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「コロナにはベジファースト」免疫力を強くする野菜の効率的な食べ方

プレジデントオンライン / 2020年6月27日 9時15分

撮影=よねくらりょう 料理=伊藤晶子

食生活が乱れれば、新型コロナウイルスにもかかりやすくなる。食事から「免疫力」を高めるにはどうすればいいのか。東京慈恵会医科大学附属病院の管理栄養士・赤石定典さんは「免疫力アップのために重要なのは野菜の摂取。ビタミンやミネラルは貯められないので、毎日食べることが大事です」という——。

※本稿は、『プレジデントFamily2020春号・夏号』の一部を再編集したものです。

■コロナ禍で野菜を食べなければならない理由

私が勤務するのは、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部。管理栄養士として入院患者さんそれぞれの病状に合わせた献立の作成や、栄養管理の指導・アドバイスをしています。

新型コロナウイルスの影響が続く中、みなさん、不安を抱えて生活されているかと思います。このようなときにこそ、心がけてほしいのは栄養バランスの取れた食生活です。栄養をしっかり取れば心身ともに元気でいられ、免疫力アップにつながるからです。なかでも意識して取りたいのは野菜です。子供も含めて、現代人の食生活は総じて野菜不足だからです。

では、なぜ野菜を食べなければいけないのか。

それは野菜に含まれるビタミンとミネラルには、三大栄養素(タンパク質、糖質、脂質)の代謝や吸収を助ける働きがあるからです。つまり、いくら三大栄養素を取っても、ビタミンやミネラルが足りないと体は栄養をうまく取り入れられないのです。

しかも、ビタミンやミネラルは体の中でつくれません。だからビタミンやミネラルは、毎日取らないとたちまち不足してしまうのです。

厚生労働省が推奨している野菜の摂取量は1日350g以上。このうち120g以上を色の濃い緑黄色野菜で取るのが望ましいとしています。わかりやすくいうと、緑黄色野菜はグーにした拳1個分。淡色野菜はパーにしたときの手のひらいっぱいの量が目安になります。

■野菜は「1食5種類以上」を目安にして食べよう

ここで言う緑黄色野菜とはニンジンやホウレンソウなどで、淡色野菜は大根、キャベツなど……というのは見た目でわかりますが、ナスやキュウリはさてどっちでしょう?

判別の仕方は切り口の色が濃いか薄いか。ナスとキュウリは切り口が白っぽいので淡色野菜です。また、長ネギのように下の白い部分は淡色野菜、上の緑の部分は緑黄色野菜と混在しているものもあります。

もちろん、両者は栄養も異なります。緑黄色野菜に多く含まれるのはβ-カロテン(ビタミンA)をはじめとするビタミン類と、カリウムや鉄などのミネラル分。一方、淡色野菜はほとんどが水分で「栄養はあまりなさそう」と思われがちですが、実は食物繊維が豊富なんです。食物繊維は腸の働きをよくし便通を助け、生活習慣病の予防にも効果があります。

さらにキャベツなら消化を助ける「キャベジン」という成分を含み、大根もリパーゼなどの消化酵素を備えています。このように栄養はそれぞれ異なるので、いろいろな野菜を食事に取り入れることが大切は1食5種類以上を目安にしてです。

目標みてください。野菜の役割や、なぜいろんな種類を食べる必要があるかをお子さんに少しずつ伝えていけるといいですね。

■野菜の切り方で栄養価が変わる

さらに、野菜は切り方や調理法などで栄養価が変わることを、親御さんは覚えておきましょう。野菜のビタミンB群やCは水に溶け出す水溶性なので、細かく切るより、大きく切るほうが栄養は残りやすくなります。加熱するときはゆでるより、蒸すか電子レンジを。ゆでる場合はそのまま汁物にすると、栄養を無駄にすることがありません。なかには細かく切ったほうがいい野菜もあります(図表参照)。

野菜の切り方で栄養価が変わる

またキャベツは千切りにして生で食べるとビタミンCを効率よく取れますが、切ったら早めに食べること。切って1日も置くと、栄養は半減してしまうのです。

もっともどんなに気を配っても、食べ残してしまう子もいるでしょう。野菜を食べさせるには、チンジャオロースーのような肉と野菜を一緒に食べる料理にするのが一つの方法です。

ニンジンは加熱後の甘味が苦手な子が多いので、生で千切りにしたり、すりおろしてドレッシングにしたり。ピーマンはまるごとオーブンで焼くと苦味が抑えられます。豚汁やミネストローネなどに加えると食べられる野菜もあります。どうしても嫌いな野菜があるなら、その野菜はあきらめて他の野菜で補うというのでもいいですよ。

