「日本の奇蹟をぶっ壊す!」安倍晋三の新トンデモ政策であなたの自由は奪われる
プレジデントオンライン / 2020年5月28日 15時15分
■竹森氏の「国内パスポート」発言は冗談だと思われたが…
5月20日、衆議院予算委員会の新型コロナウイルス対策に関する参考人質疑で驚くべき発言があった。
国民民主党・渡辺周衆議院議員の「インバウンドが厳しい、消費も厳しい、GDPの速報値も厳しい、日本はどのような形で内需をけん引するべきか」という質問に対し、経済学者の竹森俊平慶応義塾大学教授が雄弁に自説を語ったときのことだ。
竹森氏は、インバウンドや観光の現状・対策について触れたのち、県をまたいで移動をする際の対策として、
「(県をまたいだ移動の)安全性を宣言するためには一種のパスポート、まずは国内パスポート、手形のようなものをどう作るのか考えていて……」
と尋常とは思えぬアイデアを開陳したのだ。「国内パスポート」発言は日本国民に衝撃を与え、ネット上では「通行手形」の復活を揶揄(やゆ)する投稿が相次ぐ事態となった。
竹森氏が「私も温泉に行きたい」と冗談を交えたこともあり、今のところ竹森氏の主張を本気にしている人は少ない。「『翔んで埼玉』のようだ」というコメントがネット上にあふれていることからも面白いジョークとして受け止められているようだ。
■安倍政権は「国内パスポート」に前向きに取り組む可能性がある
しかし、このアイデアは冗談では終わらないかもしれない。
筆者も竹森氏の「国内パスポート」発言は冗談だろうと思っていた。ところが同日に行われた参議院予算員会での公明党・浜田まさよし参議院議員の地方創生にまつわる質問に際し、
「私はパスポートという感覚があるのですけど……」
とまたもや「国内パスポート」の持論を展開した。竹森氏が二度も同じ内容を発言したということは、「国内パスポート」政策に本気である可能性を示唆しているのではないか。
竹森氏は、新型コロナウイルス対策のため政府が設置した「基本的対処方針等諮問委員会」の1人であり、政府の経済政策の方向性を決める経済財政諮問会議の委員も務めている。いわば、安倍政権のお気に入りの経済学者である。実際、消費税増税の際も参考人として国会に招致され軽減税率の導入などを事実上擁護していた。したがって、その発言は政府に対して一定の影響を与える可能性がある。いや、むしろ現政府の代弁をしていると捉えても良いのかもしれない。
つまり、安倍政権が「通行手形」の復活に前向きに取り組む可能性はゼロではないのだ。
■WHOは警鐘を鳴らすが、各国の対応は…
実際、このような国内パスポートのモデルとして、EUでは現在「COVID-19 passport」が検討されている。
シェンゲン協定によってEU加盟国間の往来は自由化されてきた。しかし、新型コロナウイルスの蔓延により加盟国間においても国境封鎖や外出規制などといった制限措置を実施せざるを得ず、観光産業が深刻な打撃を受けている。そのため、ギリシャはEU圏内での旅行の再開を目指し、旅行者が渡航前に感染検査を受けることを義務付けたうえでの「パスポート」発行を求めている。
米国をはじめ他のいくつかの国においても、抗体検査で「抗体がある」と証明された人に「パスポート」を発行し職場に復帰させるという動きがある。各国は自国の生産力を回復するために、抗体検査を用いてどうにか建前を整えようと必死になっているのだ。
一方、WHOは4月25日、都市封鎖や移動制限緩和の基準として抗体検査を用いないように警告している。その理由は単純明快で「同一人物が新型コロナウイルスに感染しないという根拠はないから」としている。
ただし、経済再開を求める多くの国の指導者はWHOによる警告を真摯に受け止めない可能性もあり、依然としてどのような方向に事態が進んでいくかはわからない。
■コロナ禍ではっきりした日本政府と国民の性質
国会の参考人質疑で竹森氏が述べた「国内パスポート」は上記のような諸外国の状況を踏まえたものであろう。そのため、「通行手形の復活」をリアリティのある話として日本国民は受け止めるべきだ。
「関所」をどのように復活させるのかについては極めて疑問があるが、他の都道府県在住者が宿泊施設などを利用する際に証明書の提示を求めることを義務化すれば一定の効力を及ぼすとも考えられる。ホテル宿泊時にフロントで記載する何の意味もない書類が久しぶりに意味を持つようになるかもしれない。極めてばかばかしい冗談と思われた「国内パスポート」が現実化しかねない状況なのだ。
日本政府は、新型コロナウイルスに対しこれからも「想像を絶する」対応をするかもしれない。国民は、自らの生活を防衛するため、政府の行動に対して常に最大限の監視と警戒を怠るべきではない。
既に日本政府は「自粛」によって日本国民の経済活動に多大な損害を与えてきた。政府による「自粛要請」とそれに従わない店舗名の公表、そして正義感に駆られ「自粛警察」化した国民によって、多くの店舗が休業に追い込まれ十分な補償も受けられぬまま廃業の道を選んだ。
5月25日に政府の緊急事態宣言は解除されたものの、それらが残した経済へのダメージや後遺症は計り知れないものとなっている。そして大都市部では根拠不明の「休業要請」が依然として継続している。このように、通常ではおよそ実現不可能なようなことでも、政府がやろうと思えば実現しうるという現実をわれわれは重く受け止めるべきだ。
■国民よ、政府にNOと言え
筆者は、医療専門家ではないが、政府が採用した一連の政策が日本経済を破壊したことは分かる。一方で、欧米の新型コロナウイルスによる被害状況と比べて、日本の新型コロナウイルスの被害状況は極めて軽微だ。強烈なロックダウンを実施した欧米に対し、そもそも日本の「自粛」がどこまで効果があったのかという点は後々検証されるべきであろう。
現在も第2波・第3波が来ることを想定し、専門家は厳しい声を上げつづけている。たしかに、それらの警告は彼らの職務を果たした発言として尊重されるべきものだろう。
だが、その際に本来は政治家が医療と経済の見極めを行った対応を打ち出すべきであるにもかかわらず、現在までの後手に回りつづけた政府の対応を見る限りでは全く頼りにならない。
われわれ日本国民は自らの生活の糧を守る必要がある。
政治家が頼りにならない中で、政府が押し付けてくる「新しい生活様式」という夢想を真に受けていては、「古い生活様式」である現実の生活が破壊される一方だ。
新型コロナウイルスだけに気をやっていて、生きていけるはずもない。政府の言いなりになってその意向に追随するだけでは自らの生活を守ることはできないだろう。国民側から政府の政策に堂々とNOを突き付ける動きが活発になるべきだ。
そうでなければ、日本において都道府県の移動が「通行手形」で制限される未来が待っているのだから。
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早稲田大学招聘研究員
国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。
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(早稲田大学招聘研究員 渡瀬 裕哉)
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