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自粛疲れの体に効く「体幹バランストレーニング」4ポイント

プレジデントオンライン / 2020年6月9日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shapecharge

新型コロナウイルスによる自粛生活のせいで運動不足に陥り、体重増加、肩こり、腰痛、ポッコリおなかに悩む人が増えています。そんな中、「体にやさしくて効果絶大」と日本中から注目を集めているトレーニングがあります。NHK「趣味どきっ!」で2カ月間講師を務めた体幹バランストレーナーの木場克己さんが解説します──。

■サッカーの長友佑都選手で話題に

私が指導する〈体幹バランストレーニング〉は、「コア(体幹)」「バランス(筋力)」「アジリティ(敏捷性(びんしょうせい))」という3つの能力を高め、ケガをせず、強く、速く、うまくなるためのプログラムであり、「コバトレ」と呼んでいます。

体幹トレーニングといえば、サッカーの長友佑都(ながとも ゆうと)選手(ガラタサライ)が有名です。彼がヘルニアのためプレーすることができなかった大学時代に出会い、一緒にトレーニングを重ね、いまではすっかりケガに強くなりました。たとえ故障してもすぐに回復して戦線に復帰し、周囲を驚かせています。

また最近では、10歳から体幹トレーニングを一緒にやってきた久保建英(くぼ たけふさ)選手(マジョルカ)が、18歳でこれから肉体が発展していく中でも本場スペインの屈強な選手たちを相手に奮闘しています。しかも彼は、これまで大きなケガをしたことがありません。

体幹のトレーニングは地味ですし、即効性があるものではありません。だからこそ、地道にできるかどうかが大事。一流のスポーツ選手はその点がやはり秀でています。

■バランスが整い、自由自在に動く体になる

しかし体幹バランストレーニングは、スポーツ選手だけのものではありません。

私はもともと医療人としてキャリアをスタートしました。そのため、一般の方の体をたくさん見てきました。体幹バランストレーニングとは、体の外側の筋肉(アウターマッスル)と内側の筋肉(インナーマッスル)のバランスを整え、調和し、ケガなく日々健康かつ豊かに暮らしてもらうための方法論です。そのため、むしろ一般の人にこそどんどん取り入れてもらいたいと思っています。

体幹(コア)は胴体部分のことを指す
体幹(コア)は胴体部分のことを指す

「体幹(コア)」とよく聞きますが、これは体のどの部分かというと、腹筋や背筋のことではなくて、簡単にいえば「胴体」のことです。頭、腕、脚以外の体の中心部を指し、背骨を中心にした骨格と、インナーマッスルからアウターマッスルまで十数種もの筋肉で構成され、自分の体を支えてくれています。

一般の人であれ、スポーツ選手であれ、体幹バランストレーニングを通して体の軸が整うと、動きが安定し、思うがままに動かせるようになります。ケガもせず、治療の必要もない、若々しいしなやかな体を手にできます。

そう聞いたら、やらない手はありませんよね。

■片足立ちで自分の体を10秒間キープできる?

①片足立ちで10秒ピタリと止まっていられますか?

①片足立ちで10秒ピタリと止まっていられますか?

読者の方々にも、いますぐ簡単に実践できる「体幹力チェック法」があります。さっそくですが、次の2つの動きを実践してみてください。

①片足立ちで10秒間キープできますか?

片足を上げ、膝(ひざ)をおへその高さまで上げ、両手を添えて直角に保ってください。片足立ちの状態で、頭から軸足のかかとまでを真っすぐにしたまま、体の軸がブレないようにキープします。

②しゃがんだ状態でおしりを地面につけずに10秒間キープできますか?

両手を顔の前で合わせてしゃがんでください。背すじを伸ばし、頭を下げずに前を向いてキープします。

さあ、どうでしたか? 10秒間グラつかずにピタッと止まっていられましたか? 止まっていられたら、初級編はクリアです。あなたは体幹の力がある程度あるといえます。

②しゃがみ込んで、10秒お尻を突かずに止まっていられますか?
②しゃがみ込んで、10秒お尻を突かずに止まっていられますか?