ちなみに、分類上は野菜になりませんが、キノコ類も、コロナ禍の今こそ食べたい食材です。含有するビタミンDは免疫力に働きかける栄養素。日光浴すれば体内でもビタミンDはつくられますが、外遊びをさせにくい状況下ではキノコの出番というわけです。キノコを炒めてとろみをつけ、少量のスープを入れてあんにしましょう。肉、魚、オムレツなどにかけると絶品ですよ。

■なぜ「ベジファースト」はカラダにいいのか

ところで、みなさんは食事のとき、最初に何を食べるかを決めていますか? 「みそ汁から」「まずはご飯を一口」など人によってさまざまでしょう。

食事では内容もさることながら、どの順番で食べるかが非常に大切です。同じ献立でも順番によって、体に与える影響が変わるからなんですね!

私自身、実践している食べ方は「ベジファースト」です。まずサラダなどの野菜を食べてから、その後に汁物、おかず、ご飯を食べるというスタイルです。

生姜焼き
撮影=よねくらりょう 料理=伊藤晶子

野菜を最初に食べるメリットは大きく二つあります。

一つは食べ過ぎを防ぐ効果。野菜はカサがあるので、最初に食べるとおなかが満たされてトータルの食事量を抑えることができます。また、かみ応えのある野菜なら咀嚼回数も増えます。かむことで脳の中枢が働いて、それもまた食べ過ぎ防止に役立ちます。

もう一つの役割は、血糖値のコントロール。血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖の濃度です。食事をするとご飯やパンなどの炭水化物が体内でブドウ糖に変わり、血液中に吸収されて血糖値が上がります。このとき、食物繊維を含む野菜を先に食べておくと、ブドウ糖の吸収が遅くなり、血糖値の上昇を緩やかにすることができるのです。

では、なぜ血糖値の上昇を緩やかにしたほうがいいのでしょう。

関係するのは、すい臓から分泌されるホルモン「インスリン」です。インスリンはブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギー源にかえてくれて、血糖値を正常値に戻してくれます。しかし血糖値が急上昇しインスリンが過剰に分泌されると、ブドウ糖を脂肪にかえてしまうのです。血糖値の急上昇は、体に脂肪がつきやすくなり、太りやすくなってしまうのです。

■子供は“三角食べ”がいい

牛丼やカツ丼などの丼物は血糖値を急上昇させる食事の代表です。先にサラダを食べるだけで上昇曲線はなだらかに変化。牛丼1杯を平らげても、先にサラダを食べるかどうかで、脂肪のつき方に差が出るというわけです。

しかも、野菜を先に食べると満足感も高まり、小盛りでも十分に感じられるほどです。丼だけをかき込むより食事時間も長くなるので、それによっても血糖値の急上昇を抑制することができるのです。

そんないいことずくめのベジファーストなら、子供の食事に取り入れたくなりますね。

しかし、成長期の子供にとって大切なのは、タンパク質、糖質、脂質の三大栄養素を中心に、栄養をバランスよくとること。野菜を先に食べてしまいおなかが膨れて、おかずやご飯をいつも残してしまうということは避けたい。

だから、おかず、ご飯、汁物などを一口ずつ食べていく、いわゆる“三角食べ”が理想的な食べ方なのです。

食べ方順番

さらにいえば、子供はたとえ血糖値が急上昇しても大人に比べて活動量が多く、また成長にもたくさんのエネルギーを使うので、脂肪が蓄積されにくい。内臓も元気なので、すい臓の働きでインスリンがたくさん出ても、すぐに分泌を抑制してくれるわけです。

しかし、丼物や麺など炭水化物に偏りがちな現代人の食生活を考えると、野菜の効果や役割を子供のうちから知っておくのは大切なこと。

ベジファーストを実践する親の姿を見ていれば、大人になったとき、野菜を食べようと自然に意識するようになるかもしれません。ぜひ「今は三角食べ、大人になったらベジファースト」とお子さんに伝えてください。

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赤石 定典(あかいし・さだのり)
管理栄養士
1970年生まれ。華学園栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部に勤務。入院患者の献立作成や栄養管理の指導、アドバイスなどを行っている。『名医のTHE太鼓判!』『世界一受けたい授業』などテレビ出演で注目される。主な著書・監修として『その調理、9割の栄養捨ててます!』『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』他多数。

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(管理栄養士 赤石 定典 構成=上島寿子 イラストレーション=ヤギワタル)

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