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コロナ禍でも数字を上げ続ける営業マンたちは、リモート商談で何をしているか

プレジデントオンライン / 2020年6月10日 17時15分

プルデンシャル生命保険 執行役員 第一営業本部長 菊地 直人さん

コロナショックをきっかけに、「対面営業の権化」からリモート商談の先進企業へと変貌したプルデンシャル生命保険。非対面での営業を成功に導くため、若手社員が実践している手法とは? 営業責任者の菊地直人さんが教えてくれました。

■新しい営業スタイルが続々と登場

──プルデンシャル生命保険は業界でいち早くリモート商談を取り入れました。社内はもちろん業界でも前例が少ない中、どう実践していったのでしょうか。

当社としてもリモート商談は初の試みだったので、最初は不安の声もありました。しかし、実際に導入してみると、社員が自発的に勉強会を開いたり、外部の研修に参加したりと積極的に動き、自ら新しいスタイルをつくり出してくれました。当社にはもともと現場主導で進化していく土壌があるので、それも大きかったと思います。

特に若手社員は意欲が高く、リモート商談ならではのオリジナルスタイルを編み出した者もいます。設立以来、当社はずっと対面営業にこだわってきましたから、営業スタイルにこれほど大きな変化が起こるのは初めてのこと。今までにない独自の進化を遂げつつあり、私自身も驚いています。

──この変化は一過性のものでしょうか。コロナ後は元の対面営業に戻そうという動きはありますか?

いえ、リモート商談は今後もさらに推進していきます。もちろん対面営業も再開しますが、今回の経験を通してリモート商談には大きなメリットがあると実感したので、元に戻すということはあり得ません。これからは対面とリモート、2つの営業スタイルを合わせた「ハイブリッド型」を目指していく方針です。

■学習塾の講師のようにホワイトボードを活用

──具体的には、営業職の方々はどんな工夫をしているのでしょうか。

当社の営業は、お客様のご希望や今後の流れなどを書きとめて、それをお見せしながら商談を進めることが多いのですが、これをリモート商談でもできないかということで、自分の後ろにホワイトボードを置いた社員がいました。

オンライン学習塾の講師のように、ホワイトボードに書きながらご説明していくわけですね。PCで作成した資料などは画面上で共有できるので問題ありませんが、その場で出たお話をサッと整理するにはやはり手書きが便利。お客様のわかりやすさを重視した、ユニークなアイデアだと思いました。

また、背景は何がいいか、照明はどこから当てるべきか、Webカメラを2台使ってはどうかなど、見え方についてもあれこれ実験しているようです。お客様とつながる前に、まず社員同士で「相手からどう見えるか」を確認し合うんですね。こうしたアイデアは若手から出ることが多いですが、そのデモンストレーションを見てベテラン社員が学ぶという好循環が生まれています。

■オンライン時代の新しい自己紹介のかたち

──初対面のお客様に対しては、どんな工夫をされていますか?

フリップ数枚に自己紹介を手書きして、画面越しに紙芝居のようにお見せしている者がいます。お客様に親しみを持っていただくための工夫ですね。ほかには、リモート商談に先立って、短い自己紹介動画をお送りしている社員もいます。

これは、自分で、またはプロに依頼してつくった動画を、会社の検証を経てからお客様にお送りするもの。いわば映画の予告編みたいなものですね。商談当日は、お客様がその社員の顔を見るのは2度目ということになりますから、反応もずいぶん違うようです。

こうした工夫は社内でも共有されています。当社には全国の社員がWeb上で情報交換できる仕組みがあり、そこでは新しいアイデアが次々に披露されています。どこの支社でも、リモート商談を進化させようと自発的に取り組んでいて、非常に頼もしく思っています。

■部員間で成約数に大きな差が出てきている

──営業スタイルが変わると新人教育にも変化が起きそうですね

当社では、新人の商談には上司が同席するのですが、リモート商談でスケジュール調整が簡単になりました。加えて、商談を録画して後でレビューしたり、教材として使ったりできるので、新人教育の面でもいい効果が生まれています。

ただ、目指すゴールは全社員が対面営業と非対面営業の両方をできるようになることです。対面営業では新人教育、リモート商談では社員間のITリテラシーの差など、今後の課題は少なくありません。

当社では、3月初旬に首都圏での対面営業をストップしました。それ以降の業績を見ると、成約が40件だった社員もいれば0件だった社員もいます。ITを活用できているか否かで、それだけの差がついているわけです。この差は対面営業が再開できれば埋まっていくでしょうが、0件の人は何がネックになっているのか。この点は今後しっかり検証していく必要があるでしょう。

私としても課題をクリアしていくため、2週間に1度は現場と会議を行い、問題や要望を吸い上げています。これを本社に持ち帰って話し合い、現場へフィードバックする。この繰り返しと現場の努力によって、目指すゴールに着実に近づいていければと思います。

■コロナが無ければリモート商談などありえなかった

──ただ、日本企業には新しい働き方に抵抗のある人も少なくありません。そうした、いわゆる「昭和上司」にはどう働きかければいいのでしょうか。

私も50代後半で昭和の人間なので(笑)、最初はリモートワークに抵抗がありました。しかし実体験を通して、仕事を進めるのに何の支障もないこと、対面に比べて非常に効率的であることに気づきました。今では、働き方においてこれほど革新的な手法は他にないと思っています。

リモートワークに抵抗のある人には、やはり実際に体験してもらうのがいちばんだと思います。今、当社では対面での飲み会が禁止されていまして、代わりにオンライン飲み会が行われています。私も参加していますが、とても楽しいですよ。こうした楽しい部分から体験してもらってはどうでしょうか。

今回のコロナ禍は危機的な出来事でしたが、働き方の進化という思わぬ副産物ももたらしました。この出来事がなかったら、当社はリモート商談など間違いなく導入していなかったでしょう。

リモート商談では、忙しい方や遠隔地の方など、これまで時間的・費用的に寄り添えなかったお客様ともつながることができます。従来の対面営業に、この新しいスタイルをプラスすることで、お客様に選んでいただけるチャンスも増えるのではと期待しています。

(プルデンシャル生命保険 執行役員 第一営業本部長 菊地 直人 構成=辻村洋子)

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