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ほぼ内勤なのに「営業成績トップ」になった人が続ける3つの習慣

プレジデントオンライン / 2020年6月26日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NicoElNino

■「営業とは足で稼ぐ」という考え方の崩壊

新型コロナウイルスの感染拡大によって、働き方は大きく変わりました。野村総合研究所のアンケートによると、コロナ対策でテレワークを導入した企業の勤務者のうち62.2%が「今後は緊急時だけでなく平常時も在宅勤務を取り入れたい」と回答しています。

こうなると特に変革に取り組まなければいけないのが営業部門でしょう。これまで営業といえば「営業とは足で稼ぐもの」であり、顧客先をとにかく数多く訪問すれば信頼を獲得できると考えていた企業は多いと思います。いわゆるフィールドセールス(対面型営業)です。

しかし商談相手がテレワークをしていれば、訪問するわけにはいきません。このような状況で、インサイドセールス(非対面型)で成果を出すためにはどうすればいいのでしょうか。

■“とりあえず面談”をやめ3つの習慣で営業トップへ

私は大学院卒業後、2001年にゴールドマン・サックス証券に入社し、東京で債券や証券化商品などを扱う営業部門で働いていました。2006年から約3年間は、ゴールドマンのニューヨーク本社に赴任し営業部門で働くことになり、これが仕事のやり方を変える契機になりました。

まずニューヨーク本社で驚いたのは、営業担当者が顧客企業を訪問することが日本と比べて格段に少ないことでした。電話とメールで巧みに顧客との信頼関係を築き、巨額の取引を成立させていくのです。1000億円超の取引ですら対面せずに、済ませてしまうことが普通でした。

東京での営業活動といえば顧客企業に足しげく通い、膝詰めで信頼関係を勝ち取ってきたものでした。一方で国土の広い米国では、巨額な取引でさえ非対面型の営業手法が主流です。会わなくても工夫次第で信頼関係は構築できるという前提がある。しかも段違いの成果を出すのです。これが私自身が体験した非対面営業のすごさでした。

私は2009年に帰国後も、非対面営業を取り入れて実践しました。その結果、2012年に東京の証券部門で営業成績トップになることができました。私自身、特別な才能やスキルを持っているとは思っていません。むしろ郊外のサラリーマン家庭で育ち日本で教育を受けた「普通の人」です。ただ米国勤務を経て仕事のやり方を変えたのです。

心がけたのは「データを集める」「計画をスケジューラーに記入する」「その計画を上司や同僚に公開する」という3つの習慣を実践することでした。

■メールや電話は「御用伺い」ツールではない

まず1つ目の「データを集める」ことの重要性をお伝えしましょう。非対面営業で成功するには事前の準備が欠かせません。顧客の表情やしぐさといった、いわゆる非言語情報が乏しく、話す内容が重要になるからです。

これまでの対面型営業であれば、電話やメールといったツールは訪問するための日程調整手段と捉えている人が多いのではないでしょうか。ただ非対面営業になると、電話やメールこそが本番です。本番での成功は事前準備で決まるといっても過言ではありません。

システム開発のマツリカの調査によると営業職でテレワークに取り組む人の最も大きな課題は「オンラインでの商談や社内会議での意思疎通」が難しいということでした。

そこで私が提案したいのが、顧客ごとに先方が興味を示す話題とこれまでの経緯をまとめることです。担当者の記憶や手書きのノートに頼っていては満足に答えられません。

顧客の目的や関心、過去に得たフィードバック、話しやすい時間帯、好まれるアプローチの方法(電話、メール、その他)などを、顧客別に検索可能なデータの形で整理しておくことが必要です。そうすればとっさに相手から電話がかかってきても慌てることなく対応することができます。

米セールスフォース・ドットコムに代表されるような顧客管理システムも役に立ちます。また、勤務先にITツールがそろっていなくても、マイクロソフトのアウトルックやそれと同期したスマートフォンの連絡帳にあるメモ欄をフル活用すればデータを整理することができます。

大切なのは対面型営業で移動に費やしていた時間を「顧客を知る」ために充てること。日経新聞電子版に顧客企業名や担当業界のキーワードを登録しておいたり、顧客の趣味に関する便利なWEBページをブックマークしたりして、情報感度を高めることです。