できなかった人も、がっかりする必要はありません。

今回『実践! 体幹バランストレーニング』という本に、写真と動画で「実践編」メニューを紹介しています。こちらをご覧いただき、初級からアスリートレベルまで試して継続してみてください。必ず体幹はより強くなり、バランスが整い、体をピタリと止められるようになります。

木場克己『実践! 体幹バランストレーニング』(プレジデント社)より
木場克己『実践! 体幹バランストレーニング』(プレジデント社)より

■骨盤を水の入ったバケツとしてイメージしよう

より具体的に体幹の働きをイメージしてもらうとしたら……。そうですね、骨盤のことを「水がたっぷり入ったバケツ」だと想像してみてください。強い体幹に支えられていれば、バケツは水平に安定し、水はこぼれません。しかし、左右にバランスが崩れてバケツを多くゆすったら、水はこぼれてしまいますよね。

骨盤を「水の入ったバケツ」としてイメージしてみよう
骨盤を「水の入ったバケツ」としてイメージしてみよう

体を動かすときに「骨盤を安定させる」とは、バケツが水平のままブレない状態になっていることで、これが「体幹が強い」状態なのです。

体幹を強くするために行う「体幹トレーニング」も、「筋トレ(筋肉トレーニング)」といわれるトレーニングの一種であることに違いありません。

ただ、一般的な腹筋、背筋のトレーニングや器具を使ったウエイトトレーニングは外側のヨロイをつくるトレーニングで、「アウターマッスル」といわれる、外側の筋肉を鍛えるためのものです。

一方、体幹トレーニングは「インナーマッスル」を鍛えます。インナーマッスルは、ヨロイの中のコルセットをイメージしてください。コルセットでしっかり体を支えたら、胴体は安定してブレにくくなりますよね。まさにこのような状態を自分の体で作っていくわけです。

■「コバトレ」の4ポイント

私の体幹トレーニングメニュー「コバトレ」では、次4つのポイントを考えながらメニューをつくっていきます。

① 柔軟性
体の柔らかさを求めます。体が硬いと、動きの可動域が制限されてしまい、ケガにつながりやすくなります。柔軟性があることで可動域が広がり、バランスが取りやすくなります。小さいときは筋肉がつきにくいため、柔軟性を中心にトレーニングするのがおすすめです。

② 安定性
体の軸の安定を求め、コアの部分を中心に鍛えるトレーニングを実践します。安定性は体幹トレーニングの基礎となる部分ですから、しっかり取り組みましょう。コアは体の土台となり、貯金もできるため、じっくり、しっかり鍛えていきましょう。

③ バランス
文字通り、体幹トレーニングをしているときの全身のバランスのことです。頭からおへそ、かかとまでの軸をキープして、バランスを崩さないようにするトレーニングをしていきます。ステップや足の動きをする中で、頭の位置がブレないかを確認するといいでしょう。

④ 連動性
コアとのつながりで連動して体を動かします。たとえば、コアに当たる脇腹、おしり、太ももを連動させてトレーニングします。もも上げやサイドステップなどの動きは、見たところ足だけ動いて体を支えているように感じられるかもしれませんが、実際はおしりや脇腹、お腹の筋肉も使って体を支えています。それぞれの部位を意識しながらトレーニングを積むことで、連動した激しい動きに対しても軸のブレない体幹が整ってきます。

以上のようなステップを踏んで体幹の強化を図っていきます。

■使っていない筋肉を目覚めさせる

体のスイッチが入っていないところにスイッチを入れるのが、私たちトレーナーの仕事です。

長所を伸ばして強くさせるのではなく、使われていない筋肉をいかに目覚めさせるか、それが体幹トレーニングの大きな目的です。ターゲットになる筋肉は、インナーマッスルであり、体のあちこちに張り巡らされた細かい筋肉群です。

また、肉離れなどの筋肉系のケガは、普段使えていない筋肉が急に使われてびっくりすることで起きます。そうならないように、すべての筋肉を使って、筋肉が常時目覚めている状態にしておきましょう。

