ニューノーマルな働き方を拒絶する"ザ・昭和上司"2つのタイプ別対処法
プレジデントオンライン / 2020年6月25日 11時15分
■「リモートワーク大嫌い上司」には2つのタイプがある
「withコロナ」「afterコロナ」の時代は、多くの企業でリモートワークとリアルなオフィスワークを併用させていくでしょう。社員の副業も認められ、会社に縛られない新しい働き方が当たり前になると予想できます。しかし、そんな時代に逆行する上司が存在するのも現実。リモートワークを認めない上司には、2つのタイプがいると考えられます。
■①「不安先行タイプ」の昭和上司
「働き方を変えなければいけない」という危機意識はあるものの、「実際に変えたらどうなってしまうのだろう」と不安の方が先行してしまう上司。このタイプはシンプルに部下の仕事ぶりが見えないことに不安を感じているので、とにかく安心させてあげましょう。こまめにレスポンスをすることが大切です。例えば、日報を共有するとか、上司からメールなどが来たら、すぐに返信するなど。また定量的に生産性が上がっていますよ、ということをアピールするのも効果的です。それには論理的に説明するスキルも身につけなければいけません。
■②「現状維持タイプ」の昭和上司
社会状況が大きく変わっているのに、変化を拒む人というのは必ず存在します。上司が「俺はあくまで出社して仕事する」と言っているなら、そんな相手を変えようとするのは無理なのであきらめましょう。その上で「でも、私はリモートワークしますね」という主張を通すには、まず定期的に1対1で話す機会をつくること。例えば週に1回、30分でも実際に顔を合わせてコミットする。上司ならば、部下から「お時間いただけませんか」と言われて悪い気はしないので、部下側からミーティングを提案するのがいいでしょう。そこで仕事の成果を報告し、「次の1週間でこういうことをさせていただきます」と説明して合意し、リモートワーク中は「予定どおり進めています」とアピールする。
また、このタイプの上司には親分肌の人が多いので、「○○さんのもとでリモートワークをやらせてもらって、生産性が上がりました。助かります」という感謝の意を伝えることも忘れずに。やはりそういったコミュニケーションがお互いのためになりますし、信頼を獲得していくポイントにもなります。
■昭和上司のあるあるエピソード
これまで述べてきたように、上司のタイプは大きく2つに分類できますが、実際にはさまざまなケースがあると思います。例えば、「1カ月ぶりに出社したら、上司に『リモートワークだったときの分を“取り返す”ように』と言われた」人がいます。
この上司はおそらく、不安先行型の上司なのでしょう。リモートワークでの業績をまったく認めていないわけです。普通の管理職の発想であれば、リモートワークでも出社でも、成果が上がれば認めてくれるはずなのですが、この上司にはそれが見えていない。部下としては成果を強調し「目指すところに近づいていますよ」ということを丁寧に説明しなければならないですね。
「会社がリモートワークを推奨しているのに、直属の上司が実施してくれない」という場合もあります。現状維持タイプの上司に多いケースですが、こちらの都合を押し付けても、彼らは聞く耳を持ってくれないでしょう。「リモートワークは生産性が上がり、会社にとっても良いことなんです」と説いていくしかありません。通勤に時間と体力を奪われなくなり、ストレスからも解放されて生産性が上がること、感染症だけでなく、多くの自然災害にも対応できること、柔軟な働き方を選べることで採用が有利になることなどが挙げられるでしょう。
そういう場合に、これまで述べてきたような論理的思考と定量分析を用いたコミュニケーションが必要になります。
■「その仕事、本当に会社でなければできませんか?」
また、私が実際に体験したことですが、逆に自分が管理職で、部下がリモートワークへの移行をためらうケースもありました。そういう場合は「なぜ出社して仕事しているのか」という事情を丁寧に聞き取ります。例えば「家にはプリンターがない」という理由なら「会社がなんとかします」と伝えます。そうして「その仕事、本当に会社じゃないとできませんか」と何度も問いかけ、一つひとつの問題を解決していく。このやり方は出社したがる上司にもある程度、有効かもしれません。
テレワークに反対するような人が上司の場合、働き方だけではなく事業自体にもネガティブな影響が出てくることも考えられます。今後、最も難易度が高くなるのは、新規事業を立ち上げるときに、直属の上司が昭和上司というケース。変化の大きいこれからの時代に即した新しい企画を提案しても理解してくれないというパターンです。プロジェクトを潰されそうだと思ったら、いちいち承認を取りに行かないというのもテクニック。最初に「新事業をやります」と大々的にぶちあげるのではなく、まず企画書をつくってその事業領域に明るい誰かに見せる、企画に対するユーザーのアンケートを取るなど、反応をもらって小さな実績を粛々とつくっていき、分かりやすく「ユーザーが支持している」と言えるようになったタイミングで上司に提案するのが得策です。
現在は過渡期ですが、今後、リモートワークがもっと普及し、昭和上司と呼ばれるような人たちも新しい働き方を認めざるをえなくなっていくでしょう。それまでは上司がどうしてそんなことを言うのかを理解して、感情的にではなく、論理的に説得することが大切になってきます。
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「グロービス学び放題」事業リーダー
埼玉大学教育学部卒業、グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了。サイバーエージェントでインターネットマーケティングのコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタル・PR会社のビルコムを共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービスに参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。現在は、社内のEdtech推進部門にて『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める。グロービス経営大学院や企業研修において思考系、ベンチャー系等のプログラムの講師や、大手企業での新規事業立案を目的にしたコンサルティングセッションを講師としてファシリテーションを行う。
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(「グロービス学び放題」事業リーダー 鳥潟 幸志 写真=iStock.com)
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