■顧客に準備する時間もスケジューラーに記入

2つ目の習慣は「計画をスケジューラーに記入する」ことです。

一般的なスケジューラーの使い方は訪問や会議のほか、出張や休暇といったオフィスを不在にする理由を記入することだと思います。ただ私が提案する計画はもっと細かいものです。15分あるいは30分単位で細かく業務の計画を作ります。最初は「顧客のA課長に商品Bについてフィードバックをもらう」といった簡単な入力で構いません。

ポイントはここからです。顧客のA課長にフィードバックをもらうためには、どう話を切り出し、何を伝え、質問を受けた場合にどう答えるのか、入念な準備が必要です。その準備をする時間も、スケジューラーに記入して確保します。

顧客にコンタクトできない2大理由は「自信がない」「時間がない」です。自信を得るために準備し、実行するための時間を確保すれば、思ったとおりのペースで顧客にコンタクトできます。

なかでも重要な顧客との電話については、「アイスブレーク・トピックス」「トーキング・ポイント」「FAQ(よくある質問)」の3つの項目を用意してスケジューラーに記入します。

計画を通じて得る自信は、受験勉強やスポーツの準備を通じて得る自信によく似ています。余裕をもって本番を迎えるために、逆算して行動計画を立てていくのです。こうして1日単位の仕事の計画を詳細に作成します。

この習慣を身につけるポイントは「やらされ感」を排除し効果を実感することです。まず1日1件、しっかり準備した予定をスケジューラーに記入してみます。自分の仕事の質がぐっと向上したことを実感できるでしょう。これを徐々に2つ3つと増やしてゆくと、自分自身が計画に頼り始めます。

■チームの動きを可視化し緊張感を確保する

3つ目がスケジューラーに記入した計画を「上司や同僚に公開する」ことです。

テレワークの課題として挙げられるのは、結果が出る前のプロセスが見えにくく評価しづらいことにあります。多くの担当者は営業成績に加えて、その過程も評価されることを望んでいます。スケジューラーに取り組んできた内容を細かく入力しておくことで行動の履歴となり、フェアな評価の判断材料となります。

スケジューラーが従来のように「不在理由の表明」にとどまっていると、人事評価が心配になり、上司への不要な報告に時間を割かれがちになります。顧客のために使う時間が減ってしまい、結果的に営業成績が振るわないなんてことになりかねません。

そして各担当者の行動履歴を同僚に公開することによって適度な緊張感とチーム・ワークが生まれます。オフィスに出勤していると、同僚が顧客と電話する声が漏れてくるなどして、成績向上のために発奮しようと思います。

それと同じでたとえテレワークであっても、行動を公開することで互いの動きが見えるようになり緊張感を確保できるのです。また、相談を持ちかけるタイミングがわかりやすく、雑談による情報交換などのきっかけをつかみやすくなります。

■思い通りの行動を取れる働き方を実現するために

ちなみにゴールドマン在籍時の私は3つの習慣を徹底するために午前中はほとんど会社にこもっていました。

朝9時までにその日の仕事の計画を立て、午前中は電話営業に集中します。電話帳機能のメモ欄に、ヒアリングで得た顧客の特徴や過去のフィードバックをアップデートしながら進めます。15分あるいは30分刻みで、誰に電話し何を伝えるかを計画し、できる限りその通りに実行していました。

予期せぬ電話や会議の招集があっても「こういう理由で大事な電話をしなければなりませんので……」と丁寧にお断りし、計画通りに動いていました。

計画的なテレワークは邪魔されることが少なく、思い通りの行動を取りやすい働き方です。より集中でき、その結果、仕事効率も上がると考えています。

また、新たな商談の発見を常に心がけることで、ご無沙汰になりがちな顧客もフォローできました。重要な顧客とは面談の頻度を落とさずに関係を深め、稼働していない顧客を減らして行きました。

最初は半信半疑で始めた計画作りであっても、その効果と必要性を一番強く感じるのは計画を作る自分自身です。こうした取り組みを通じ、テレワークでも、仕事の進め方を工夫すれば営業成績は伸ばせます。

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原 裕平(はら・ゆうへい)
マーケット・フラッグス 代表取締役
一橋大学大学院経済学研究科修了。2001年ゴールドマン・サックス証券入社。03年債券営業部配属、国内機関投資家向けの債券売買を担当。06年ニューヨーク本社へ異動。09年東京オフィスへ。12年に証券部門で営業成績首位となる。13年マネージング・ディレクター。19年に目標を達成する習慣を活用してセールス・マネージャーをサポートするコンサルティング会社、マーケット・フラッグス社を設立。

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(マーケット・フラッグス 代表取締役 原 裕平)

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