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大人の知らない「合コン文化史と業界研究」…今年はオンライン婚活元年

プレジデントオンライン / 2020年6月16日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/svetikd

■オンライン婚活盛況、「強引にスキンシップされず安心」の声も

新型コロナウイルスによって、人々の恋愛の仕方も変わりつつあります。

不要不急の外出や密集・密接を回避するため、これまで全国各地で盛んに行われてきた合コンイベントや婚活パーティーも自粛や縮小化傾向にあり、開催するとしてもマスク着用やソーシャルディスタンスの確保などのコロナ対策をするとなれば、今まで通りの出会い方とはいきません。

そこで2020年3月頃から徐々に広まってきたのが、「リモート飲み会」や「Zoom合コン」といったオンラインを通じた出会い。そこで意気投合したカップルは「オンラインデート」でさらに仲を深めることもあります。

婚活パーティー事業者の大半はコロナ禍でリアルイベントを中止にせざるを得ない状況となり、その代替え案としてオンライン合コンの企画を次々と打ち出しはじめました。少しずつリアルイベントが再開できるようになってきた今も、オンライン企画は並行して継続しているところが多く見られます。

また、結婚相談所も直接の対面が難しいことから「オンラインお見合い」の導入が増えています。

こうした出会いのシーンが瞬く間にオンライン化されたことで、意外にも利用者からは「会場に行く時間と労力が省けるから気軽に参加できる」「相手がハズレでもそこまでガックリ来ない」「急な参加も可能」「家での暇つぶしになる」「参加費が安くて良い」等、効率の良さが好評。女性からは「強引にスキンシップされることがなくて安心」という意見や、婚活層からは「IUターン前提で遠方の人とも出会える」という声もありました。

オンライン合コンを通じて出会った中から、気になる人とツーショットでオンラインデートをし、意気投合すれば対面のデートなり交際に発展させるという3STEPは、ある意味“効率の良い恋愛の進め方”として、これから一つのスタンダードになっていくでしょう。

■【業界研究】「オンライン合コン業者」を3つに分類する

今現在、Zoomを使って合コンやマッチングを企画する業者がどっと増えていますが、その業者のタイプは様々なので、大きく3パターンに分けて説明します。

①中堅~大手の婚活パーティー会社

長年にわたり婚活パーティーを運営してきた企業は、コロナ対策を徹底しながらもできる限りイベントの開催をし続けていましたが、イベントを自粛せざるを得なくなった頃からオンライン企画に切り替えてどんどん打ち出しています。自社のパーティー会場を保有しているところも多いことから、本音はリアルなイベントを開催して収益を上げたいのが本心かと思いますが……。

こういった既存の婚活パーティー会社は、身分証による本人確認などの会員管理がしっかりしており、まとまった会員数も保有しているため年代やテーマに沿った企画を打ち出して集客できるので、オンライン合コンの際にも安心して参加できるのが最大のメリット。また司会進行や1on1のシャッフルなどの仕切りも安定しているのは、さすが専門業者といったところでしょう。

オンライン合コンの会費は男性が2000~3000円前後、女性は1000円程度が目安。なかには「男性3000円で参加し放題」といった月額制のところもあります。

②出会いを提供する“相席居酒屋系”飲食店

飲食店で相席をすることで出会いがもたらされる相席屋も、臨時休業中に“オンライン相席”なるZoom合コンの場を設けていました。コロナ対策を徹底した上で営業再開をしていますが、3密を避けるためマスクの装着やアクリル板を挟んで出会っていくのはなかなかハードルが高いと思う人もいるかもしれません。今後はリアルな相席と並行して、オンライン相席も継続していくと思われます。

こういった相席店が主催するオンライン合コンは、元々このお店に足を運んでいたお客さん繋がりの参加者が想定されるので、またすぐ実店舗に足を運びたくなるのが心理でしょう。

③スタートアップやIT系など他業種からの新規参入

「オンライン合コン」という出会いの新潮流をビジネスチャンスと捉えて、新規参入してきた運営者がただ今急増中です。そもそもZoomさえ使えれば誰でもオンライン合コンの主催は可能で、あとは集客ツールとしてTwitterを開設し、参加したい人はLINEアカウントを登録してもらう導線にして、オンライン合コンの告知と開催を繰り返しながら登録者数を増やすという手法です。なかにはHPやnoteなどを開設し、システムを説明したり主催者としての想いを綴っているところもあります。

運営している人の層は、これから起業も視野に入れている学生やスタートアップ系、ITに強いシステムエンジニアの副業、企業の新規部門として試行しているところなど、様々です。マッチング方法も、主催者が手動でやっているところもあれば、AIが自動でマッチングするシステムのところも。

参加費は、まだ開始して間もないため進行も手探り中であったり会員数も少ないため、今は「コロナが終息するまでのキャンペーン」などといった打ち出しで、参加費無料か、取っても数百円~の低価格にしているところが多く見られます。ただ、将来的には会費を取るつもりでやっている業者がほとんどだと思われます。

