だなぁって思ってしまう。でもそれだけじゃなくて、すごい時間かけて何を言うか考えているわりにはあまり大したことをそのあとに言わないというか……。もっと早く言いたいこと言ってよ!って感じ。難しい言葉なんて使わなくていいから、簡単な単語をつなぎ合わせればいいのに。考えるだけ考えてやっぱりネバーマインド!(never mind=なんでもない)って会話をやめられるのも、なんだか気持ち悪いよ。

ライアンさん(仮名)250、辛酸なめ子=イラストレーション
ライアンさん(仮名)250、辛酸なめ子=イラストレーション

【スティーブ】日本人のスピーキングはなぜあそこまで下手なのか、とはたまに不思議に思う。商社でも帰国子女とか留学経験者を除くと、英語でしゃべることを避けようとしている人が多いと感じる。でもそういう人でも英文メールは文法的にしっかりしている。

【ライアン】そうだね。少しでも海外経験があると、そういう不思議な間をおかなくなるかな。会話のテンポを理解しているというか……。

■変な英語は本当に気にならないか

【カナコ】とはいえ、帰国子女もいろいろいるでしょ。ちょっと数カ月カナダにワーキングホリデーに行っただけなのに急に英語でSNSに投稿しだすと「何があった!?」ってなる。帰国子女って海外にいた年数が少ない人ほど、やたらと“帰国子女ぶる”のよね。「Japaneseの男は本当にChildish(子どもっぽい)」「そんなの世界で通用しないよ!」とか突然言い出しちゃって。あと、やたらとカタカナを“よさげ”な発音で喋り始める。そういうやつほど大して発音よくないし、イライラする。私みたいに海外歴長いと、逆に日本に溶け込もうと必死なのよ。

【スティーブ】カタカナをなぜか巻き舌で強調する人はたしかにいる。海外の取引先とのミーティングでやたらと「ニュウヨォォク」とか「ロ、サァンゼルス」とか、海外の地名をなぜかネイティブ風に声を大にして喋る上司がいてね。実際は発音がおかしいし、毎回その瞬間、謎な空気が会議室に流れる。

辛酸なめ子=イラストレーション
辛酸なめ子=イラストレーション

【カナコ】私はそういう人がいると「海外にどれくらい住んでたんですか」って笑顔で聞いている。だいたい私より短いから「本当? 私も12年アメリカに住んでいたんだ」って言うと急におとなしくなる。調子こいてすみません的な。

【ライアン】帰国子女にもヒエラルキーがあるんだね(笑)。多少英語が喋れてもやっぱりLとRの発音の区別ができない人は多いよね。僕はライアン(Ryan)って名前だけど、どうしてもみんなからLyanと呼ばれる。日本にはRの発音がないことはわかっているけど、やっぱり自分の名前だし、間違って呼ばれていい気はしない。最初はおちょくられているのかな、と思ったよ。

■英語が喋れないことでビジネスの機会損失をしている

【スティーブ】基本的に、日本人には「うまいかどうかなんて本当に気にしてないから、積極的に英語を喋って!」と言うけど、たしかに変な英語が全く気にならないかといえば、ウソかな。

【カナコ】アメリカのブラックユーモアなコメディアニメとか、日本人だけじゃなくて、いろんな国の変な英語アクセントを誇張して描いているよね。バカにするな!とは思っちゃうけど。

カナコさん(仮名)、辛酸なめ子=イラストレーション
カナコさん(仮名)、辛酸なめ子=イラストレーション

【スティーブ】でも、やっぱり下手でもいいから、もっと積極的に英語を喋るべきだとは本当に思っている。

日本の会社は英語が喋れないことでビジネスの機会損失をしていると思っているよ。例えば海外のブランドが日本で展開したいと思っているとする。彼らは日本のことがよくわかっていないし、日本の市場やビジネス文化をよくわかっている“エージェント”となるパートナー企業を日本で探すんだ。でも、彼らとしては日本でただ自分たちのものを売りたいのではなくて、彼らが育てたブランドも守りたいから、そういう密なやりとりができる企業と取引したい。英語ができないとそういったやりとりは難しい。

