「平均年収が高い銀行ランキング」メガバンク給与トップは三井、最下位みずほ
プレジデントオンライン / 2020年7月6日 9時15分
■銀行員たちは一体いくらもらっているのか
かつて公務員と同じく「銀行に入れば一生安泰」と言われていたエリートの代名詞「銀行員」。「銀行離れ」とは言われるものの新卒の学生たちからの人気も根強い。新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態に直面し、痛手を負いつつ営業を続ける企業や資金繰りに窮する企業の番人として、銀行の社会的責任が改めて注目されている。
就職人気に波はあれ、銀行員の「高収入」は健在。金を循環させる彼らはどれほどの給料を手にしているのだろうか。今回は、銀行各社が発表している「有価証券報告書」(2019年3月期)で開示される従業員平均年収を比較していく。
※有価証券報告書の提出会社のうち従業員が100人未満の会社はランキングから除外
■トップは三井住友トラスト・HD。2位と年100万円以上の差
1位は三井住友トラスト・ホールディングスで、平均年収は1303万7000円。三井住友トラストは、通常の銀行業務(預金、貸付、為替など)に加え、委託者の財産を管理し、運用する信託業務も行っている。さらに相続関連、不動産関連など業務の幅は広く、一般的な銀行よりも富裕層の顧客を抱えているとされる。
3大メガバンクの中ではもっとも営業経費が少なく、利益率・収益力の高い2位の三井住友フィナンシャルグループ(1155万1000円)と併せて、給与面では三井住友系列が強い結果となった。ちなみに、同じ名を冠した前者三井住友トラスト・ホールディングス、三井住友銀行とは同じグループに所属こそしているものの、直接的な資本関係はなく互いに独立した存在となっている。
3位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(1067万5000円)、4位のみずほフィナンシャルグループ(911万1000円)と3大メガバンクが続く。天下のメガバンクといえども、各社「コロナ恐慌」の影響に苦しんでいるという。進行期(2021年3月期)業績予想によると、それぞれ膨大な額の与信関連費用(主に、債権回収が不可能になった際の「償却額」や債権の劣化により積み増す「貸倒引当金繰入額」等を指す)を見込んでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループおよび三井住友フィナンシャルグループはそれぞれ4500億円、みずほフィナンシャルグループは2000億円の与信関連費用を想定、各社2020年3月に対して21年は減益とならざるをえないという苦しい状況に立たされている。
みずほフィナンシャルグループは、メガバンクの中で最下位という結果になった。しかし、東証1部上場企業の約7割と取引を持ち、旧興銀のノウハウを生かしたコーポレートファイナンスに強みを持つ。2019年に統合以来、悲願であった新システムへの移行完了に成功したこともあり、この緊急事態も顧客の信頼を失うことなく耐え忍んでもらいたい。
■上位メガバンク独占の中で地銀も奮闘
フィナンシャルグループやホールディングスなど統括する立場にある「持ち株会社」と実際の業務を担当する「銀行」という視点から見ると、現場である「銀行」のほうが年収は低い。地方銀行の給与で目立つのは「第一地銀」と「第二地銀」の格差だ。従来の地方銀行が第一地銀、相互銀行から普通銀行への転換組が第二地銀である。そして、第一地銀の年収水準が第二地銀を上回っていることが多い。
ランキングには三重県の「百五銀行」、宮城県の「七十七銀行」など、数字を冠する銀行がいくつか登場する。これらは「ナンバー銀行」と呼ばれ、明治時代に開設された国立銀行である。ただし国立といっても当時は国が経営せず、法律に基づいて民間が設立したもの。このとき設立した順に番号が割り振られ、銀行名になっている。最初にできた銀行が「第一国立銀行」、2番目が「第二国立銀行」となった。
開業に至らず欠番となった3を除く、1から5までの4つの数字はナンバー銀行の中でも名門の証しである。「第一国立銀行」は現在の「みずほ銀行」に、「第二国立銀行」は現在の「横浜銀行」に、「第四国立銀行」は新潟に第四銀行として現存し、「第五国立銀行」は現在の「三井住友銀行」と、統合や合併を繰り返して名前を変えながら業務を続けている。
国立銀行は全部で153行が設立された。かつての「ナンバー銀行」で、現在も変わらず銀行名に数字を残すのはわずかに6行。香川県の「百十四銀行」、三重県の「百五銀行」、宮城県の「七十七銀行」、長崎県の「十八銀行」、岐阜県の「十六銀行」、そして新潟県の「第四銀行」だ。
日銀のマイナス金利政策など超低金利の長期化に伴う影響で収益が減少、資金の運用難や赤字転落が目立ってきた。AI(人工知能)の活用が促進される中で、コロナ禍の影響で非対面接客も推奨され始め、行員の削減はもはや必至の情勢である。とはいえ、地方銀行は全国でおよそ100行を数える。地元に密着した存在として、根を張り続けてもらいたいものである。
(プレジデント編集部)
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