参加者としては、無料ないし低価格で気軽に参加できることが最大のメリット。

ただし、どんな相手とマッチングされるかという安心面は、会員管理がしっかりしている大手に比べると少々不安が残るところです。参加する際には、運営者情報がしっかり明記されているかを確認することをおすすめします。

このように、コロナ禍によって3密を避けながら出会いを提供する方法として、オンライン合コンが広く開催されるようになり、その分だけ運営業者も急増しました。

■街コンから既婚者合コンまで……「出会いビジネス」全貌

しかし、この現象は今回のオンライン合コンだけに限らず、出会い産業の歴史的に見ても、何かしらの合コンバブルが起きるたびに業者がどっと増えては乱立し、生き残り戦争が巻き起こるのです。

<街コン>

かつては2012年に、街ぐるみで食べ歩きしながら合コンをする「街コン」が大流行し、全国各地で毎週のように数百人~千人規模のパーティーが開催されて「街コン」という言葉が流行語大賞にノミネートされるほどの人気を博しました。この街コンバブルの時も、街コン主催団体がどっと増え、街コン情報のポータルサイトも乱立。この波に乗ったのは、学生イベントや異業種交流会を主催していたようなイベントオーガナイザーや、ウェブサイト制作を得意とするIT関連会社が多く見られました。一見、イベント業とはかけはなれた印象のIT企業の方たちが、突然街コン業者になるという現象が当時はよくありました。面白いですよね。

そして1~2年経つと街コンバブルも一段落してきて、その業界を司るのは数社に落ち着いてきます。

そのなかで、「街コンジャパン」を運営するリンクバルが、2015年に東証マザーズに上場しています。設立から3年半で上場という、なんとも夢のある話です!

その一方で、先述したように元々システムエンジニアだった人が、街コンブームに乗って街コンサイトを立ち上げて起業、一時はかなりバブリーな社長さんになっていたが……今は消息不明というケースも。街コンバブルの明暗ここにあり。

<相席居酒屋>

その後、まだ記憶に新しい2014年頃からは「相席居酒屋」が流行しました。元々はガールズバーと居酒屋を掛け合わせた「居酒屋はなこ」を運営していたセクションエイトが、見知らぬ男女が相席して出会いを楽しむ「相席屋」をオープン。盛況時には行列ができて、2時間待ちになるのもザラというほどの人気を博しました。

すると、またしてもこの相席ブームに乗っかる飲食店が急増。美味しい料理を打ち出した相席ダイニングや、エグゼクティブ層向けのラグジュアリーな相席ラウンジ、キャバクラに近いイメージの相席パブなどなど……一時は渋谷や新宿、池袋などの繁華街には「相席○○」という様々な名称のお店がひしめき合っていました。それも今ではだいぶ減ってきて、厳選された相席店が残っているのが現状です。

<既婚者合コンサークル>

2018年頃からは、知る人ぞ知る「既婚者合コン」が密かなブームに。ある意味“危婚者合コン”な気がしないでもないですが、結婚後の友達づくりの場として人気を博しています。

例によって、既婚者合コンを主催する団体も一気に増えました。イベントの告知があると、すぐに満員になるほどの人気です。

ただ、既婚者合コンイベントだけは、コロナ禍にあってもオンライン合コンを企画していませんでした。その理由はおそらく、既婚者はステイホーム中家族と一緒にいるため、オンライン合コンの参加が難しいからでしょう。

緊急事態宣言が解除されると、すぐにパーティー開催が告知され、即満員になっていますから、需要があるようです。

■はじまりは明治時代……日本を豊かにする合コン文化

合コンは、明治時代に日本で生まれた出会い文化です。旧制高校の寮学生たちが「集まり(カンパニー/company)」の隠語として「コンパ」と言うようになり、「合同コンパ」から「合コン」という言葉ができました。語源については、1926年に刊行された『明治大正見聞史』(生方敏郎・著)にも記述があります。

この合コンという出会い文化が、時代によって姿形を変えながら流行をつくり、ビジネスチャンスになるというパターンが繰り返されています。

1980年代に「ねるとんパーティー」が流行ったように。2012年に「街コン」が流行語大賞にノミネートされたように。2014年に「相席居酒屋」が街中にあふれたように。

そして2020年の今、「オンライン合コン」という新しい出会いの波がやって来ています。

この波に乗るか、飲まれるか。

少なくともオンライン合コンは多くの人々に出会いをもたらし、その中からカップルになる人や、結婚して家庭を築く人たちを生み出していくことは間違いないでしょう。

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田中 絵音 日本合コン協会会長
恋愛アドバイザー。2000回以上の合コンイベントに携わり、男女の恋愛心理に精通する。著書に『こじらせ男子の取扱説明書(トリセツ)』など。

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(日本合コン協会会長 田中 絵音)

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