コロナショックで大激変、一流大学の学生が「ヤバい」と感じる会社の意外な特徴とは
プレジデントオンライン / 2020年6月15日 9時15分
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宮本 恵理子さん/早稲田大学4年生。バンドサークルなどに所属。趣味はドラム演奏。女性
磯部 卓冶くん/早稲田大学4年生。広告研究会に所属。趣味はサーフィン。男性
門戸 美礼さん/慶應義塾大学3年生。ダンスサークルなどに所属。趣味は筋トレ。女性
山本 里沙さん/慶應義塾大学1年生。放送研究会に所属。趣味は映画鑑賞。女性
加藤 耀くん/東京理科大学1年生。趣味は音楽鑑賞や動画鑑賞。男性
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■外出自粛で家族との会話が増えた
【原田】今回は、コロナ以前と以後とで皆の価値観にどんな変化があったのかを知りたいんだ。まず人間関係についてなんだけど、家族仲に変化があった人はいるかな?
【宮本さん】外出自粛で家にいることが多くなったので、親との会話が増えました。妹ともよく話すようになって、前より仲よくなれた気がします。ジャニーズや俳優の佐藤健くんの話題で盛り上がることが多いですね。
【山本さん】以前は帰宅時間が夜の10時頃で、帰ったらお風呂に入って寝るだけだったんです。家族とは時間が合わなくて、特に父は朝起きたらもう出社してるし、帰ったらもう寝てるしで、あまり顔を合わせることもありませんでした。そういう日が続くと、たまに会っても話すことがないんですよね。でも、今は夜に一緒にクイズ番組を見たりして話す機会が増えました。私たち親子にとっては、外出自粛はプラスになったと思います。
【加藤くん】僕は弟を誘ってバスケをするようになりました。外出自粛で運動不足が気になったからなんですが、コロナ以前だったら弟と外で遊ぶなんて考えなかったと思います。その意味では、いい機会になりました。
■離れている友人と同じドラマでつながる
【原田】外出自粛は、家族仲を深めるいい機会になったようだね。じゃあ友人関係や恋愛関係はどうかな? こちらは家族とは逆で、一緒に過ごせる時間がかなり減ったと思うんだけど。
【門戸さん】友達とはつながりをなくさないようにしようと思って、オンライン飲みをしたりしていました。あと、Netflix(ネットフリックス)に、離れている友達とも一緒にドラマを見られるサービスがあって、それもよく利用していましたね。
【加藤くん】僕はSNSをよく見るようになって、しばらく付き合いがなかった昔の友達と会話するようになりました。匿名で質問できるアプリを使って「どうしてる?」とか「今元気?」とか送ったら、それがきっかけになって昔の付き合いが戻ってきた感じです。
【山本さん】私はついこの前まで受験生だったので、忙しかったこともあってSNSはやらなくていいやって思っていたんです。でも、せっかく大学に入ったのに、コロナの影響でコミュニティーが全然広がらなくて……。これはマズいと思ってインスタを始めて、それからは連絡を取り合う相手が増えました。
■友達との「モラルの違い」が鮮明に
【宮本さん】私は逆で、本当に仲のいい子としか連絡を取らなくなりました。前は浅い付き合いの子とも飲みに行ったりしていたんですが、そういう相手とわざわざオンライン飲みする気にはなれないんですよね。
【原田】宮本さんの場合は「広く浅く」の付き合いをなくして、本当に大切な人ときずなを深めようという価値観に変わったようだね。友達選びの基準も変わったりしたの?
【宮本さん】変わりましたね。例えば、外出自粛要請が出ているのに外で遊び歩いて、それをインスタにアップしている人とかは無理。それまで仲よくしていても、もう友達でいられなくなっちゃうと思います。モラルや価値観が違うなって。コロナでその違いがよく見えるようになった気がしますね。恋愛関係も同じで、周りにはそれで別れたり、逆に仲が深まったりしたカップルもいます。
■もっと早くから就活を始めておけばよかった……
【原田】次は仕事観や将来のことについて聞いてみたい。まず就活やキャリアについて、考え方が変わった人はいるかな?
