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医師が教える「病気に負けない免疫力の高い体のつくり方」

プレジデントオンライン / 2020年7月5日 11時15分

Getty Images=写真

■副交感神経を優位にする入浴の仕方

入浴には免疫力を高める効果があります。日本人ほど入浴の好きな民族はいないといわれますが、入浴は体を清潔に保つ以外にも、体に効く3つの効果があります。

血管を広げ血行を促して疲労を回復する効果。湯の水圧によって疲れやむくみを取る効果。体を支える臀部や太もも、そして脳の緊張をほぐす効果です。40度以下のぬるめのお湯に15分から20分程度、ゆっくりとつかると副交感神経が優位になり、リラックスした気持ちになることができるのです。

冒頭でも述べたように、コルチゾールの分泌を促すストレスほど、免疫系にとって邪魔な存在はありません。そのため、せっかく湯船につかっているのに頭の中が心配事でいっぱいでストレスを感じていては意味がありませんから、入浴剤やアロマなどを利用して、精神的にも弛緩できる工夫をするのもいいでしょう。

ストレスは睡眠にも関係します。先に、ストレスが免疫機能を低下させる仕組みについて説明しましたが、通常、「ストレスホルモン」であるコルチゾールは深夜から朝に向けて分泌量が急増し、起床を促すのですが、日中から夜間にまでストレスを感じていると、コルチゾールの分泌が増えて不眠になったり、睡眠の質が低下します。また、大脳辺縁系の一部で記憶・学習能力に関わる海馬にも悪影響を与えます。

つまり、ストレスを抱えると、免疫力の抑制に加えて睡眠までもが阻害され、二重の意味で免疫力に悪影響を及ぼすことになるのです。

■睡眠で大事なのは量よりも質

心配事があると寝つきが悪くなる、という経験は誰しもあることでしょう。特に現在の新型コロナ蔓延といった非常時には、知らず知らずのうちにストレス負荷がかかっています。

特に現代人の生活において質の高い睡眠をとるための最も大きな障害は、眠る直前までスマートフォンでSNSやニュースサイトをチェックすること。これは睡眠の質を大きく下げることにつながります。健康を保つために情報を集めているはずなのに、それで免疫力を下げてしまっては本末転倒です。

睡眠不足でウイルス感染率が高まる

ただでさえ、「いつも通り」のペースが崩れている状況です。外出自粛要請によって在宅ワークに切り替わった方も多いでしょう。通勤の行き帰りに一駅分歩くことを習慣としていたような方は生活のリズムが崩れ、そのうえ体を動かす時間が極端に減って、うまく眠れなくなったということにもなりやすい。

睡眠は時間だけで測れるものではありません。「睡眠は何時間くらいとるべきですか」という質問をよく受けますが、睡眠で大事なのは量よりも質です。「疲れているはずなのにどうもよく眠れない」といった場合には、ストレスによる睡眠の質低下を疑う必要があります。

また、体の機能はすべて影響を及ぼし合っていますから、夕食の内容や時間も睡眠を左右します。夜遅くに食べて胃に食べ物が残っている状態では、寝ている間も胃や腸が動き続けることになり、安眠を妨げます。遅くとも夜8時頃までには夕飯を終えたほうがいいでしょう。

情報との付き合い方さえも、体の免疫力と関係することがおわかりいただけたと思います。これを機に日ごろから「病気に負けない免疫力の高い体づくり」を心掛けるセルフメディケーション意識を高めることが、皆さんの助けになるはずです。

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白澤 卓二(しらさわ・たくじ)
白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。90年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。順天堂大学大学院教授などを経て、白澤抗加齢医学研究所所長。お茶の水健康長寿クリニック院長。千葉大学予防医学センター客員教授。近著(翻訳)に『SUPER IMMUNITY』がある。

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(白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤 卓二 構成=梶原麻衣子 図版作成=大橋昭一)

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