要約サイトで人気だった「6月のビジネス書」ベスト20
プレジデントオンライン / 2020年7月9日 9時15分
第2位:『「数字で考える」は武器になる』(中尾隆一郎著、かんき出版)
第3位:『交渉力』(橋下徹著、PHP研究所)
第4位:『教養として知りたい日本酒』(八木・ボン・秀峰著、PHP研究所)
第5位:『文系AI人材になる』(野口竜司著、東洋経済新報社)
第6位:『一対一でも大勢でも人前であがらずに話す技法』(森下裕道著、大和書房)
第7位:『なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか』(松井博著、KADOKAWA)
第8位:『2060 未来創造の白地図』(川口伸明著、技術評論社)
第9位:『大きな嘘の木の下で』(田中修治著、幻冬舎)
第10位:『勉強の哲学』(千葉雅也著、文藝春秋)
第11位:『ビジネスチャット時短革命』(越川慎司著、インプレス)
第12位:『自分をコントロールする力』(森口佑介著、講談社)
第13位:『人工知能と銀行経営』(大久保豊/西村拓也/稲葉大明/尾藤剛/小野寺亮著、きんざい)
第14位:『WHO YOU ARE』(ベン・ホロウィッツ著、浅枝大志/関美和訳、日経BP)
第15位:『ぜんぶ、すてれば』(中野善壽著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第16位:『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(松岡保昌著、日本実業出版社)
第17位:『これからのテレワーク』(片桐あい著、自由国民社)
第18位:『ネガティブ・ケイパビリティ』(帚木蓬生著、朝日新聞出版)
第19位:『「無為」の技法 Not Doing』(スティーブン・デスーザ/ダイアナ・レナー著、上原裕美子訳、日本実業出版社)
第20位:『フルライフ』(石川善樹著、NewsPicksパブリッシング)
※本の要約サイト「flier」の有料会員を対象にした、2020年6月の閲覧数ランキング
■ビジネスにおける「センス」とは何か
今月の1位は『「仕事ができる」とはどういうことか?』になりました。ビジネスにおける「センス」について、楠木建氏と山口周氏という気鋭の論者2人が熱論を振るっています。仕事におけるセンスの重要性はいまさら語るまでもありませんが、「センスとはなにか」という問いについては、これまであまり議論されてこなかったのではないでしょうか。
楠木氏と山口氏は、「一般的な考えとは異なり、センスは後天的に身に着けられるもの」と断言します。英語やプログラミングなど、役に立つスキルを伸ばしていくことはたしかに重要ですが、今後は根本的なセンスが必要になる場面も増えてくるはず。だからこそ、後天的にセンスを身に着けるための方法について書かれた本書が、多くの方の関心を集めたといえます。
流行のキーワードにすぐ飛びついたり、何事においても否定ばかりしたりするような「センスがない人」にならないためにも、本書の一読をおすすめします。
■「数字で考える力」は仕事の武器になる
第2位は『「数字で考える」は武器になる』です。「文系だから」「数学は苦手だから」と、数字に苦手意識を持っている人は少なくありません。ですが本書を読むと、その苦手意識によって失ってきたものの大きさに驚かされるでしょう。「数字で考える」ことは武器であり、数字を放棄するということは、武器を放棄するということに等しいのです。
本書の著者によると、「数字で考える」とは「四則演算を使うこと」だといいます。そう聞くと、「それだけで足りるのだろうか? 論理的思考や分析力のほうが重要なのでは?」と思うかもしれません。ですが「数字で考える力」とは、単なる計算力にとどまらず、やるべき仕事を的確に把握し、能力を最大限に発揮しつつ、周囲にもきちんとアピールするための、強力なサポートになるのです。
数字を足がかりに仕事へ向き合えば、生産性が上がることはもちろん、目標達成にも大きく貢献するでしょう。また、数字で考える習慣は、発信力や求心力など、マネジメントに必要な能力の向上にも通じるはず。特に自分を「文系」だと思っている人に、手にとっていただければと思います。
■「交渉」の原則は3つに集約される