【磯部くん】僕は今就活中なんですが、もっと早くから活動すればよかったと後悔しています。今年、もし就活浪人になっちゃったら大変。来年は通年採用になると思ったほうがいいだろうし、そうでなくても絶対に氷河期がくるだろうから焦っています。
【宮本さん】4年生は皆焦ってると思いますよ。私も、オリンピックの年だから楽に就職できるだろうってなめていました。そうしたら就活を始めた矢先にコロナが来て、同じく「もっと早く始めればよかった」って後悔しています。志望先も安定志向になって、ベンチャーはやめて大手に絞りました。その中でも旅行系は先行きが不安だから、今は生保やカード会社を中心に就活しています。
【門戸さん】私は来年就活が始まります。コロナの影響で社員を退職させているような企業は、きっと新卒を採ってくれないですよね。特に観光系や旅行系は無理だと思います。だから、これまで目を向けてこなかった公務員とかも考え始めています。これから先、どんなところなら安定して働けるんだろうって正直不安です。
■採用人数を減らした企業は「ヤバい」と敬遠
【宮本さん】私は就活で「コロナの影響で採用人数を減らしましたか?」って逆質問しています。減らしていたら業績がヤバいってことだから、行かないようにしています。
【加藤くん】僕はまだ1年生ですが、2浪1留しているので同い年の人たちは就活中。以前は遅れをとっていることをマイナスだと思っていました。でも今は、この「3年ビハインド」が逆にラッキーだったんじゃないかと思っているんです。就活まで猶予があるので、その間に景気が回復するんじゃないかと。
【原田】加藤くんの考え方はすごいポジティブだね(笑)。それと宮本さんの逆質問だけど、今は採用人数を減らしている企業がほとんどだよ。採用ストップなら確かにヤバいかもしれないけど、人数を減らすのは堅実さの証とも言えるんじゃないかな。でも就活生は「潰れるかも?」って不安になるんだね。それだけ安定志向が増しているってことなんだろうね。
■地方最強!地方移住に価値を見出す若者たち
【原田】最後に、将来の展望について教えてくれるかな。働き方や生き方について意識が変わった人はいる?
【磯部くん】今回のコロナで、仕事は自然に囲まれた場所で暮らしながらでもできると知り、「地方最強」って思い始めました。地方に住んでも、東京の仕事をリモートでできますよね。地方なら環境もいいし、人口が少ない分コロナの中でも外出しやすいだろうし、30~40代になったら地方に引っ越すのもアリかなと。ただ、地方といっても最低限Wi‐Fiとコンビニはほしいです。
【門戸さん】私は広島から上京していて、卒業後は東京で就職するつもりでした。でも今、Uターン就職もアリかなと考え始めています。広島は結構都会なのに、コロナの影響も東京ほど大きくなかったようなので安心かなと。
【原田】磯部くんの「地方最強説」は憧れも入っているだろうけど、門戸さんの考え方は現実的だね。皆のようにある程度の学歴があると、給料も重視するだろうから「やっぱり東京で働こう」という結論になりがち。今後は、その考え方も少しずつ変わっていくのかもしれないね。
2014年に出た『地方消滅』という本では、地方の大都市から大勢の若者が、中でも特に女性が東京圏に移動し続けているというデータが示されました。このままいくと900近い数の自治体が消滅しかねないという、衝撃的な将来像も描かれていました。しかし、今回のコロナショックで東京での生活に不安を覚え、地方に「安心」を求める若者も出始めているようです。
人間関係の面では、家族とはリアルで一緒に過ごす時間が、友達とはSNSやオンラインを通じた付き合いが増えている様子が見てとれました。家族仲は皆一様に深まったようですが、友達に対してはコロナを機にコミュニティーを広げた人もいれば、逆に取捨選択した人もいるなど意識が変化しつつあるようです。こうした行動は今後、若者の消費意識にどんな影響をおよぼしていくのか──。次回はその点を探っていきたいと思います。
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マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。
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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=辻村洋子 写真=iStock.com)
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