■運動不足の子どもたちの体に異変が……

最近の子どもは、足の指が変形していることが多く、なかでも小指が「浮き指」になっているといいます。

体を十分に使わないことで、足の小指が地面につかない「浮き指」の子どもが増えている……
体を十分に使わないことで、足の小指が地面につかない「浮き指」の子どもが増えている……

足の測定板で足型をつけても、指が4本しか地面についていない状態が「浮き指」ですが、こうした子どもは、しっかり地面をかめて(踏ん張れて)いません。指でかめないため、ふくらはぎの外側にある「腓骨筋(ひこつきん)」という筋肉が上手に使えず、バランスを崩して捻挫(ねんざ)をしやすくなります。

ほかに、外反母趾(がいはんぼし)の子どもも多くなっています。足の裏でペタペタと接地し、足の指に体重を乗せずに歩いていることが原因です。体重を乗せずに歩いていると、足の指を広げたり曲げたりという動きをすることがなくなり、足の指の筋肉がどんどん弱ってしまいます。

そこで、朝起きたら、足の指でグー・チョキ・パーの動きをする「足指体操」をするといいでしょう。足の指をしっかり使う癖をつけるのです。寝る前はリラックスして筋肉を使わないことが望ましいので、朝起きた際の自分のルーティンのひとつにしましょう。また、5本指ソックスなどを使って、足の指の筋肉を使えるようにするのも有効です。

片足立ちになっても10秒ピタリと止まってバランスを崩さない人は、自然と足の指を使うことができています。足の指を使う感覚を身につけるためには、10代のうちから意識づけることが大事です。体の内側だけでなく、足の指も意識して使い、体を支えていきましょう。

■「週3日」を「3週間」が「習慣化」の極意

世の中にはたくさんのトレーニング法があります。自分に合うか合わないかを見極めるポイントは、「週3日」を「3週間」続けてやってみることです。

ストレッチにしても、1週間に1回では意味がありません。週3日を3週間やり続けることができれば、ほとんどの方が自分の体の変化を感じます。それが「継続する力」となり、「メンタルの強さ」へとつながります。

木場克己『実践! 体幹バランストレーニング』(プレジデント社)
木場克己『実践! 体幹バランストレーニング』(プレジデント社)

3週間続けば、3カ月続けられるようになります。3カ月後にはやらないとなにか気持ち悪くなってきます。これが「習慣化」です。習慣化に成功したら、トレーニングメニューへステップアップし、次第にその強度を上げていくことで、強い体幹を手にすることができます。

スポーツをする人だけでなく、すべての人に健康な体になってもらいたい。それが私の願いです。ケガをしない、治療しなくてもいい体になって、生涯健やかに暮らすことができたら、それが一番ですよね。

今回、NHK「趣味どきっ!」のおかげで、「体幹バランストレーニング」に広く関心を持っていただくことができ、本当にうれしく思っています。今後も、子どもからお年寄りまで実践できるようなノウハウにして伝え、「きちんと体幹を使えるようになると健康な体になる」という世の中の流れをつくっていきたいと考えています。

そんな使命感を胸に、今日も人々の体と向き合っています。

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木場 克己(こば・かつみ)
体幹バランストレーナー
独自の「コバトレ」を確立した、体幹トレーニングの第一人者。1965年、鹿児島県生まれ。KOBAスポーツエンターテイメント株式会社代表。KOBA式体幹バランス協会代表。柔道整復師、鍼灸師、日本スポーツ協会アスレティックトレーナー、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。サッカー、水泳、陸上など、さまざまな競技のトップアスリートのトレーナーを務めるほか、back numberなどの有名アーティストのトレーニングをサポートする。2020年3月からはNHK「趣味どきっ!」講師を務めるなど、テレビや雑誌などメディア出演も多く、企業の健康講演会、教育現場での体育指導など幅広い分野で体幹トレーニングを通して人々の健康づくりを支援している。著書には、ベストセラーとなった『腹を凹ます体幹力トレーニング』(王様文庫)、『実践!体幹バランストレーニング』(プレジデント社)ほか多数。公式ホームページ/インスタグラム

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(体幹バランストレーナー 木場 克己)

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