知らないとコロナ後に泣きをみる「新しいお金の生活様式」とは何か
プレジデントオンライン / 2020年6月24日 9時0分
前編(【ポイント1、2】)に続き、新型コロナウイルスのような感染症のほか、天災や会社の倒産など予期せぬ事態が起こった時、その被害を最小化し、生き残っていくための「お金の戦略」を練っていきたいと思います。
■知らない泣きをみる「新しいお金の生活様式」とは
【ポイント3】貯蓄や家計にも変化の兆し
・少しの貯蓄があなたのリスクを大きくヘッジする
・節約のスキルを身につける
・家計の支出が変化しムダな支出が浮き彫りになる
3‐1)数十万円の貯金が人生を左右することがある
今回のコロナ騒動で多くの人が痛感したのは「一定量の現金が手元にある」ということが経済的・心理的な余裕として極めて大きいということです。
簡単にいえば「定期預金100万円がある」人と、「常にキャッシングなどの返済に苦しんでいる」人は、こういう時に大きな差が出ます。平時には意識していなかったかもしれませんが、収入が減ったとき数カ月しのげる力があるかどうかは、重要なポイントなのです。
また、個人への特別定額給付金、会社の雇用維持策などへのいろんな給付金や融資が回ってくるには数カ月かかり、その数十日の差が人生を分けることもあります。
今回苦しんだ・苦しんでいるという人は、次に同じような状況になったとき、今回と同じ轍を踏まないように対策を立てることが大切です。そもそも、新型コロナウイルスにかかわらず、予期せぬ理由で失職するリスクは誰にでもあるのです。
「その気になれば、いつでも貯められる」などと今まで貯金を甘く考えていた人は、今回の苦しい状況を乗り越えたら、必ず貯蓄習慣をつけましょう。月に1万円以上、ボーナスから10万円以上を貯められる人は、年32万円のペースでお金を貯めることができます。このペースで3年がんばれば100万円に達しますし、ボーナスからもう少しがんばって積み立てれば2年でのゴールも不可能ではありません。
「次の経済危機」に直面したとき、何年かかけて貯めたお金があなたを救ってくれることになるはずです。
■「これだけは削れない!」という費目はけっこう削れる
3‐2)節約のスキルを身につける絶好のチャンスと考える
今、お金の問題で、人々が悩ましく思っているのは、日々の「節約」ではないでしょうか。どのように節約すれば支出を切り詰めることができるのか、と。今回、月の収入が、数万円程度減ったという人も、ほとんどがなくなってしまった人も、それぞれの事情に応じた節約が必要となっています。
そもそも収入と支出のバランスをとることはマネープランの大原則ですし、生きていく上で欠かせないノウハウです。しかし、平常時にはなかなか本気で向かい合うことができません。基本的には「削る」「何かをガマンする」ということだからです。
しかし、この苦しい時期にいやおうなく節約と向き合うことになったはずです。苦しい時期ですが、なんとか乗り切るべく工夫してみてください。
普通の暮らしをしているときは「これだけは削れない!」と思っていた支出も、実は苦しいときにカットしてみると、実はそれほど困らないというケースは少なくありません。
削る費目の見つけ方のコツは、まずは次に掲げるような「固定支出」に着目することです。
・水道光熱費
・通信費(携帯電話、スマートフォン、インターネットなど)
・生命保険や損害保険の保険料
・小遣い
・定期購入しているもの(サプリメント、使い捨てコンタクトレンズなど)
これらを見直して不要のコストを少しずつ削ってみてください。解約の手続きはすこし面倒ですが、確実に生活費が浮きます。また、変動費である食費も、毎日の買い物でムダな支出を徹底的に削ってみましょう。当たり前の出費を疑ってみることが、実は大きな支出減の入り口になるかもしれません。
3‐3)家計の支出が変化する ムダな出費を削り、それを活きた出費に変えられるか
コロナ禍で、「家計」の構成が大きく変化しています。
