ハリー杉山「乃木坂46齋藤飛鳥の英語が急に流暢になった理由」

プレジデントオンライン / 2020年6月30日 15時15分

タレントのハリー杉山氏 - 撮影=原貴彦

タレントのハリー杉山さんは、ラジオ番組で乃木坂46の齋藤飛鳥さんと共演している。熱心なリスナーの間では「齋藤飛鳥さんの話す英語が急に流暢になった」と話題だという。イーオンの三宅義和社長が、ハリーさんにそのわけを聞いた――。(第3回/全3回)

■カメラの前では英語を話すときのほうがソワソワする

【三宅義和(イーオン社長)】ハリーさんは英語も日本語も流暢でいらっしゃいます。英語を話すときの自分と日本語を話すときの自分は何か違うということはありますか?

【ハリー杉山(タレント)】いまではさほど大きな差を感じませんが、10年前は英語を話すときのほうが圧倒的にアグレッシブでした。10代のときから英語で勉強していますし、英語で生活していたので。

結局、僕たちが言語を話すときは会話の適切なリズムや「どのタイミングで何を言えば面白いのか」といったパターンをたくさん持っていて、当時の僕は英語のほうがそのパターンの引き出しが多かった、ということです。

たとえば、相手のチャームポイントに気づいたときに、それを自分の言葉で瞬時に拾い上げることができるか。10年前の僕は英語ならそれが自然にできましたが、日本語だとどうしても表現が限られる感じがしたんですね。

【三宅】なるほど。咄嗟に引っ張り出せるパターンの多い言語を話すときほど、表現力が豊かになる。ゆえにアグレッシブになると。たしかに言語はそういうものですね。

【ハリー】はい。ただし、この10年間は、少なくともカメラの前では、日本語で話すほうがアグレッシブになれます。たまに英語のお仕事もありますけど、ソワソワする自分がいます(笑)。

【三宅】それはいまの生活で日本語を使うほうが多いからですか?

【ハリー】それもありますし、日本で芸能活動をはじめて、日本語を通していろんな人生経験を糧にしているので、日本語の引き出しのほうがスムーズに開くようになった感じです。語彙力は英語のほうが多いはずなんですけどね。

■恥じらいを「常に」持つ必要はまったくない

【三宅】日本人は何年も学校で英語を勉強しているのに話せないと言われますが、なぜだと思われますか?

レントのハリー杉山氏
撮影=原貴彦

【ハリー】失敗を恐れて英語を使おうとしない人が多いこと。それから、恥じらいを持つ人が多いことでしょうね。

とはいえ、恥ずかしがることは素敵なことだと思うんです。なぜならそれは向上心の裏返しであり、自分に対してフラストレーションを感じている証拠だと思うので。ただ、恥じらいを「常に」持つ必要はまったくありません。日本人にとって、英語は異国の言語なのですから、アウェーであり、知らなくて当然。焦らず少しずつ習得していけばいいのに、やたらと高いハードルを設定して、不必要に自分を恥じらう人が多い気がしますよね。

■英語脳を育てることを優先すべき

【三宅】小学校で英語教育が導入されましたが、日本の英語教育に対するご提言はありますでしょうか?

【ハリー】英語の授業では英語しか話さないことを徹底するのはどうですかね。

【三宅】中学と高校の英語の授業については「英語は英語で教える」という方向にはなりつつあります。

【ハリー】素晴らしいです。とにかく英語脳を育てることが最重要課題だと思います。たとえば、テニス選手はコートに足を踏み入れたらアスリート・マインドにパッと切り替わると思うんですけれども、それと同じように「はい、ここからは全部英語!」といわれたときにイングリッシュ・マインドにパッと切り替えられるか。目指したいのはそこですよね。

【三宅】ただ、授業で日本語の説明を一切なくすと、文法のような基礎知識が頭に入りにくいという弊害もありまして。

【ハリー】細かい方法論は専門家にお任せします。もちろん最初は大変ですよ。楽器の演奏を学ぶときも、自転車の乗り方を学ぶときも、初めが一番辛いのは当たり前ですよね。

そういう意味で、その辛い体験を授業形式でやる必要もないと思います。いまなら日常の中で英語を使える機会はいくらでもありますよね。カフェで隣に座っている外国人に「What are you drinking?(何を飲んでいるの?)」といきなり話しかけてもいいわけですし、自分が情熱を注いでいるものを外国人に説明する、という方法でもいい。

■洋画を吹き替え版で観るのはもったいない

【ハリー】それから個人的には、音楽のような自分の興味のあるもので英語を学ぶといいと思います。

【三宅】音楽から入るのはとても良い方法ですよね。イーオンの日本人講師の中にも、洋楽が大好きで英語が好きになり、洋楽で英語を身につけた人が多いです。

【ハリー】ただ悲しいことに10年前と比べて洋楽の存在が日本でちょっとずつ落ちてきているんです。これにはわかりやすい理由があって、地上波のテレビが洋楽のアーティストを招かないようになったから。視聴率が取れないからです。

ワン・ダイレクションくらいの超大物レベルでも数字がちょっと動くくらいで、それ以下になると海外ではとんでもないスターなのに、日本では「誰やねん、こいつ」になってしまう。

【三宅】映画でもその傾向はありますよね。以前は「洋画を字幕なしで観たいので英語を学ぶ」という人が多かったのですけど、最近の若い人は日本語吹き替え版を好むという話を聞きます。

【ハリー】実際、吹き替え版の興行収入がいいんです。もちろん吹き替え版も素敵な作品だと思うんですけれども、やはり元の言葉を聞かないと役者さんが演技している意味がないですからね……。

