コロナで急増「オンラインお見合い」だとリアルより成功率が2割高い

プレジデントオンライン / 2020年6月8日 11時15分

写真=IBJオンラインお見合い

新型コロナウイルスの影響で、お見合いを「オンライン」で行う結婚相談所が増えている。緊急時のサービスとして始まったが、「もっと話したい」と答える男女は通常のお見合いより2割多いというデータもある。なぜ成功率が高くなったのか――。

■「仮交際」の割合は、通常30%→オンライン50%

長い外出自粛期間がようやく明けた。飲食店などが続々と営業を再開する一方、感染第2波がやってくる心配もある。積極的な外出はまだしばらく避けたい昨今、テレビ会議やオンライン授業、オンライン飲み会など、画面越しでの対話に抵抗がなくなってきた人も多いのではないだろうか。

そんな中、お見合いという社交の場でもオンライン化が浸透しつつある。すでにいくつかの結婚相談所では、結婚相手を探す男女をウェブ会議で引き合わせる「オンラインお見合い」を始めている。

婚活サービスの大手IBJが4月にオンラインお見合いを開いたところ、「仮交際」に移行する会員の割合が50%に上った。1~3月に対面で実施したお見合いよりも20ポイント近く上回っており、画面を介した顔合わせの方が男女の交際移行率が高い傾向にあるというのだ。

実際に会う場合と何がそんなに違うのだろう。6万人以上の会員を抱えるIBJに話を聞いた。

■2組に1組は「また会いたい」と回答

全国に直営・加盟相談所を持つIBJは各都道府県からの休業要請を受け、新規入会を一時制限し、オンラインでの既存会員サポートに比重を置いた。緊急事態宣言期間中は対面形式のお見合いを避けるため、8割近くのユーザーがオンラインお見合いを行ったという。

オンラインお見合いのやり方はいたって簡単だ。IBJの専用アプリで会員の顔写真とプロフィールを確認し、双方が「会ってみたい」とマッチングすれば相談所の仲人がウェブ会議をセッティングする。当日はオンライン上で対面し、40分~1時間程度2人でおしゃべりするというもの。終了後はそれぞれの仲人によるヒアリングを行い、2人がこの先も会うことに同意すれば「仮交際」が成立する。

ここでいう仮交際とは、一般的な交際とは違い「相手のことをもっと知りたい」と思っている期間のことを指す。仮交際の期間中は他の会員ともお見合いが可能で、いろんな相手とのやりとりを経て1人の相手と付き合う「真剣交際」の段階に進んでいく。4月のオンラインお見合いではこの仮交際が成立した割合が50%、つまり2組に1組は「また会いたい」とお互いに好感触をもったことになる(IBJ直営相談所で4月18、19日に開いたオンラインお見合い316件を集計)。

■直接会うよりも、リラックスして会話に集中できる

直接会うことができないのに、画面越しでのお見合いのほうがなぜ仮交際率が上がるのだろうか。IBJ広報担当の椎名麻里さんによると、大きく3つの要因があるという。

「オンラインお見合いを希望する方は、自粛期間中も婚活したいという、もともと結婚への意欲が高い方が多いです。もう一つは、外で会う場合と違って画面上だと会話に焦点が当たりやすく、コミュニケーションに集中できる面があると思います」

対面でのお見合いは通常、ホテルのラウンジなどで行われることが多く、時間は1時間から1時間半程度。常日頃からラウンジを利用している人ならともかく、慣れない場所で初対面の相手とコーヒーを飲み、90分近くの時間をおしゃべりして過ごすのはなかなかハードルが高い。

対してオンラインお見合いの場所は多くが自宅で、時間は長くても1時間程度だ。リラックスできるうえに、いつもより短い制限時間が相手のことをもっと知りたいという意欲を掻き立てるのかもしれない。

3つ目は、外出自粛という異例の状況下で共通の話題が生まれやすいことだ。リモートワークやオンライン飲み会の普及でZoomなどのビデオ通話に慣れており、家では何をして過ごしているんですか? と会話に花を咲かせやすい。「楽しかったので今度は直接会ってみたい」と、仮交際に対するハードルが通常よりも下がっている現状があるのだという。

■「オンラインプロポーズ」に大成功した男性

ユーザーは主に首都圏に集中しているが、地方在住者や期限つきで転勤している会員もオンラインお見合いなら距離の心配をしなくてすむ。気になるのは「仮交際」となったその先だ。IBJでは外で会う代わりに、自宅で楽しめるオンラインデートを推奨している。

2人でオンラインゲームの対戦をしたり、所蔵品を公開している美術館のサイトでバーチャル鑑賞したり。通話しながらスマートフォンの画面を共有し、見たい動画や映画を一緒に楽しむツールもある。コロナ禍で一気に増えたオンラインコンテンツを駆使し、さまざまに工夫しながら2人だけの特別な時間を共有しているようだ。

