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老若男女で口臭が最もひどいのは「若い女性」だと調査で判明した

プレジデントオンライン / 2020年5月5日 11時15分

■【歯周病】30分の保険診療と歯石除去の限界

歯周病は口内の歯周病菌が歯茎や歯槽骨(歯を支える骨)を侵していく病気で、進行すれば歯がぐらつき、最後には抜けてしまう。日本人の7割以上が罹患している「国民病」でもある。

アンケート調査でも、歯周病の治療中という人が14.9%いた。気になるのが治療回数の多さで、4回以上だった人が合計約6割を占めた。歯科医の若林健史さんは、「歯科医が歯周病をきちんと治療しようとすれば、時間がかかるものなのです」といい切る。

アンケートで治療回数が「1回」と答えた人もいるが、「まずありえません。歯科検診での歯周ポケットのチェックなどを、治療と思ったのかもしれませんね」と若林さんは見る。というのも、治療前の検査やカウンセリングで、1~2回の通院が必要になるからだ。

「私は自由診療を中心に行っています。歯周ポケットのチェックも、保険診療なら1本の歯につき深い部分を最低1カ所調べればいいのですが、6カ所調べています。ほかにも、口内スライド写真を撮ったりするので、検査だけで1時間かかることもあります」

歯周病の治療では、歯周病菌の巣窟である歯石の除去や、歯のブラッシング指導がメーン。「定期検診での治療費を比較すると、保険診療なら約30分で2400円(自己負担3割の場合)、自由診療なら1時間当たり1万~1万5000円が相場です」(若林さん)。自由診療が高額なためか、大半の人は保険診療を選ぶことが多いようだ。

保険診療にも落とし穴がある。軽度の歯周病なら改善しやすいが、重度の歯周病になると、治療効果を期待しにくくなるというのだ。「診療報酬が低いので、あまり手をかけずに短時間で治療しないと、採算が合いません」(同)。

歯石の除去には、超音波で歯石を除去する「スケーラー」という医療器具を使う。「保険診療では、30分くらいしかかけないので、目に見える表面的な歯石しか取れません。私は、自由診療で歯周ポケット内の歯石まで手用スケーラーで丁寧に取っていますが、歯は上下で28本あるので、もし全部の歯が対象なら、6ブロックに分けて歯石を除去します。1本の大臼歯でも、歯周ポケット内をクリーニングするのに、約15分かかることもあります」と、若林さんは明かす。

その結果、保険診療では、歯石の取り残しなどが発生しやすくなり、歯周病の治療を長期間受けていても、改善するどころか悪化するケースさえあるという。アンケート調査でも、治療効果に不満を持つ人が44.4%いた。重い歯周病で「歯が危ない」という人は、歯周病の自由診療も選択肢に入れてみてはどうだろう。

■【口臭・ホワイトニング】実は、若い女性ほど口臭がキツい

オーラルケアへの意識の高まりで、医療機関で口臭について相談したり、ホワイトニングをしたりする人も増えているようだ。両者とも自由診療のためか、アンケート調査では、治療費の高さに不満を感じる人が6割に上った。

口臭・ホワイトニングの治療回数/口臭・ホワイトニングの治療の自己負担額/口臭・ホワイトニングの治療に対する不満(複数回答可)

口臭の原因の第1位は歯周病、第2位は口内菌の塊「舌苔」だが、「口臭の強い人の6~7割は、歯周病にかかっているので、その治療が先決です」と、若林さんは説明する。

若林さんは、医療機器メーカーなどとの共同研究で、20~60代の男女約200人の口臭について調べ、2019年に「口臭白書」をまとめた。その結果、「実は、若い女性の口臭が、最もひどいことがわかりました」(同)。女性ホルモンを好む歯周病菌がいるのだが、若い女性は女性ホルモンの分泌が多いので、そうした菌が繁殖しやすいからだという。歯科医は口臭の検査も行っている。検査料金はまちまちで、カウンセリングも含めて2万円程度が相場だが、約2000円の実費のみで検査してくれる歯科医もいるという。

セラミックの食器と同じように、歯も時間が経つと変色してくる。歯の表面を覆うエナメル質には、微細な穴が開いていて、そこに色素が浸漬沈着するからだ。それを取り除く治療がホワイトニング。若林さんは「歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、患者さん自身が行うホームホワイトニングの2種類があります」と説明する。