僕がフランス語を勉強していたときに実際に行っていたことですけれども、好きなフランス映画のワンシーンを何度も見返して、セリフを全部書き出したんですね。わからない言葉があったらスペリングの目星をつけて辞書で調べる。そうやって深く「分析」をしていくと、ワンシーンであってもいろんな発見がありますし、体験として深く刻まれていくので、学習効果は高いと思います。誰でも好きな洋画はあるはずですから。

【三宅】それは面白いですね。

■ヨーロッパ人が多言語をすんなり習得するワケ

【三宅】そもそもヨーロッパの人は多言語を学ぶのが普通ですよね。

【ハリー】はい。イギリス人もある程度フランス語を話せますし、イギリス以外でもバイリンガルは普通のことですよね。とくに北欧の人々が話す英語はものすごく流暢で、さらにドイツ語も話せるみたいな。

【三宅】何が違うんでしょう。教育なのか、言葉のセンスがあるのか。

【ハリー】LiLiCoさんが典型的な例だと思うんですけれども、子供のときから英語でテレビを観ている影響は大きいと思います。

【三宅】なるほど。日本ではまだ地上波で英語だけの番組はないですよね。そういうものがあれば、英語を小さいときから見たり聞いたりするのが当たり前になり慣れてくる。

【ハリー】そうですね。あとは幼稚園や小学校で英語を話す試験があるかないかで、天と地の差だと思います。

【三宅】大学入試に民間テストを一斉導入する予定が延期になりました。会話力を試すテストが後退した面はありますね。

【ハリー】非常に残念ですね。

イーオン社長の三宅義和氏(左)とハリー杉山氏
撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏(左)とハリー杉山氏 - 撮影=原貴彦

■乃木坂46齋藤飛鳥に学ぶ「継続する力」と「明確な目標」の必要性

【三宅】そういえば当社にハリーさんのラジオ番組(J-WAVE『POP OF THE WORLD』)を毎週愛聴している女性社員がいまして、彼女が言うには「最近、乃木坂46の齋藤飛鳥さんの英語が急に流暢になってびっくりした」と申しておりました。なにかきっかけのようなものがあったのですか?

【ハリー】続けたからですよ。かれこれ英語のコーナーを3、4年やっていますから。元々飛鳥ちゃんのお兄さんがイギリスのロックが大好きで、その影響で英語に対する興味はベースとしてあったんです。さらに彼女は仕事でロンドンに行ったりしているので、そのたびに刺激を受けてきました。

【三宅】なにか目標があるといいのですかね?

【ハリー】的確な目標を持つのは大切です。冗談かもしれませんが、いつかイギリスに住んでみたいと番組でいっていたと思います。遠い遠い未来だと思いますが、いつか彼女がイギリスで生活していても僕は全然驚きません。

■失敗できることで、人生が楽になる

【三宅】最後に英語学習者へのメッセージを頂戴できますか?

【ハリー】父の言葉を借りてしまうんですけど、失敗を恐れないことですね。どんな栄光や成功よりも、失敗が一番美しくて効果的な成功です。今の失敗は明日、1年後、10年後、もしかしたら人生の黄昏を迎えたときの成功につながるものです。

ですから、1日1回でもいいから何か新しいことにチャレンジして「今日はこんなことを失敗することができた。ラッキーだな」と前向きに捉えていただきたいと思います。

【三宅】とくに語学は失敗の連続ですからね。

【ハリー】そうです。そういう意味では、失敗したときにちゃんと修正してくれる先生と出会ってほしいなと心から願いますね。生徒が間違えたときにスルーするかスルーしないか、つまり失敗を成功につなげてくるかは先生次第ですから。

僕がたまに行う英語のイベントでも、生徒さんの英語は結構細かく修正するんです。もちろん相手のレベルに合わせた修正ですけどね。すると生徒さんがした失敗がプラスに転じる。今度はそのプラスになった知識を使って新しい表現にチャレンジする。そこで失敗したら、またプラスに変えればいい。

【三宅】そうやって失敗を捉えられるようになると、人生が楽になるというか、楽しくなりますね。「失敗したらいけない」というのが大前提にあると非常にしんどい。

【ハリー】そうなんです。ただし、「同じ失敗を何度も繰り返していい」という意味ではありません。僕の友達でもいるんです。失敗を恐れずにいろんなことにチャレンジして、仕事もバリバリがんばっている。でも、一緒に会う約束をするといつも10分から15分遅刻してくるんです。そこは直せよと思いますけどね(笑)。そんなところで信用を失うのって、もったいないですから。

【三宅】マイナスをプラスにつなげることが大事なんですね。

【ハリー】はい。マイナスがあったらプラスにして、それを次のマイナスにつなげて、それをまたプラスにする。こういうマイナスとプラスの連鎖を続けることが人生なんじゃないかなと思うんです。

【三宅】今日はどうもありがとうございました。

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三宅 義和(みやけ・よしかず)
イーオン代表取締役社長
1951年、岡山県生まれ。大阪大学法学部卒業。1985年イーオン入社。人事、社員研修、企業研修などに携わる。その後、教育企画部長、総務部長、イーオン・イースト・ジャパン社長を経て、2014年イーオン社長就任。一般社団法人全国外国語教育振興協会元理事、NPO法人小学校英語指導者認定協議会理事。趣味は、読書、英語音読、ピアノ、合氣道。

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ハリー 杉山(はりー・すぎやま)
タレント
1985年、東京都生まれ。イギリス人の父親と日本人の母をもつ。11歳で渡英後、英国最古のパブリックスクール「ウィンチェスター・カレッジ」に進学し、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院に進む。英語、日本語、中国語、フランス語の4カ国語を話す。現在は、タレント・MC・ラジオDJ・ドラマ出演など、多岐に渡って活躍。

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(イーオン代表取締役社長 三宅 義和、タレント ハリー 杉山 構成=郷 和貴)

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