僕は日系企業の外国人として多くの外資と取引をしてきたが、そんな悩みを持っている外資は本当に多い。自分で言うのもなんだけど、うちの会社は僕が英語を喋れるってだけで契約を成立してきたよ。

【ライアン】それはすげーや!(ライアンとスティーブがハイタッチする)

■日本の「あえて言わない」文化はなかなか理解しがたい

【スティーブ】あと、日本には帰国子女で英語をしっかり喋れる若い人が増えてきているのに、会議とかではあまり発言しない。その代わり、英語が大してうまくないボスが喋る。そうするとボスが取引先の英語を間違えて理解してしまっても、日本の企業風土的に部下の帰国子女はミスを指摘しにくい。そこらへんを改善していけば、もっとビジネスが広がるとは感じる。

【ライアン】たしかに、日本の「あえて言わない」文化はなかなか理解しがたいよね。今の会社で外国人はぼくだけ。仲のいい日本人の女性社員がいて、その子にわからないことがあったら聞くようにはしているんだけど、あるとき、日本語の会議の議事録を頑張って読み込んで、「なんでこの数字の根拠をもっと突っ込まないの?」って参加者でもあるその女性に聞いたんだ。そしたら「なんでそんなこと聞くの?」と逆に質問されちゃった。女性によれば「この数字が出た過程にはさまざまなファクターが絡んでいて会社の歴史をわかっていないと理解は難しい」と。正直彼女自身も根拠を理解していなかったんじゃないかなぁって思っている。

日本特有の「空気」はどう研究してもわからない。日本語の「ちょっと!」とか「どうも!」もその場のシチュエーションによっていろいろな意味に変わるし難しい。ただ最近は「僕、外人なんで空気読めません」と諦めている。

【カナコ】話は変わるけど、日本で変な英語が書かれた、看板とかTシャツとかに出くわしたことある? 私は、この前中学生くらいの女子が「I'd like to have sex with you」というTシャツを着ていて、びっくりした。ただ、外人も変な日本語が書かれたシャツとか着ているもんね。私が見たことあるのは「あとで便所こいや」「いいくにつくろうキャバクラ幕府」て書かれたTシャツかな。絶対その言葉教えた日本人、悪ふざけしていたでしょ。

かくいう私もアメリカにいた韓国出身のマイクに「自分の車に『韓国命』っていう漢字のステッカー貼りたいから書き方教えて」って言われたんだけど、「韓国イノキ」ってふざけて教えたなぁ。彼にいまだ謝罪できずにいる。

【スティーブ・ライアン】最低だね(スティーブとライアンが目を合わせ、ヤレヤレと同時に両腕を広げる)。

■通勤電車の英語の案内にホッコリ

【スティーブ】日本の変な英語のTシャツは地域差があるように感じる。出張で地方に行くと、英単語が無意味に羅列されたTシャツを着ている人を多く見る。個人的な感覚だと、田舎に行けば行くほど、その傾向は高まる。あと看板やレストランのメニューの綴りの間違いはしょっちゅう見つけてしまう。

【ライアン】僕は香港人だし、メニューや看板の漢字も読めるので、最初から漢字読んじゃうからよくわかんないや。

【スティーブ】一番面白かったのは有名チェーン居酒屋に行ったとき。そこはタブレット型のメニューで多言語対応しているのだけど、ピーマンの肉詰めの英語表記が「Piman no niku zume」だったんだよね。あれには大爆笑してしまったよ。これ、意味ねーじゃん!ってね。

辛酸なめ子=イラストレーション
辛酸なめ子=イラストレーション

【カナコ】努力は認める(笑)。そういえば最近、日本の電車で車掌が英語で生アナウンスするようになったよね。だいたい発音は悲惨だけど。

【ライアン】あれ何言っているかわからないときあるな。結局、車内のモニターを見るし、別にいいけど。

【スティーブ】訪日客はあの発音では理解できないかもね。でも、個人的には頑張っている日本人の車掌さんに毎日ホッコリしているよ。

(プレジデント編集部)

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