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「日本最強ジャーナリスト」田崎史郎氏の鋭すぎる発言、その源泉をたどる

プレジデントオンライン / 2020年4月28日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tony Studio

■安倍首相に直接話せる敏腕ジャーナリスト

元・時事通信社特別解説委員で政治ジャーナリストの田崎史郎氏は安倍首相や政権と近しく、かねてからテレビ番組などで政権の内実や政策の真意を明かしてきた。番組出演の前夜には必ず、国会議員や官僚、時には安倍首相や政権の中枢にいる当人に電話して最新の情報を入手しているのだという。しかし「政権の代弁者」とも批判されるが、実態はどうなのだろうか。

新型コロナウイルスに世界全体が苦しめられているこの数カ月の間にも、田崎氏はたびたびワイドショーなどに出演し国の新型コロナウイルス対策について彼ならではの視点から発言してきた。

2月下旬、千葉県で新型コロナウイルス陽性が発覚した患者が発熱後も旅行したり複数の医療機関を受診したりしていたことが話題となっていた。2月14日に発熱しPCR検査を受け陽性だと判明した20日までの間に、移動や異なる医療機関への再受診を行っていたため、新たな感染を招いた可能性があったのだ。患者は15日の最初の受診でインフルエンザ検査を受け、陰性。その後岐阜県などへのツアーに参加し、18日には別の医療機関で気管支炎と診断されていた。PCR検査を受けることになったのは、翌日さらに別の医療機関を受診した後のことである。

■医療現場の不手際を痛烈に批判

2月16日まで厚労省は帰国者・接触者相談センターに相談する目安を「37.5度以上の発熱や咳などがあり、2週間以内に中国の湖北省・浙江省に滞在したか、滞在した人と濃厚接触した人」とごく限定していた。

田崎氏は2月21日に出演した番組で、「これは最初にかかったお医者さんが、インフルエンザ陰性ならば、この段階で新型コロナウイルスの疑いをかけなきゃいけない」と患者が受診した医療機関の医師を非難。制度上当初からPCR検査を受けることは不可能であったはずだが、「町のお医者さんが、ちょっと新型コロナウイルスの可能性あるから、調べてみようかってことは言えなかったのかなと思うんですね」と重ねて医師の診断の“至らなさ”を指摘していた。

■PCR検査の実施数について、「なるほど!」な見解

諸外国がPCR検査数を増やし感染者が多く出た地域は速やかに往来や外出を禁ずるなどの「ロックダウン」を行ってきたのに対し、日本では新型コロナウイルスの感染拡大が問題となってから一貫してPCR検査の実施数を抑え、感染者が接触していた人々を「クラスター(集団)」として把握・管理することに努めてきた。

結果として、日本国内でのPCR検査の実施数と新型コロナウイルスによる死者数は諸外国に比べて非常に少ない数にとどまっていた。

4月6日、田崎氏の出演したワイドショーでは日本の検査数および死者数の少なさをテーマに議論が行われていた。このとき共演者の一人は、検査数を抑えているために正確な感染者数はわからないのではないかと疑問の声を上げている。

これに対し田崎氏は、「肺炎で亡くなった人のことを、後でCT検査をして、これでコロナかどうかいちいち判断しているんですよ」と反論。「その結果として、今の死者数が出てきている」と鋭く主張した。

■PCRはやってもらいたいけど、政治が耐えられるか…

ただ、新型コロナウイルスの影響に関しては、感染者数が増大していることはもちろん、政府や自治体からの「自粛要請」や緊急事態宣言を受けての勤め先の休業などによる人々の減収も大きな問題でもある。人の命と経済をどのようにして守るか、適切な対策を取ることが政府には求められている。

4月14日に放送されたワイドショーでは、新型コロナウイルス感染症を特集。番組内ではノーベル医学・生理学賞の受賞者で京都大学特別教授の本庶佑氏が、PCR検査の拡大を提言したことなどが取り上げられた。この番組に出演していた田崎氏は、「PCR検査をうんとやったほうがいい」と率直に発言。一方で、「ただ実現可能性の問題と、90%経済を止めたときにどうなるんだろうなっていうのがね。政治が耐えられるかってのがね」と政権を慮った。たしかに政府が倒れてしまったら、国民も露頭に迷ってしまうだろう。

■緊急事態宣言は「普通のペースで出された」納得の理由

独自の感染対策も虚しく安倍首相が4月7日に発令した緊急事態宣言の対象は、関東の1都3県、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県、関西の大阪府・兵庫県、そして九州の福岡県という一部地域にとどめられていた。この緊急事態宣言を受け、10日以降対象とならなかった愛知県・岐阜県・石川県・福井県・香川県が次々に独自の「緊急事態宣言」を出している。

4月16日には安倍首相が先に発令した緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大すると発表 することになる。

共同通信社が10~13日に行い、13日に結果を発表した全国電話世論調査では、安倍首相の発令した緊急事態宣言のタイミングについて、「遅すぎた」と回答した人が80% を超えた。

