一級建築士に聞く、1万円からできるお手軽「在宅用ワークスペース」の作り方3つ
プレジデントオンライン / 2020年6月23日 6時15分
■テレワーク向けリフォームの相談が急増
緊急事態宣言が解除され、徐々に通常の働き方に戻っている部分もありますが、簡単な打ち合わせなどはオフィスや喫茶店で行わなくても、テレカンを利用すればさほど問題なくできてしまいます。そのほうが交通費も時間も大幅に節約できるので、テレワークの魅力や利点に気付いた企業も多いのではないでしょうか。働き方はますます変わっていくことと思います。週5日出勤していた時代から、週に何日かはテレワークOKというのが、今後は普通になっていくでしょう。
在宅勤務をされる方が増え、私のところにもテレワーク用のリフォームに関するご相談やお問い合わせ、執筆依頼などが非常に増えています。休みの日に少し仕事をするのであればリビングやダイニングテーブルを利用すればいいけれど、それが日常的にとなると、落ち着いて仕事に取り組めるスペースが必要になるからです。
週に1日だけなら我慢できるけど、週に3、4日となると辛い。「どうすればいいんだろう?」と悩まれている方が、数多くいらっしゃるようです。
私自身の経験から申し上げても、リビングやダイニングのような生活空間が視界に入る場所は、なかなか仕事に集中できません。週に何日もテレワークをする場合は、やはり専用のワークスペースがあった方がいいと思います。
■ワークスペースづくりの準備3ステップ
とはいえ、ワークスペースなんてそんな簡単には設けられませんよね。場所が必要だからと言って、闇雲に作ろうとすると「あれ? こんなはずじゃなかった!」と失敗しかねません。大抵の人の場合、家の中で活用できるスペースは限られているので、計画的に準備することが大切です。
まずは家族ですり合わせすることから始めましょう。週に何回、どれくらいの時間、そのスぺースを利用するのか、夫と妻の両方が使うのか、どれくらいの広さが必要なのかなどをよく話し合ってみてください。
次に、自分がどのような環境下で働きたいのかについて改めて考えてみましょう。周囲を囲われていた方が集中しやすいのか、壁に向かっていた方が落ち着くのか、家族の様子が視界に入るほうがリラックスできるのか。
ワークスペースの利用イメージが持てたら、どこにその場所を設けるのかを考えます。一戸建てならマンションに比べると多少はスペースに余裕があると思うので、普段はあまり利用していない和室や階段の下などが有力候補。マンションは元々スペースが限られているので、リビングもしくは寝室の一角になるかと思います。また、場合によっては不要なものを断捨離して、収納部分を利用してワークスペースにするなんてことも可能。家の中に利用できそうな空間がないか、隈なく探してみてください。
場所が決まったら、いよいよワークスペース作り開始です。今回は、生活スタイルやニーズに合わせて3つのやり方をお伝えしたいと思います。
■1.突っ張りパーテーションを利用する 費用1万円~
空間を仕切ってそこにデスクを配置した方が、集中して仕事に取り組めます。しかし、リフォームをして壁を設けることはおすすめしません。壁を作ると空間が狭くなりますし、この先もずっと家で仕事をし続けるかどうかはわからないからです。
そこで、活用していただきたいのが、「突っ張りパーテーション」。これなら施工要らずで、簡単に部屋を間仕切りすることができます。天井に突っ張るだけで手軽に設置できるので、壁などに傷をつける心配もありません。リフォームに比べるとかなり費用を抑えられますし、不要になった時はすぐに取り外しすることが可能です。シンプルなものから収納棚付き、有孔ボードタイプ、カーテンタイプ、デスク付きまで、バリエーションも実に様々。あっという間にワークスペースを自分好みの空間に変えることができますよ。
■2.可動間仕切収納を利用する 費用15万円~
もっとフレキシブルに空間を使いたいという方にご提案したいのが、「可動間仕切収納」です。たとえばセフィットという商品は、天井や床にレールがあるわけではなく、ハンドル操作ひとつでどこにでも簡単に移動できる大容量の収納家具。普段はリビングなどに設置して収納棚として利用し、仕事をする時にだけ動かせば、いとも簡単にリビングの一角にワークスペースがつくれます。
オーダーメイド制なので、ご自宅の天井高と設置場所の間口にぴったり合った仕上がりになります。天井に突っ張って固定しますから、地震などの際も大きく移動したり、揺れたりする心配はありません。天井いっぱいまで空間を有効活用できる構造も魅力的。収納場所を増やしたいという悩みを抱えていらっしゃる方にもおすすめできるアイテムです。
■3.造作する 費用20万円~
本格的にスペースづくりをしたい方は、大工さんに造作をしてもらったほうがいいでしょう。工事を依頼すれば、空間に合わせてカウンターや本棚を設置したり、壁紙を貼ったりなどといったことができ、こだわりの詰まったお気に入りの空間をつくれます。
業者選びですが、「在宅ワークのスペースづくりが強い」などのカテゴリは今のところないですから、ポイントはライフスタイルをしっかり聞き取って提案してくれるかどうかに尽きます。オーダーする際に注意してほしいのは、ガチガチに空間をつくり込まないこと。前述のとおりライフスタイルはその時々によって変化するものなので、空間はできるかぎりいろいろな使い方ができる可能性を残しておいたほうが無難です。「フレキシブルに空間を切り取る工夫をお願いしたい」と、相談するとよいでしょう。その際にはコンセントの増設や照明の取り付けについても忘れずに計画に入れておきましょう。
ワークスペースとひと言で言っても、働き方やご家庭の環境、パフォーマンスを発揮しやすいシチュエーション、予算などによって選択肢は変わってきます。ぜひ一度、自分の働き方や希望条件を整理してみてから、ワークスペース作りを検討してみてください。
(尾間 紫 写真=iStock.com)
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