在宅勤務で「サボっている」と思われないための3つのコツ
プレジデントオンライン / 2020年5月28日 11時15分
※本稿は、片桐あい『これからのテレワーク 新しい時代の働き方の教科書』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
■テレワークで仕事の成果が出ないわけがない
私が所属していたグローバル企業の海外のマネージャは、日本のマネージャのようにオフィスにいる人を管理しているわけではなく、物理的に場所が離れた海外の人をマネージしている人もいます。
アメリカ国内では、4000キロも離れ、1度も会ったことがないような人が部下になることもあります。また、アジアパシフィックの統括マネージャは、アジア圏の各国とオーストラリアなど、様々な母国語の人たちと英語でコミュニケーションします。
上司は韓国、部下は日本とタイとシンガポールとインドとニュージーランド、などというチームはざらにありました。互いが片言の英語の場合もありますし、回線の状態が悪い国もまだあります。
それでも、仕事は仕事! きちんと成果が出せる組織を運営することはできるのです。
そのような状況と比較しても、日本の場合は同じ日本人同士で距離も東京と北海道、東京と福岡どちらも1000キロ程度ですし、言葉も日本語同士です。
それなのに、テレワークで仕事の成果が出ないわけがありません。
■「オフラインの時間」は前もって伝える
さて、そんな私たちがいつでもどこでも、オンライン状態にしておくことは確かに難しいです。たとえば、集中して仕事に没頭していれば、電話を取り損ねることだってあるでしょう。トイレに立ったときに、チャットがくるかもしれません。
極端な表現ですが、私は「いつでもオンライン状態にしておくくらいの気持ちでいてください」とお伝えしたいです。
逆に、席を外すとか、休憩時間をズラす、シフトの時間があるなどの場合には、あらかじめ自分のスケジュールをチームに共有しておくことが大切です。
相手は、相手の都合で連絡をしてくるので、それが叶えられなければ、「やっぱり在宅はダメだな」とか、「○○さん、どこいっちゃったのかな? もしかして……」と、あらぬことを勝手に想像されてしまうことで、少しずつ信頼を失っていくのです。
だからこそ、オンラインなのかオフラインなのかを、はっきりさせておくことが大切なのです。また、仕事できちんと成果を出していれば相手も信頼するので、多少連絡が遅れたとしても細かいことは言わなくなるのです。
■テレワークでは「自分の仕事のアピール」が必須
奥ゆかしい日本人にとって、自分の仕事をアピールするのは、美学に反するかもしれません。それでも、働き方の選択肢としてテレワークを導入するのであれば、自分の仕事についてきちんとアピールすることは大切なことなのです。
物理的に離れている状況でも、上司や部下や同僚やお客様と連携をして仕事をすることで、組織としての成果は見えるかもしれません。しかし、個人がその組織の出した成果のどんなことを担ったのかは、あなたを評価する上司には、どうしても見えにくくなります。評価する側の上司も、テレワークには慣れていないので、正当な評価をしてもらうためには、何をしたのかをわかりやすくアピールしておく必要があります。
自分の身は、自分で守らなければなりません。
どんなに大切な仕事をしていても、大きな仕事の一部を担っていても、自分のアイデアが採用されてプロジェクトを立て直すことができたとしても、そこにどう自分が関わったのかが伝わらなければ、埋もれてしまいます。
自分の価値を自分でわかって、客観的に伝えられなければ、相手にもなかなか伝わりません。
■業務改善から自分の仕事の「成果」を証明する
では、どうしたら嫌味なくアピールできるでしょうか?
まずは、できる限り「数値化」することが大切です。営業であれば、数値化は比較的やりやすいのですが、それ以外の職種では、数値化するのは難しいことでしょう。
でも、業務改善をすれば意外に簡単に成果が出せます。
たとえば、ご自身の関わる仕事を10個のプロセスに分割し、関係者に確認したところ、5個目のプロセスは必要ないということがわかったとします。そこで、不要となったプロセスにどれくらいの時間がかかっていたのかを確認します。場合によっては、ストップウォッチを持って、5個目のプロセスに平均するとどれくらい時間がかかっているのかを計りましょう。その時間×仕事の発生する頻度を計算してみると、それが削減できる時間となります。給与を勤務時間で割って時給を計算して、削減した時間を掛けると金額が出るので、それを年で計算したりすると結構な金額になります。
また、チーム全体でやるといくらになるかを計算したり、全社で導入したらいくらになるかなど、数字にしていくと色々な可能性が見えます。
■成果は「時間」や「金額」に数値化して見せる
ビジネスは常に動いているので、その値が正しいかどうかは誰にもわかりませんが、今の条件で仮説を立てて計算してみれば、この先削減できるであろう金額まで仮説として計算できます。
そのように、実際に削減した時間や金額、今後仮説として期待できる時間や金額などを、自分の仕事の成果として報告しましょう。
それを、業務改善やコスト削減につなげていくこともできるので、やりたいことを数値化して上司に提案していきましょう。
テレワークで離れていればいるほど、そのような仕事の見せる化の工夫が必要です。
■「1時間ごとの業務報告」を出せるようにしておく
「マイクロマネジメント」という言葉を聞いたことがありますか?
マネジメントのスタイルによっては、細かいことまで知っておきたいと考える上司もいます。
そんなマネジメントスタイルを、マイクロマネジメントと言います。
それが絶対に悪いわけではないですが、管理もいきすぎると、指示がないと仕事ができない部下を育てることになったり、自分で考えられない社員にしてしまうことがあります。
テレワークを導入した途端、心配性の上司や、部下を信頼できない上司は、もしかしたら、
「1時間ごとに業務報告書を出せ!」
と言うかもしれません。
もし言われなくても、それくらいの単位で自分のした仕事についての報告ができるように記録を取っておくことはお勧めです。
調べ物をしているうちに、あっという間に1時間くらいは経ちます。
その時点では必要な仕事をしたはずなのに、振り返ると「何をしていたんだろう?」というような時間になってしまうので、思い出しのためメモを取っておきましょう。
■「タスクリスト」をつくれば一石二鳥
テレワークをしていると、様々なツールを使って色々な仕事の関係者とコミュニケーションを取るので、自分の仕事の痕跡はあちらこちらに散らばってしまいます。
そうならないように「タスクリスト」をつくっておいて、そこに実績を書き込んでいくとブレなく仕事も進むので、それをお勧めします。
実際に、上司から細かい報告書を求められるかどうかはわかりませんが、ある程度の精度で報告できるような準備だけはしておきましょう。
そうすることで、自分の仕事でどこにムダがあるのか、計画のどこにムリがあったのか、仕事に集中できないのは、どんなムラがあったのかもわかります。
テレワークをすることが、自分の仕事のやり方を見直すためのいい機会になることでしょう。
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人材育成コンサルタント
カスタマーズ・ファースト代表取締役。日本オラクル株式会社(旧サン・マイクロシステムズ株式会社)サポート・サービス部門に23年勤務。M&Aやリストラで仕事上のポジションが危うい外資系IT業界で成果を出し続ける。卓越したコミュニケーション能力・問題解決能力を武器に2013年に独立し、企業研修講師となる。年間約120件登壇し約2万5000名の育成に従事。また、人財育成コンサルティングで延べ3400名のカウンセリングでの育成にも貢献している。
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(人材育成コンサルタント 片桐 あい)
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