業務改革コンサルが教える、リモートワークがはかどらない人が朝イチにすべきこと
プレジデントオンライン / 2020年5月9日 6時15分
※本稿は池田千恵『「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
■本当は重要な「種まき」をタスク化する
多くの人が大切だと頭では分かっているのに、つい「種まき」をおろそかにしてしまいます。大事だけれど、どこから手をつけていいのかわからないし、考えるのが面倒なものだからです。
キャリアアップや自分磨きのための勉強など、やりたい「種まき」はたくさんあり、仕事をしている間は「今度はこれをやろう!」とやる気も高いのに、いざ休日や自分時間が取れるとやる気がなくなってダラダラしてしまうのは、「種まき」を具体的なタスクとして、すぐできる状態にしておかないからです。
「まだ先だから」「まずは緊急のものを片づけてから」と後まわしにすると、いずれ「種まき」に復讐されます。目の前の日時が決まっている仕事は永遠にあなたを追いかけてきます。「終わったらやろう」と思い続けていてもいつまでも取りかかれません。「だからこそ、緊急ではないけれど人生において重要な「種まき」部分をすぐとりかかれる状態にもっていく「タスク化」の技術を身につけることが大切です。
■惰性でしている仕事で捨てるべきものを見極める
日中は、あっという間に時間が過ぎてしまいます。ひとつひとつのタスクの優先度を見極め、朝のうちに仕分けできれば、自分が人生において何を一番大切だと思っているか、そのために何をすべきか(=種まき)が明らかになります。
自分にとっての種まきが何かを見極めるためには、「とりあえず」「念のため」と何となくやり過ごしていることを、「本当に必要かな?」の視点で優先順位をつけて見つめ直してみましょう。そうすると、惰性でしていた仕事のどれをカットして生産性を上げるかについても見えるようになってきます。
■間違ったロールモデルを目指さない
優先順位をつけるために、ネットで話題になっている人や有名人の生き方を参考にするという人も多いでしょう。
その際に大切なのは「20代会社員」「企画職」「ワーママ」「子どもが小学生」といったように、その人の現在置かれている立場・環境だけを切り取って参考にするのではなく、その人がどういう志向で仕事やプライベートを捉えているかを見ることです。
たとえば一日中仕事のことを考えるのが苦ではなく、仕事もプライベートもごちゃまぜになっている状態が心地良い、家が片づいていなくてもあまり気にならない、子どもは元気にごはんを食べてたくさん寝ることができさえすればそれでOK! と考えているワーママの優先順位と、家のことを整えるのが大好きで住環境やインテリア、子どもの食事内容が最大の関心事のワーママでは優先順位は全く違うものになります。それなのに「ワーママ」という立場だけ見て参考にしようと思っても絶対に参考になりません。
このように人によって優先順位が違うという前提を取っ払い、ロールモデルを探して合わせていこうとするので、本当の優先順位を見つけることができないのです。
いまの私たちに必要なのは、同じ環境・境遇の人がどうしているかを探すことではありません。自分がどういう人生を送りたいか? どんな状態に幸せを感じるか、つまり、自分の「志向」を最初に明確化し、同じ「志向」の人がどのように優先順位を決めているかを知り、その優先順位を実践することです。
■ライフステージで変わる4つの志向チェックリスト
それぞれの「志向」の大まかな特徴は次のようなものです。
ワーク&ワーク志向
□自分の時間のすべてを仕事に充ててもいいくらい、いつも仕事のことを考えている
□とにかく仕事が好きで、はまると夢中になり時間を忘れる
□会社で結果を出してお金を稼ぎたい
□仲間と一緒に何かを成し遂げたい
□会社の目標と自分の目標を同じように考えることができる
□仕事で結果を出すための勉強の時間は惜しまない
ワーク&プライベート志向
□業務時間中は頑張るが、業務時間外は仕事に充てたくない
□業務時間内であれば、言われたことを言われた通りにすることに抵抗はない
□自分の趣味や好きなことに時間を使いたい
□家族の生活を犠牲にするような働き方はしたくない
□自分の貯金は減らしたくない
□どちらかというと、お金より自分の自由の時間がほしい
ワーク&セカンドジョブ志向
□業務時間を過ぎたあと、ほかの仕事をすることに抵抗はない
□仕事で成長するためには異分野の経験が必要だ
□いまの仕事でのスキルがほかで通用するか試してみたい
□いまの会社で「井の中の蛙」になることに危機感を感じている
□多面的に物事を知りたい
□異業種・異分野の人と交流するのが楽しい
ワーク&インベスト志向
□自分の時間のすべてを仕事に充てることはしたくない
□時間や場所やお金にしばられたくない
□大きな目標のためならお金を一時的に失ってもいい
□自分の好きなようにやりたい
□気に入った仲間としか仕事はしたくない
□最小の努力で最大の効果を得たい
■今すべきことと放っておいていいことを見極める
繰り返しになりますが、「志向」は、結婚・出産・子育て・親の介護など、ライフステージや立場によって変わります。ひとつの「志向」に軸足を置き、もう一つの足をほかの「志向」に置くことも可能です。
たとえばいまは小さい子どもを育てながら仕事をしたいので「ワーク&プライベート志向」だけど、いずれは「ワーク&セカンドジョブ志向」で行きたい、と、将来を見越してタスクを分配することも可能です。朝の1時間のうち30分は「ワーク&プライベート志向」で仕事を効率的に進める準備をし、残り30分で「ワーク&インベスト志向」で不動産投資や株などの不労所得を得ている人を調べてみる、という時間の使い方もあります。
いったん決めたらそれで終わりというものではありませんし、一度決めたらずっとその「志向」で行かないといけない!というわけではありません。その都度、いまの自分の優先順位について立ち返ってみましょう。
なぜ最初に「志向」を知ることが大切か。それは、「いま頑張らなければいけないこと」「放っておいていいこと」が明確になるからです。
メリハリがつけられるようになれば部外者の言葉に右往左往せず、すべきことに集中できるようになります。
目的が分かっていれば、「やっておいたほうがいい」「念のため」「とりあえず」という案件に忙殺され、無駄な時間を過ごすこともなくなります。
まずは自分の志向を知り、その上で1日のタスクを仕分けしていきましょう。
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朝イチ業務改革コンサルタント
二度の大学受験失敗を機に早起きに目覚め、半年の早朝勉強で慶應義塾大学総合政策学部に入学。外食ベンチャー企業、外資系戦略コンサルティング会社を経て、2009年に『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)を刊行。ベストセラーとなり、「朝活の第一人者」 と呼ばれるようになる。夜型から朝型に変えた実体験と多くの人の早起き習慣化を指導した実績をもとに、2010年より朝専用手帳『朝活手帳』をプロデュース。10年連続で発売する人気手帳となる。「朝1時間」の業務改革による生産性向上、働き方改革 のための手法を企業に指導しているほか、個人に向けてはキャリアに迷ったとき自分の将来を真面目に楽しく語り、学びたい人向けの朝活コミュニティ「朝キャリ」を主宰。2020年4月現在4歳となる男児を育てるワーキングマザー。
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(朝イチ業務改革コンサルタント 池田 千恵 写真=iStock.com)
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