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コネなし・Fラン卒・フリーターが「慶應エリート」に勝った話

プレジデントオンライン / 2020年5月14日 15時15分

※写真はイメージです - PIXTA=写真

偏差値35未満、もしくは算出不可能なボーダーフリーの大学を、人は「Fラン大学」と呼ぶ。この不名誉な枠組みに入れられた卒業生が、慶應卒に勝利したという、ウソのような本当の話がある。

■コイツ本当に就職する気ある?

いわゆるFラン出身にもかかわらず、たった1年で慶應義塾大学出身の同期に年収500万円もの差をつけたAさんの話をしましょう。これからお話しすることはすべて実話です。

Aさんは元々俳優志望で、いわゆるFラン大学卒業後はアルバイトで生計を立てていましたが、あるとき俳優の道を諦めて会社員になることを決意され、私が代表を務める転職サポート会社を訪ねて来られました。

ちょうど同時期、慶應出身でAさんと同じ年齢のBさんも転職相談に来られました。Bさんは慶應を卒業後、不動産会社に就職して一定のサラリーを得ていましたが、不動産業界は企業規模に関係なく稼げるため、小さくてもより稼げる同業界での転職を希望していました。

2人はほぼ同じタイミングで同じ不動産会社に入社し、採用した企業も明らかにBさんへ期待をかけていました。ところが1年後、より多く稼いでいたのはAさんだったのです。

Bさんは就活を始めた時点で多数の企業からオファーを受けていて、就職した企業も彼に熱心なアプローチをしていました。慶應卒で宅建(宅地建物取引士)の資格を所有し、大手不動産での経験もあるとなれば、MARCH以上がスタンダードな同社役員陣にとって喉から手が出るほど欲しい人材だったのです。また、本人もどこへ転職しても稼げる自信がありましたし、現に実績を上げていきました。

ただ、それ以上に稼ぎ、役員やお客様から信頼を獲得したのはAさんだったのです。

初めて会った日のAさんは「本当に就職する気があるのか?」と疑いたくなる態度で、しかも遅刻してきました。それでいて「とにかく短期で大きく稼ぎたい!」と、言うことだけはいっちょ前。

そこで私はAさんに「20代で年収1000万円以上の人は数えるほどしかいない。その現実のなかで、どうやって稼ぐつもりなの?」と聞きました。Aさんは投資に興味がある、と答えましたが、投資の勉強すらしたことがありませんでした。

またAさんは、会社員経験がない時点で同年代に後れを取っているにもかかわらず、茶髪でロン毛。真面目に就職を考えているとはとうてい思えない風貌で来訪してきました。

この時点では、自分の置かれている状況や立ち位置をまったく理解できていなかったのです。現実と自分の市場価値を知らなければ、面接で信用を得ることはできません。

私はAさんに「次回は就活できる身なりで来てください」と言って、その日は終わりました。

2回目の面談日、Aさんはちゃんと約束を守り、就活に相応しい身なりで来てくれました。当たり前と思われるかもしれませんが、この約束を守れない人は一定数います。俳優志望でスーツ姿とは縁遠い風貌こそが自分らしさだったAさん。就活のためにそのポリシーを捨て、新しい道を生きる決断をしてきたのです。

後で聞いた話ですが、Aさんは私が言った「決断とは『決めて断つ』こと」という言葉で、新しい道へ進むために俳優の夢を断つと決意したそうです。

■Fラン卒がここまで化けた!

Aさんの並々ならぬ決意を感じた私は次に、稼ぐために「断つこと」を決めるようにアドバイスしました。学歴や経験で勝負できないのであれば、自分にできることで誰よりも頑張る必要があります。そのためには生活の何かを犠牲にしなければ、人以上の働きはできません。

まずAさんは、自分の時間を断つと決めました。遊ぶ時間を仕事に使う決意をしたのです。

自分の市場価値とPRポイントを確認できたら、ようやく希望条件に合う企業探しに入ります。

Aさんは、努力次第で大きく稼げる成功報酬型の不動産会社を目指すことに決めました。面接ではとにかく「やる気と自分を変えたい気持ち」を前面に出し、拙くても自分の言葉で話すことを心がけました。そして希望通り、不動産会社の採用を見事に勝ち取りました。

さて、入社後のAさんは果たしてどうなったか。

寝る間も惜しんで努力を重ね、入社3カ月で宅建の資格を取得。たった1カ月で120万円ものインセンティブを稼ぎ出し、1年後には慶應卒のBさんより年収が500万円も上回っていました。しかもご高齢のお客様から「アパートを相続してほしい」、つまり譲渡したいと言われるほど、信用されるビジネスパーソンに成長していたんです。

Aさんがなぜここまで稼ぐ力をつけられたのでしょうか。それは、自走できる点、人に対して真っ直ぐな点、そして意を決して不要なものを断ったことにあると考えています。

おそらく入社当時のAさんは、エリート営業マンに比べれば、明らかに会話も拙く、知識も少なかったと思います。でもそれを補うために、どうすればお客様が喜ぶか自分なりに考え、必死に努力しました。

わかりやすい比較で言うと、Bさんは決められた時間内で言われたことをきっちりやり遂げる真面目タイプ、Aさんは時間も忘れて自分で考え、努力し、ひたすら真っ直ぐ行動するタイプです。

商売も最終的には「人対人」ですので、Aさんなりのやり方で顧客を大切にする姿を信用してくれたのだと思います。

■ステップアップ転職のコツとは

じゃあBさんは努力不足なのかと言うと、決してそうではありません。Bさんは慶應に入り、大手企業へ就職するために、Aさんより早い時期から頑張ってきました。大切なのは学歴でも資格でもなく、知的好奇心を持ち、学び、自分の頭で考え、意見と責任を持つことです。

Fランは入学した時点で人生が見えている、ということも絶対にありません。決断したときから、人は誰しも生まれ変われます。これは、毎日50~100人の就活者と会い、送りだしている私の実感です。

転職は、人生をチューニングする機会として活用していただきたいです。

どんな将来を築きたいか、何を軸にライフワークバランスを整えたいか、生きたい人生に向けてチューニングできるのが転職だと思っています。

今の転職市場は、サラリーアップのためではなく時間を有効活用する環境に変える目的の人が増えています。現状から10年後の自分を想像したものが理想と違うのなら、そこに近づくためのチューニングとして転職するのもいいでしょう。

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魚津 君明(うおつ・きみあき)
キャリクリ代表取締役
1987年生まれ。青山学院大学経営学部卒業。サラリーマン生活の後、転職キャリアアドバイザーとして人材業界で独立。3000社以上の企業とのパイプを持ち、毎月80人以上の求職者と面談。年間100人以上の転職希望者を優良企業へ内定させている。

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(キャリクリ代表取締役 魚津 君明 構成=力武亜矢)

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