日本初のロシア人弁護士「私に一発合格をもたらした5つの生活習慣」

プレジデントオンライン / 2020年6月23日 9時15分

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時間はあらゆる人に平等だ。複数のアルバイトをしながら司法試験に一発合格したロシア国籍の弁護士のベロスルドヴァ・オリガさんは、一体どうやって勉強時間を捻出したのか。オリガさんは「過密スケジュールの中で勉強するには5つのコツがある」という――。

■ロシア式・スパルタ教育方針で育てられた

6月4日配信「日本初のロシア人弁護士「バイト4つかけもちでも一発合格」の勉強法」でも説明しましたが、私はロシアのシベリア生まれですが、日本の義務教育を経て、仙台第二高等学校に入学。卒業後は、慶應義塾大学法学部法律学科に進学し、東京大学法科大学院に在学中に予備試験(※)および司法試験に合格し、今に至ります。ちなみに、新司法試験で合格した初めてのロシア国籍者とのことです。

※予備試験:法科大学院を卒業せずに司法試験の受験資格を得るための試験。司法制度改革の一貫で法科大学院を設置したことに伴い2011年から開始された。毎年1万人程度受験するが、最終合格率は4%台と司法試験よりも厳しい。

両親がロシア出身であることから、私自身、両親のロシア式・スパルタ教育方針により、大学受験のために塾や予備校に通わせてもらえないなかで、学業で優秀な成績を修めることが求められていました。そこで、まずは、私の勉強の根幹にも通ずるロシア式勉強法の1つをご紹介したいと思います。

■ロシアの勉強は詩の暗記で始まる

日本で小学校から学ぶ科目は、国語、算数、理科、社会などの科目が一般的ですが、ロシアの学校ではこれらの基本科目に加え、「文学」という科目が小学校1年生から課されます。そして、この「文学」という科目には、詩の暗記が必須となっています。

学校によって詩の暗記が課せられるペースは異なりますが、私の両親が通っていた学校では、2週間に1回ペースで暗記課題が課せられていました。暗記の分量は、4行程度といった短いものから、長いものになると20行以上のものもあります。基本的には、学年が上がるごとに暗記の分量も増えていくという傾向にあります。

詩の暗記が行われる目的は頭の体操といった側面もあるのですが、幼いころからきれいな言葉に触れることで、きれいな言い回しに慣れてほしいということも目的の1つとして期待されています。

このような教育を受けた両親のもとで私が育てられたこともあり、幼いころからよく暗記の訓練ではないですが、英語の短文等を暗記させられていたことを今でも覚えています。

家ではロシア語、学校や友達との会話は日本語でしたが、英語に対する抵抗がなく、今も英語を用いながら弁護士業務がこなせているのも、この幼いころの暗記のおかげなので、このような教育方針で私を育ててくれた両親には本当に感謝しています。

具体的にどのように暗記をしていたかについては今回、この記事でお伝えしますので、ぜひ、最後まで読んでいただけたらうれしいです。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は、自学自習でしっかりと結果を出すため勉強法やそのポイントについて、書いていきたいと思います。

■1.「単純作業の勉強」と「頭を使う勉強」とを区別する

過密スケジュールの中で、時間を有効活用する際にポイントとなるのが、どのような勉強をどの時間に行うかという点です。

例えば、難しい基本書等を電車の中で読んでも、なかなか頭に入ってこないのではないでしょうか。そこで私は、電車に乗っている時間、お風呂につかっている時間などのすき間時間に行う学習を工夫していました。高校時代は自転車通学をしていたこともあり、赤信号待ちしている時間もすき間時間として世界史等の一問一答形式の問題の確認をしたりもしていました(危ないので人にオススメできるものではないですが)。

すき間時間の一番の特徴。それは、時間が限られているという点です。そのため、すき間時間は、ゆっくり考えて何かをするのには向いていない時間になります。そこで、私はこのすき間時間の特徴を生かして、この時間は新しい知識を増やす作業をするのではなく、机に向かわなくてもできるような、今までインプットした知識の再確認や○×問題の演習、単語の定義の確認といった「復習中心の学習」の勉強を進めていました。

そのうえ、電車の中だと、次の駅まで何分といった時間制限も自然と設けられるので、簡単な知識確認を程よい緊張感の中で勉強することができる点はおすすめです。

■満員電車では携帯の写真で演習本をチェック

受験時代の私のカバンの中にはすき間時間を有効活用するために、○×問題のカード(一束100問程度の問題が入っているもの)やちょっとした演習本は必ず入っていました。また、演習本が開けない満員電車などでは、読みたいページを事前に携帯電話で撮影し、写真としてストックすることで、そのページを電車の中で携帯電話を使いながらチェックしていたこともあります。

カード
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そのうえで、すき間時間以外の時間、1時間半以上のまとまった時間が作れるときは必ず机に向かってしかできないような学習をするのがポイントです。