中には、外出自粛が始まる前から対面でのデートを重ねていた、真剣交際中のカップルで「オンラインプロポーズ」が成功したケースもある。

「結婚を前提にお付き合いしていたのですが、4月から会えなくなったことでプロポーズの計画が立てられず、先の見えない不安で関係が希薄にならないかと心配をしていました。そこで男性と仲人で相談し、オンラインプロポーズを計画。彼女にはサプライズで決行し、男性が用意したダイヤモンドを画面越しに見せてプロポーズしました。このような状況で先が見えないからこそ、オンラインを利用しお互いの気持ちを見えるようにすることで、早期に結婚につながったのだと思います」(椎名さん)

■「部屋がどれだけ片付いているかがわかる」

「新しい生活様式」という名にふさわしいオンラインお見合いだが、体験した男女それぞれの感想を聞いてみると、前述のような共通認識だけでなく、捉え方の違いも浮き彫りになった。

「対面形式よりも緊張しなかった」というのは男女共通だが、女性は「部屋の様子が分かってよい」「身なりや部屋がどれだけ片付いているかを見て、違和感がなかった」など、相手の生活まわりの情報を得たことに満足する声もあった。

一方、男性はどうか。「相手の顔がよく見える」という声が多かったほか、「対面だと相手をリードしなければいけないと思っていたが、オンラインだと会話だけに集中できる」という意見も聞かれた。リードすることへのプレッシャーを避けたい男性と、生活する上で価値観にズレがないかを把握したい女性、双方にとってオンラインお見合いが効率的な方法であることに変わりないようだ。

しかしながら、IBJの椎名さんはオンラインゆえのデメリットも指摘する。通信環境によっては接続が悪く、やりとりにタイムラグが発生することも。また、テーブルを挟んでの対面よりも顔がよく見えるので、笑顔やリアクションをいつも以上に意識することが大事だと仲人からアドバイスをしたり、お見合い前に接続状況をテストしたりしているという。相手を知ることに注力できるのはいいが、裏を返せばお互いのコミュニケーションスキルが問われる場面でもある。リラックスできる自宅だからとはいえ、身なりや言葉遣いに気を抜くのは禁物だ。

■「結婚したいが、恋愛は面倒くさい」若い世代

ここまでいろいろ話を聞いていると、一つの疑問が浮かぶ。日本では50歳まで一度も結婚したことのない人の割合を指す「生涯未婚率」が年々増加しており、内閣府の推計では2020年で男性が23.4%、女性が14.1%に上る。結婚しない人が増える一方、オンラインお見合いや婚活パーティーなどの“出会いの場”に人が集まるのはなぜなのか。

「マッチングアプリの普及も含め、出会いの機会が増えたことは事実です。また、実際にアンケートをとると『結婚したいが、恋愛するのは面倒くさい』『知り合っても関係の深め方が分からない』という人が今の若い世代には増えています。結婚相談所では仲人がいるので、結婚願望のある方のためには第三者の存在がこれから大事になってくると思っています」(椎名さん)

結婚相談所の初期費用の相場は15万~20万円ほど。月額数千円で利用できるマッチングアプリも多数あるが、結婚相談所が求めるような独身証明書や収入を証明する資料の提出は不要な場合が多く、不倫の出会いの場となっていたり、学歴や年収を詐称したりしているケースも少なくない。結末がどうなるのか分からない恋愛を繰り返すより、自分の希望に沿う相手と確実に結婚できるならと、先行投資する人がいるのも納得できる。

オンラインお見合いでの「仮交際率」が上がった背景には、オンラインという手軽さに加えて、背中を押してくれる仲人の存在があったのだろう。

■「オンラインだけで完結はできない」

緊急事態宣言が全面解除されたことで、今では従来通り、対面形式のお見合いも行われているが、IBJでは今後もオンラインお見合いを交えながら、ハイブリッドな形で婚活をサポートしていくという。「オンラインだけで一からすべて完結できるとは思っていない」(椎名さん)といい、初期段階での効率のよさや取り組みやすいという側面は認識しつつも、あくまで副次的要素としての利用を勧めている。

2011年に起きた東日本大震災時は、将来を不安に感じたカップルが結婚するケースが相次ぎ「震災婚」「絆婚」という言葉も生まれた。椎名さんは「あのときと同様に、今後は『コロナ婚』が増えてくるのではないでしょうか」と話しており、新型コロナウイルスによる不況をきっかけに支え合うパートナーを求める人が増えるかもしれない。

積極的に人と出会うことが憚られる状況であっても、人生を共にする相手を見つけたいと思う人にとっては貴重な時間であることに変わりはない。今後、コロナ禍が収束しても、オンラインでのお見合いはさらに広がりそうだ。

(プレジデントオンライン編集部 内藤 慧)

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