両者とも、オキシフルに似た成分が入った「ホワイトニングジェル」を歯に塗布し、脱色作用で歯を白くする。前者は、歯科医や歯科衛生士が施術するが、後者は、自分でマウスピースの内側にジェルを塗り、毎日2~4時間、歯にはめておく。両者を併用するケースも多い。前者は光照射1回約20分で、1~3回行う。後者は個人差があるが、早い人なら1週間ほどで美白効果が表れる。前者の場合、「前側の歯12本くらいで、1回の料金が1万~3万円になります」と若林さんは話す。

アンケート調査を見ると、治療費が5000円未満という人が半数近くいることから、エステティックサロンなどで行う、セルフ方式の「ホワイトニング」も人気と推察される。低料金なのだが、医療者が管理していないので、リスクが高いことも覚えておこう。

また、歯の表面を削って、「ラミネートベニア」という白色の薄いセラミックを被せ、歯を白く見せる方法もある。しかし、「エナメル質を傷つけ、歯を弱くしてしまい、おすすめはできません」(若林さん)。そうした歯の美白治療を合計90万円もかけて受けたものの、歯を削った部分から原因菌が侵入、ひどい虫歯になった女性もいる。

■【親知らず】約80%の親知らずが抜歯される理由とは

皆さんのなかにも、一番奥の歯である「親知らず」を抜いた経験がある人が多いだろう。若林さんは「親知らずの約80%が抜歯されています」という。ゆえに「親知らずは抜くもの」と、世間では思われている。しかし、その認識は不正確。「親知らずの大半は、真っ直ぐに生えず、抜かなければならなくなる」(若林さん)ということなのだ。

親知らずが真っ直ぐに生えにくいのは、口の一番奥に最後に生えてくるから。「とりわけ、日本人は、あごの骨が小さいため、親知らずは先に生えた歯に、生えるスペースを取られてしまうのです」(同)。すると、親知らずは、斜めに生えたり、ひどいケースでは真横に生えたりする。

真っ直ぐに生えていないと、歯磨きが難しいので、虫歯や歯周病になりやすい。さらに、隣の歯を虫歯や歯周病にしたり、圧迫して歯並びを悪くしたりもする。「真っ直ぐ生えていない親知らずでも即、抜く必要はありませんが、歯の状態が悪化すれば、放置せずに抜いたほうがいいでしょう」(同)。

逆に、真っ直ぐに生えた親知らずなら、抜かなくていいケースもあるわけだ。実際に、親知らずが歯として立派に役立っている人もいる。したがって、親知らずを見つけたら「問答無用」で抜く歯科医は、要注意ともいえる。「親知らずを抜くべきだと判断したら、患者さんが納得できるまで、きちんと説明するのがいい歯科医です」(同)。アンケート調査で、「歯科医の説明が不十分」という不満が7割を超えたのは、歯科医が患者と、十分なコミュニケーションを取っていない証左だろう。

親知らず抜歯の治療回数/親知らず抜歯の治療の自己負担額/親知らず抜歯の治療に対する不満(複数回答可)

親知らずを温存しておくと、意外な利用価値もある。「適合するケースは限定されますが、ほかの奥歯が抜けても、親知らずが残っていれば、歯根膜(歯根と歯茎を接合する部位)と一緒に歯茎から取り出して、その抜けた部分に再植することもできます。自由診療で治療回数が5~6回、治療費は10万~15万円ほどになります」(同)。

親知らずの抜歯は、基本的に手術と、手術創が塞がってからの抜糸の計2回で治療がすむ。保険診療が基本なので、治療費については、選択の余地がほとんどない。入院なしの場合、1本につき2000~8000円(自己負担が3割の場合)かかるのが普通だ。

だが、「誰に抜歯してもらうのか」が思案のしどころ。若林さんは、「歯を割ってから、数回に分けて抜くような難しいケースもあります。高度な技術を求められる手術なので、腕の確かな歯科医を選んだほうがいいでしょう」と念を押す。自分で担当の歯科医を選ぶのなら、口腔外科専門医の資格があるかどうかが、目安の1つだ。

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若林健史
若林健史(わかばやし・けんじ)
医療法人社団真健会理事長
1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年代官山で開業。2014年恵比寿南に移転して若林歯科医院を開設。著書に『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか? 聞くに聞けない歯医者のギモン40』がある。

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(ジャーナリスト 野澤 正毅 アンケート集計=パイルアップ)

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