しかし、16日に出演した番組の中で田崎氏は、緊急事態宣言は「普通のペース」だったと指摘。「小池都知事が早く出せ、早く出せ、早く出せって急かしたので、何か遅れてるって印象になってしまうんです」と解説した。

■緊急事態宣言、一部地域→全国のほうが国民に理解を得やすい

また、17日に出演した番組では7日の時点で全国に発令すべきだとしていた人間を「僕は知らない」と発言。新型コロナウイルスの最大2週間という長い潜伏期間によるタイムラグの後に起こる事態を予測することについては、「たぶん、できない。だから起きたことに対して、すぐに対応していく以外、方法はないと思うんです」と対策の難しさを指摘していた。たしかに未知のウイルスとの闘いなのだから、どんなことが起きるかなんてわかるはずがない。

さらに、翌18日に別の番組に出演した際には、「(緊急事態宣言を)最初から全国でやりますとおそらく反発が強かったと思います」とし、地域を限って発令した後に全国へ拡大したことで国民の理解が得やすかったのだと語った。たしかに4月22日現在でいまだに感染者が出ていない県はある。一斉に全国に発令していたら、困る人も出たのかもしれない。

■批判も多いが、休業補償実は「過去にない手厚さ」

田崎氏は、新型コロナウイルスによる休業への補償や、現金の給付についても安倍首相や政権に近しい立場から発言している。

3月2日から休校要請に遅れて3月10日、休校によって自宅待機中の子どもの面倒を見るため、仕事を休まざるをえなかった保護者への休業補償が発表された。企業勤めの場合は1日最大8330円が助成されるのに対し、フリーランスや自営業者への休業補償は1日一律4100円と半額以下の金額が設定されていた。

翌11日に田崎氏が出演したワイドショーでもこの休業補償について取り上げ、会社員とフリーランス・自営業者の間の大きな差が指摘された。

これについて田崎氏は、「働いている方でも、"フリーター"の方に対する補助というのは、おそらく過去してなかったと思うんですね。しかし今回は、フリーターの人でも休まざるをえなくなった人に対して、国が補助しましょうということで」と発言。この補償をこれまでにない手厚いものだと評価した。

続けて田崎氏は、半額以下の根拠として「最低賃金というものがありまして」と、都道府県別に設定されている時間給の最低額を持ち出した。フリーランスの休業補償額は、「高いほうの東京で1000円ちょっと」の最低賃金で働いた場合の4時間分を想定したものだと解説した。

■補正予算案から削除された「30万円支給」の是非

一律現金給付について、安倍首相は4月7日の会見で「この状況でも全然影響を受けていない、収入には影響を受けていない」人たちへ給付する必要はないとして、減収世帯に30万円の給付を行うとしていた。

田崎氏は翌8日放送の番組に出演。番組内ではこの30万円支給の条件について具体例を挙げ解説した。わずかな差で30万円の支給が受けられるか受けられないかの明暗が分かれるという指摘に対し、田崎氏は大学受験になぞらえ、「確かにちょっとした差で出てくるんですが、一定のラインは引かざるをえないんです」と解説していた。

だが国民や与野党の反発を受け結局条件付きの30万円給付は補正予算案から削除された。

4月15日、公明党の山口代表が安倍首相に対して、所得制限を設けずに一人当たり現金10万円を給付するように要求。これを受けて安倍首相は「方向性を持って検討する」と回答したと報じられていた。翌16日にも山口代表は現金一律給付について再度要請を行っていた。

■公明党・山口の一律給付の「非常に無理な要求」を受けた安倍首相を評価

17日昼に出演したワイドショーの中で、田崎氏は山口代表の要求について「これは非常に無理な要求。『無理が通れば道理引っ込む』という言葉もある」と発言。山口代表の要求は「通ってはいけないと思います」「筋が通らないんですけど、でもそれが通ってしまった」と公明党を激しく非難した。

田崎氏は続けて、「これ政権がガタガタになるんじゃないかとか、いろんなことを思いました」と心配。「まさに前代未聞」と驚きを露わにしていたのだ。

しかし、安倍首相はその夜の会見で、国民一人当たり10万円の現金給付を「決断」したと発表する。

18日に別の番組に出演した田崎氏は、国民や与野党からの批判・要求を受けてついに10万円の一律給付に踏み切った安倍首相を支持する旨の発言をすることになる。

田崎氏は番組内で、自粛要請によって国民に「我慢を強いて」きたことが招いた「国民感情が非常にささくれだった不安が強い状況」を、「癒やす効果があったと思います」と一律現金給付を評価した。

■スシローではない!西新橋「しまだ鮨」だ!

さて、田崎氏は一緒に寿司を食べられるほど安倍首相に接近できるジャーナリストとして、インターネットでは「スシロー」などと揶揄されている。

しかし2014年4月17日の毎日新聞によれば、田崎氏は4月16日に安倍首相と「東京・西新橋のすし店『しまだ鮨』」で会食していた。回転寿司チェーンではなかった。

(フリーランスライター 梁 観児)

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