机に向かってしかできないような学習は、すき間時間でできるような学習と比べると、必然的に頭を使う内容の学習が多く、どうしても気合を入れないとなかなかやる気が起きません。そのため、ついつい机に向かう際も、気を付けないとすき間時間でできるような学習の反復を行ってしまう危険性があります。もっとも、まとまった時間にもすき間時間でできるような学習をしてしまうと、新しい知識のインプットがおろそかとなってしまうので、その点に配慮しながら学習計画を練るのが重要となってきます。

実際、私はまとまった時間には、すき間時間でわからなかった知識を基本書等でじっくりチェックしたり、新しい論述問題をバンバン解いたり、よく間違える点のまとめノートを作ることなどに時間を使っていました。

ノート
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■2.暗記物は寝る前に集中的に行う

寝る前にみなさんは何をしているでしょうか。なかには携帯のチェック等に時間を使っている方も多くいるのではないでしょうか。

寝る前の時間を無駄にするな。これは、私が幼いころに母親によく言われていた言葉です。これは寝る前に見た知識というものが一番人の脳裏に焼き付くからだと母親は言っていました。

このような母親の教えもあり、私自身、保育所などに通っていたころは、英語の文を夜に1ページ読んだあとに次の朝にもう一度読んだ内容が頭に入っているかをチェックするという学習手法で暗記を効率化していました。

今でも法律の学習等、他に何か暗記をしておくべきものがあるときには、夜にその暗記したい部分を読み、眠りにつくまでその読んだ部分を頭の中で復唱します。イメージとしては、眠れないときに羊を数える感覚です。何度も復唱しているうちに、気が付いたら深い眠りに入っています。そして、次の日の朝、まだ眠くて起きられないときに、頭の中で夜に復唱した内容を覚えているかを復唱してみたりしています。そして、覚えていない部分はそのまま朝の数分を用いて再確認をします。

暗記
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ポイントとしては、覚えていない部分があった場合に、そのままにして一日をスタートするのではなく、必ず数分でいいのでその内容を再確認するということです。覚えた内容を忘れるのは人である以上、しょうがありませんが、忘れた内容をそのままにするということは勉強においてはあってはならないことです。

寝る前暗記術に限った話ではありませんが、基本的に何か勉強をしている際に、「あれ何だっけ?」って思ったら、必ず基本書等でその疑問点をつぶす。めんどくさがらず、コツコツとこのような知識確認を継続することこそ、知識定着への近道です。

■3.寝る時間は削らない

どれだけ忙しくても、1日は24時間しかありません。そのため、やるべきことが増えてくると、何かを削らなければ1日の時間に収まらなくなってしまいます。では、何を削ればよいのでしょうか。

削るものを考える際、私の中では1つの鉄則があります。それは、どれだけ忙しくても寝る時間を削らないということです。寝る時間を削っては長期戦の学習には体力がもちません。

人にはそれぞれ何時間寝れば疲れが取れ、すっきりするかという時間が体内時計のような形で備わっています。そこで、大事なのは何時間寝れば自分はすっきりするのかということを自分自身で把握することです。

把握の仕方はそれほど難しいものではなく、自分の睡眠時間と寝起きのスッキリ度合いの感覚を何回かすり合わせることによってある程度把握できるものです。例えば、私自身、6時間寝ると次の日の朝、寝不足感覚でどうしても少し頭が痛いなと感じます。これは、私にとって最適な睡眠時間というものが6時間ではないということを表します。

それに対し、8時間寝ると次の日の朝、すっきりとした感覚というよりは、頭の中に靄(もや)がかったようなぼーっとする感覚になります。これは、私にとっては8時間の睡眠時間は最適な睡眠時間を超過しているということを意味します。このような経験を何回かこなすことで、私は自分の最適な睡眠時間が7時間程度だと把握しています。

自分にとっての最適な睡眠時間が把握できれば、後は朝起きる時間から逆算して、寝る時間の目安を決めるだけです。司法試験受験生だったころ、私は朝8時には起きるという目標を掲げていたので、この時間から逆算して、基本的には午前1時には寝るようにしていました。

■10分復習した後、すぐに寝る

もちろん正直な話をしますと、勉強のキリが悪く、少しだけ午前1時を過ぎても勉強を行ったりした日もありました。もっとも、そのような日であっても、絶対に午前2時までには寝ること、また、このような延長戦は月に数回程度に控えることは絶対に守っていました。

夜遅くまで勉強しているとつい勉強した気にはなりますが、実際は勉強の質が落ちてしまっていることが多々あります。何回も同じところを読んで、頭に全然入ってこない状況で勉強をしても、非効率です。

このような非効率な勉強をするのは極力避け、むしろ寝る前にその日行った学習で重要だった部分を10分程度時間を割いて確認し、すぐ寝るという「寝る前学習術」を活用することがおすすめです。そのうえで、朝はできる限り最初に設定した目標の起床時間には起きる習慣を大切にしましょう。

