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仕事のできる人ほど危ない! 高級ホテルやレストランで見られている品格ポイント3つ

プレジデントオンライン / 2020年7月19日 6時15分

作家 中谷彰宏さん

礼儀正しい人は見ていて気持ちがいいし、誠意も伝わりやすい。でも、そこにあるのは見た目の印象の良さだけなのだろうか。礼節を身につけることの意義を中谷彰宏さんに聞いた。

■チャンスをつかむか逃すか、その差は礼儀作法にある

仕事でもプライベートでも、やたらチャンスに恵まれる人がいると感じたことはないだろうか。能力的に大きな差異はないのに、急な会合でも上司から声のかかる人とそうでない人がいる。作家の中谷彰宏さんは、その違いは礼儀作法にあると話す。

「第一印象、見た目が良くても、礼儀作法を知らない人が同行者に1人でもいれば、連れていった上司も会社も『その程度』だと評価されます。たとえ気の利いた発言ができたとしても、それを生かせないのです」

欧米ではパーティーでヘッドハンティングされることも多いというが、実績をアピールできる面接とは違い、会話や立ち居振る舞いで人となりを判断されることになる。ここでも見られているのはやはり作法だ。

「礼儀作法ができている人は“感じがいい”のです。そういう人は相手に不安や不快感などマイナスな印象を与えない。いつどこに大事な出会いとなる人がいるかわからないのだから、感じがいいと思われるか悪いと思われるかで、チャンスをつかめるかどうか、未来が分かれます」

わかりやすいのが飛行機やホテルでのアップグレードや、レセプショニストがいる高級レストラン。その場に適切な人物かどうか、選ぶ側も慎重を期しているのだそう。

「面接なら落ちたことがわかりますが、礼儀作法に関しては、見えないオーディションに落ちていることに気づかない。これが怖い。改善するタイミングがないのだから。本人はチャンスに恵まれなかったと思っているけれど、実際は、自分自身で逃していたのです。落ちたことに気づかせない、これが大人のルールです」

■礼儀作法のレベルがその人の所属集団に

20世紀後半、昔からあった階級社会が1度崩壊しかけたことがある。経済優先で年収によって人々がランクづけされた「経済格差」の時代だ。日本でも“3高”がもてはやされたが、そこにマナーや品格という言葉はなかった。そして、それが行き詰まったとき、「品格の格差」が起こり始めた。

「経済が右肩上がりでなくなり、昔から連綿と続く文化の時代に戻ったわけです。そうなると、人の文化度は礼儀・マナーによって差が出るようになった。高価な持ち物で格づけされる一様性の時代に対して、持たない生き方も存在する多様化した文化の中で、礼儀作法のレベルがそれぞれの所属集団に分かれたのです」

だから今の時代、「勉強ができる=仕事ができる」とはならない。教養があって人間関係の調整がうまい人、つまりは礼節が求められる。

「ITツールを使いこなし、バリバリ仕事をしているとあたかも仕事ができる人と思われがちですが、いざ人と対面したときに血の通った対応ができなかったりする。そういうタイプの人はこれからの時代AIには勝てなくなります。AIが苦手なことは唯一、礼儀作法。例えば、自動音声で『○○の人は1を……』なんて言われ続けると誰でもムカッとくる。クレームになる。これがAIのつらいところ。礼儀作法というと感情がなく形式張ったもののように思えますが、そうではないのです」

■礼儀作法の原点は相手やモノへのリスペクト

中谷さんは、「実は仕事ができる人ほど礼儀作法が危ない」と警鐘を鳴らす。本来、礼儀は人に対してのリスペクト、作法はモノに対してのリスペクトのこと。例えば、ドアをそっと閉めるのはドアというモノに対して、お茶会や高級懐石に呼ばれたときに指輪をしていかないのは食器に対してのリスペクトになる。人へのリスペクトは民族や宗教によって表現の方法が違うが、この人と一緒にいて快適だと思われることだと考えるとわかりやすい。

「仕事ができるようになればなるほど、人やモノへのリスペクトが低くなる。『仕事ができる』と『礼儀作法』が相反するものになってしまうのです。チャンスをつかみ続けたいならば、相手にとって“招きたくなる人”になることです」

特に衣食住に関することは、長年の習慣で無意識にやっている場合が多く、意識して頑張っても限界があったり、改善できなかったりする。

「会食の席などでは食事のマナー云々より、会の進行状況やその場に関わるすべての人の気持ちを察知できない時点で、もはやルール違反なのです」

■場違いという経験を積んで自身のランクを上げよう

チャンスを広げたい、もっと上のポジションに就きたいと思っても、一段上の世界では礼儀作法はまったく異なる。これはどこにも書かれていないし、誰も教えてはくれない。ではどうするか。

「ひとつは、厳しい人にしがみつくこと。褒めてくれない、指摘される、本人はつらいかもしれないが、嫌なことをあえて言ってくれる人を見つけてそれまでの自分の行動が恥ずかしいものだったのだと気づくこと。もうひとつは、自分が場違いであるという背伸びした経験を積むこと。超高級ホテルやレストランに出向き、自分が選別される体験をしてみる。落ちたかどうかに気づくのは本人のセンスです」

この場合、見られているところは3つ。靴、服装、そして足の運び方。その場に合った靴を履いているか。いい靴でなくてもよいが、ヒールならつま先と踵かかとのメンテナンスは必須だ。次にその場にふさわしい服装か。その服を着ることで自分に自信が持てるかどうかも重要になる。最後に足の運び方を見るのは、落ち着かないと足元がおどおどするから。

「格上のところにチャレンジするのだから緊張もするでしょう。そこにどれだけのメンタル力があるか、それが“品格”として表れます」

どういうルールなのか、どうすればいいのかわからなければ緊張する。そんなとき、マナーを知っていることで緊張から解放され、よりリラックスして品格ある行動ができる。

「何よりメリットやデメリットで考えないこと。相手に気に入られるため(他者承認)ではなく、自己肯定感を高めるために礼儀を身につける。なぜこうするとスマートに見えるのか、なぜあの人にはチャンスが来るのか、その理由を知りつつ楽しむことのほうがずっと大事なのです」

仕事を含む日常の中には、チャンスが無限にある。礼節ある“感じのいい人”がそれをつかめるのだ。

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中谷 彰宏(なかたに・あきひろ)
作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て独立。私塾「中谷塾」を主宰し、全国で講演、ワークショップ活動を行っている。著書には『今日から「印象美人」』『いい女のしぐさ』(ともに、だいわ文庫)、『なぜあの人は「教養」があるのか。』(水王舎)など1070冊以上。

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(作家 中谷 彰宏 構成=横山久美子 撮影=足利孝二)

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