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安倍晋三、ただで済むと思うな…菅義偉「最後の逆襲」の幕開けだ!

プレジデントオンライン / 2020年6月8日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/_jure

■コロナを使ってバラマキする安倍晋三

新型コロナウイルス対策として自民党内部で議論されてきた政策は原則としてバラマキ政策だ。このような政策も危機的な経済環境において一時的には容認される部分もあるだろう。

しかし、一度タガが外れた政策というものは簡単に元に戻るものではない。政治家や役人は自らの権益の拡大のために、バラマキ、規制強化、そして増税を繰り返すものだ。あの手この手で自らの息がかかった業界団体に利権を誘導し、持続化給付金事業の業務委託のように不透明な中抜きを繰り返す。そして、バラマキで十分に財政赤字が積み重なったところで、御用学者に様々な提言をさせる形で、大義名分を整備してコロナ増税を実現する。

現状のままでは「東北復興の時のように予算の多くが復興とは全く関係ないものに流用された挙句、現在でも国民が復興増税を負担している」悲惨な現状をもう一度繰り返すことになるだろう。

■バラマキ以外の政策は携帯料金の値下げ

そして、これらの政策は見識と節度がないどころか、中長期的には日本経済の足腰を弱体化させ、人々の生活を貧しくすることに繋がっていくだろう。まさに、人の仮面を被った餓鬼のような所業だ。

では、直近の出来事で、このような愚かなバラマキ政策ではなく、人間として知恵を使って国民生活の負担軽減を行う政策は何か行われたであろうか。その一例として、携帯電話料金の引き下げを目指す改革を挙げることができるだろう。

国民生活の負担を軽減する携帯料金値下げは、菅義偉官房長官肝煎りの目玉政策である。国民生活が新型コロナウイルスに伴う経済不況で厳しい環境に置かれている中、家庭の負担の中で大きな割合を占める項目として通信費が削減される可能性があることは望ましいことだ。

■中長期的には携帯料金は下がっていくだろう

携帯電話の値下げは菅官房長官と公正取引委員会の暗黙の協力関係で進んできたものだ。2018年6月公正取引委員会が端末・通信のセット販売を前提に「携帯市場は競争が十分に進んでいない」と発言、18年8月に菅官房長官が携帯電話料金の4割削減を打ち出した。その後、官邸に設置されたデジタル市場競争本部長として、アップルのクック会長に携帯市場に関する透明性を確保することを約束させている。携帯電話市場には今年4月から楽天が参入し、データ通信量に上限がないプランを従来の大手3社の約半額の値段で提供する形となっている。

菅官房長官は総務大臣として携帯電話事業を所管する経験を持ち、国会議員として当選後に総務委員会に所属し携帯に関する質問等を行ってきたことからも同政策分野に元々高い関心を有していた。そして、20年からは公正取引委員会委員長として、古川一之官房副長官補が承認されている。古川氏は菅官房長官の側近の1人とみなされる人物だ。したがって、菅官房長官の影響力が残る限り、携帯各社の競争促進の流れが逆戻りする可能性は低く、中長期的には携帯料金が下がっていくことになるだろう。

■叩ぎ上げ菅義偉ならではの、いぶし銀政策

大規模なバラマキ政策に比べて地味な改革ではあるが、家計において事実上の固定費用となっている携帯電話料金の引き下げが本格化した場合、その家計支出における改善効果のインパクトは大きいだろう。たたき上げの国会議員である菅官房長官ならではの人材とタイミングを見計らったいぶし銀の政策と言える。

一方、岸田政調会長は第一次補正予算で潰された面子を補うために、第二次補正予算で家賃補助を含めた巨額のバラマキ予算を取りまとめた。二次補正に含まれる形で予備費として計上された10兆円は今後国会による監視を最小限に抑えたうえで、様々な利権としてばらまかれていくことは想像に難くない。実に自民党的な補正予算だと言えるだろう。

岸田氏はポスト安倍レースに首の皮一枚残したかもしれないが、今後、新型コロナウイルス禍から日本が立ち直っていくには、単純な利権バラマキ政治家ではなく、現場の課題を熟知した知恵を持つ本物の政治家が必要だ。

安倍政権は二世・三世議員のような現場を知らない閣僚を重用する傾向がある。そして、昨年末から現在まで同政権は菅官房長官を徹底的に排斥する動きを見せている。

■それでも二世・三世を優遇する安倍晋三。菅義偉は人柱に

この動きは安倍首相が岸田政調会長に政権を禅譲することで影響力を残す布石の一環として見られている。この禅譲シナリオにイレギュラーが発生する芽を事前に摘み取る一手が菅外しなのだ。

安倍首相・菅官房長官の軋轢は、菅官房長官の側近とされる官僚らの力を削ぐ動きが頻発し、同長官と安倍首相の取り巻きの官僚たちとの険悪な関係が報道で伝えられることで、官邸の外側にいる国民にも広く周知されることになった。

国民が新型コロナウイルス禍、そしてそれに伴う経済不況で苦しむ中で、危機管理の要である官房長官を機能不全状態に追い込んだ代わりに、メディアに対する人身御供としてアベノマスクに関するくだらない記者会見の応答をさせるなど、安倍政権の国民不在の権力闘争の有様は正直言って絶句せざるを得ない。安倍政権の官房長官としてはどれほど理不尽な尻ぬぐいであっても、メディアの矢面に立つ必要があるだろうから、その心中をお察しせざるを得ない。

■失敗の責任を全て菅義偉に押しつける安倍晋三

また、最近では黒川元東京高検検事長と懇意であったのは、安倍首相ではなく菅官房長官であり、安倍首相自身は検察庁法を含む国家公務員法改正案には興味がなかったとされる情報が平然とメディアに垂れ流されている。真偽のほどは確かではないが、国会に重要法案として閣法として提出される法律に対して、安倍首相の思い入れがない、とする言い訳が成り立つわけがない。しかし、安倍政権はいまや失敗したことは何でも菅官房長官の責任として丸投げせんばかりの勢いだ。

一人の国民として、選挙区の一般有権者とろくに話したこともない世襲議員による門閥支配と堕した自民党内の跡目争いなど、国民生活に何ら関係がないくだらないものだと思う。彼らは国民生活からかけ離れた人々だからこそ、政権在任中最も危機管理が必要とされる状況の中で、官房長官をスポイルするような無謀な行為を平然としているのだろう。そして、財務省の顔色を伺いながら、自分たちの利権関連予算をつけるような真似をしているのだ。

われわれ国民はアフター・コロナの日本の立て直しを見据えた本物の知恵を出すことができる政治家を必要としている。

■菅義偉は国民のための派閥をつくってくれ

たしかに、血縁・姻戚関係で主要ポストをたらい回しにしている政治の現状では何を言っても無駄かもしれない。しかし、今こそ、秋田からの集団就職、東京の段ボール工場で働き、その後政治家として真面目に政策立案に取り組んできた菅官房長官のような人物こそが必要だ。言動の派手さではなく、国民生活の一つひとつを注視し、知恵を使って国民の生活改善する提案を行うセンスが問われている。

今年の夏に内閣改造があるのか不明であるが、菅官房長官には閣外に出られた後には国民生活に根差した政策を実現できる派閥を立ち上げてほしい。

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渡瀬 裕哉(わたせ・ゆうや)
早稲田大学招聘研究員
国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。

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(早稲田大学招聘研究員 渡瀬 裕哉)

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