■4.1日1回は外に出る

勉強に意気込む人の中には、「今日一日中、家で勉強しよう」といった計画を立てる方もいらっしゃるのではないでしょうか。たしかに、家を出ないということになると、服を着替えたり、身だしなみを整えたりといった外出の準備の時間を短縮することができ、その分、学習に費やすことができる時間は形式的には増えます。特に、女性だと化粧の時間を短縮することで、時間の使い方を効率化できるとも思えます。

でも、一日中家で勉強すると本当に学習効率は上がるものなのでしょうか。

もちろん一日中家にいても勉強に集中できる、という方は今から私がアドバイスする点は読み飛ばしていただいて構いません。もっとも、せっかく学校や仕事が休みで一日中勉強できる日を作ったのに、夜になってその日の1日の過ごし方を後悔した経験がある方がもしいれば、今からお伝えするアドバイスを参考にしていただければと思います。

私自身、一日中家で勉強に集中するということには向かない性格です。ずっと家に部屋着でいると、ついついだらだらしてしまい、気が付いたら夜になっていることがよくあるからです。

そこで、私はこのようなだらだらを解消するために、スケジュールを立てる時点で、1日1回は外出する予定を必ず入れるようにしていました。

■ビデオ会議でメリハリ効果

まず、外出する予定をスケジュールの中に組み込むことにより、必然的に部屋着から脱却できます。服を着替えると、戦闘モードに入るかのように、自然とやる気スイッチが私の中で入ります。

また、一日中家にいるとだらけてしまう大きな原因。それは自分の意思で全ての時間の利用方法を「その場で」自由に決められる点にあります。なので、意志が強い人はその場で勉強をするという決断ができるので何ら問題はありませんが、私のような意志の弱い人間からしたらこれは実は大きな敵です。そして、この敵に打ち勝つには、1日のスケジュールの中に自分の力では動かせないような予定を入れることが鍵となってきます。

例えば、14時から16時まで外出する予定をいれることで、14時前まで自分を追い込んだうえ、家に帰ってきてからも、今日は2時間外に出ていた分のもとをとろうとより一層勉強に集中できる環境を作る。これにより学習にメリハリがでてきます。

メリハリを重視しすぎたあまり、前回の記事でご紹介したように、私のスケジュール帳は毎日びっしり埋まっていました。

オリガさんスケジュール

今は、コロナウイルスの影響でリモートの業務が多くなっています。そこで、だらだら防止の観点から、身だしなみを整え、ビデオ会議を入れたりすることで外出時と同じメリハリ効果を得られるように工夫をしています。よくTwitterにあげている家での写真に対して、家でも身だしなみを整えているのですね、とコメントをいただくことがあるのですが、それも全てだらだらしないための私なりの工夫だと理解していただければと思います。

■5.休憩時間も適宜いれる

私も鋼の体を持っているわけではないので、一日中、勉強をして、アルバイトをして、大学院に通って……といった生活サイクルを繰り返しているとなんだかんだ少しずつ精神的に疲れてくるものです。そこで、試験の直前期の緊張感ある時期以外においては、私自身、テレビで好きな番組やドラマを見てリフレッシュしたりもしていました。

もっとも、少しのリフレッシュのつもりが、気が付いたら数時間たってしまっていたという経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。1回リフレッシュモードに入ると、どうしても勉強モードに再び切り替えることは難しかったりします。

そこで、私が実行していたルールには、「テレビは録画でみる」というものがあります。どうしてもテレビをリアルタイムでしまうとコマーシャルが入ってしまうことで自分にとっては空白の時間がうまれてしまいます。この空白を埋めるという意味で、録画したテレビ番組を見ればコマーシャルの時間をカットでき、効率的に番組視聴ができます。

また、時間短縮の観点からテレビ番組は基本的には1.5倍速でみます。これにより楽しい番組も我慢せず、リフレッシュしたいときにサッとみることができます。

■疲れたら好きなものを食べるのも大事

他のリフレッシュ方法もご紹介します。それは、勉強に疲れたときに自分が好きな物を食べて元気を出すという手法です。私自身、アイスクリームや果物が大好物なので、実家で勉強をしていた際はよく母親に果物やアイスクリームを適宜、勉強スペースにもってきてもらったものです。

特に、果物はビタミンC等を多く含んでいるので、疲れた体には最適です。疲れた体には糖分補給という観点から、チョコレートを食べていた時期もありますが、あまりにも食べすぎると体型が変わってしまうのが心配だったので、勉強の合間の糖分補給は主に果物で行うことを意識しています。

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ベロスルドヴァ・オリガ 弁護士
ロシア生まれ。2017年3月、慶應義塾大学法学部卒業。同年4月、東京大学法学政治学研究科入学。学業とアルバイトを両立させ、同年11月、ロシア出身者としては史上初の司法試験予備試験合格。2018年9月、新司法試験合格(ロシア出身者初)。司法修習を経て2019年12月、弁護士登録。ポールヘイスティングス法律事務所で法律業務にあたる。

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(弁護士 ベロスルドヴァ・オリガ)

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