「巣ごもり消費」と呼ばれるように、インドア支出が増加する傾向があります。ECサイトの利用額は増加しましたし、定額動画見放題サービスであるNetflixの会員も急増しています。自宅で癒やしを感じるゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」(ニンテンドースイッチ)も大人気ですがダウンロード販売が好調と伝えられています。。また、自炊が増えたことによって飲食品の購入費や光熱費も増えました。
一方、減った支出もあります。あまり利用していなかったジムの月会費がゼロになったり、上司とのムダな付き合いの出費もなくなったり、終電を乗り過ごしてタクシーを利用する機会がなくなったりと、家計のいくつかの項目が大幅に削減されています。
こうした時期にはぜひ「本当に意義のある支出」や「実は意味のなかった支出」を見極めるきっかけとしたいものです。
いつもなんとなく支出していた予算を、日常生活を続けながら削ることは簡単ではありません。しかし、こうした緊急事態においては大ナタを振るってカットすることができます。一度削ってみると、まったくムダなコストであったことに気づかされることも多いです。
ただ、あなたの精神を豊かにし心落ち着かせてくれる趣味や生きがいのための支出などはストレスの多い時期だからこそ残してかまいません。場合によっては、拡充させてもいいのです。上手にお金を使って、ストレスを抱え過ぎないようにしてください。
■第2波、第3波が来る前に備えておくべきこと
【ポイント4】ライフスタイルの見直し
お金ともつながりがありますが、コロナ騒動により暮らし方・ライフスタイルに関しても「新たな課題・リスク」が改めて浮き彫りになりました。下記にざっと挙げてみましょう。
●シングルライフ、一人暮らしのリスク
健康に不安がある時や不測の事態の時に「ひとりで暮らす」ことのリスクにどう対処するか。自分の親も含めた「独居老人」の問題をどのようにクリアするのか。
●賃貸のリスク、住宅ローンのリスク
負担が過重な住宅ローンや賃貸物件の家賃を抱えている場合、年収減少時に大きなリスクがある。今後の家の買い方はどうあるべきか。
●首都圏暮らしのリスク
これまで会社にアクセスしやすい首都圏エリアに住む人が多かったが、テレワークの定着により必ずしも首都圏で暮らさなくてもよくなる人が増えると予想できる。暮らし方・ライフスタイルの変化にうまく対応することができるか。
●知人とのつながり
リアルで会うだけが友人関係ではない。しょっちゅう会って飲むかどうかより、本当に困ったとき支え合える関係を持てるかが有事の際には問われる。
など、いろんなリスクをどう考え直すかが問われています。そしてそれぞれお金の問題、あなたの生き方と生きがいの問題ともつながっていきます。じっくり考え、新しい時代のお金のルールに適合していきたいものです。
■苦しいとき、逆境のときこそ「その先」を考えて動くことができる
今、店が閉まってアルバイトの仕事がなくなった、会社の業績が下がっていつまで正社員で働き続けられるか分からない、など多くの日本人が困難に直面しています。
テレワークができる会社でも、残業禁止になったため月収が下がった人は少なくありません。残業代でプラスされる数万円があって、生活がなんとかバランスがとれていた人にとってはこれもまた死活問題です。
特別定額給付金がようやく振り込まれた世帯もありますが、一度きりの給付金で解決する問題ではありません。私たちがこれからずっと生き抜いていくためにはもっともっと、お金のスキルを身につけ、リテラシーを高め上手に稼げるようになる必要があります。
これからの時代、「新しい生活様式に」にあわせた「新しいお金の生活様式」も始まろうとしています。きっと明るい未来はやってきます。新型コロナウイルスを社会が克服したとき、新しいお金のルールで暮らしていけるようになりたいものです。
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ファイナンシャルプランナー
フィナンシャル・ウィズダム代表。連載12本を数える人気コラムニスト。『マネーハック大全』など著書多数。
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(ファイナンシャルプランナー 山崎 俊輔)
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