第3位には、橋下徹氏の『交渉力』がランクインしました。橋下氏がさまざまな修羅場をくぐる中で体得した「交渉術」が、この一冊にまとまっています。
交渉は単なる押し引きではないし、時間をかけて粘るものでもない、ましてや感情に訴えてどうにかするものでもありません。橋下氏によると、交渉の原則は「利益を与える/譲歩する」「合法的な脅しを使う」「お願いする」の3つに集約されるそうです。そのためには、なによりも自分自身と相手の価値観を、より深く理解する姿勢が必要になります。交渉とは相手との闘いというだけでなく、自分との闘いでもあるというわけです。
交渉のやり方を学ぶ機会はそう多くありません。ですが仕事に限らず、日常のあらゆる場面で「交渉ごと」はやってきます。「交渉は苦手」「交渉は自分には関係ない」と思っている人こそ、本書から得られる学びは大きいでしょう。
■2060年の都市はいったいどうなっているのか
続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。
まずご注目いただきたいのが、第8位『2060 未来創造の白地図』。いまから2060年までの間で、生活や働き方がどう変わるのかをテーマにしています。空飛ぶ車が上空を行きかい、人々はウエアラブルコンピューターを備えた衣服を身に着け、先進的な建造物と草木が調和する都市――本書ではそんな未来が描かれます。それが単なる空想で終わらないのは、現実の企業動向や科学的な研究についても、しっかり言及されているからでしょう。
2060年というと、いまからちょうど40年後。40年前の私たちの生活を考えれば、私たちの生活を一新させるようなテクノロジーが登場することに、なんの不思議もありません。コロナ禍はいうに及ばず、地球温暖化、食糧不足、監視社会など、人類の未来に関する悲観的な話が多い昨今。しかし本書を読めば、「人類の未来は明るい」と思えてくるはず。家にこもりがちな今だからこそ、未来に思いをはせてみませんか?
■「企業文化」はいかにして作るのか
第14位『WHO YOU ARE』にもご注目ください。日本でもベストセラーになった『HARD THINGS』の著者ベン・ホロウィッツ氏が、「企業文化をいかにつくるか」というテーマと向き合った名著です。
本書のユニークな点は、成功した企業の文化だけでなく、日本で約700年もの統治を実現した武士階級や、アメリカの刑務所を統率した元囚人など、歴史上のさまざまな文化について分析しているところにあります。また、文化がうまく機能しなかった事例も取り上げており、自社の文化を変革したい人にとって、参考になる点が必ず見つかるはずです。
企業文化は、組織の中だけで完結するものではありません。本書のタイトル『WHO YOU ARE』(あなたは何者なのか)が示すように、文化を考えることは、究極的には「自分は何者なのか」という問いに行き着きます。ビジネスパーソンのみならず、自分を取り巻く文化について考えを深めたい人、その文化を変えたいと願う人にとって、読む価値は十分にあります。
■「答えの出ない状況」に耐える能力を身に着ける
最後にご紹介するのは、第18位『ネガティブ・ケイパビリティ』です。「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、「なかなか答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」のこと。現代社会では、スピーディーな課題解決を求められる場面が少なくありません。また、新型コロナウイルスを巡っては、さまざまな情報や意見が飛び交っています。そんな中で求められるのは、あえて目の前の答えに飛びつかず、相手の状況に寄り添って「待つ」能力ではないでしょうか。
人間関係のわだかたまりがほぐれるのを待ったり、よいアイデアが降りてくるのを待ったり、人が成長していく様を見守ったりと、日常のさまざまな場面でもこの力は生きてきます。わかりやすい答えや解決策に飛びつきたくなったときの処方箋として、ぜひ本書をお読みいただければと思います。
先月から引き続きランクインしたのは『交渉力』(第9位→第3位)のみで、その他はすべて新しい書籍となった今月の月間ランキング。来月はどのような結果になるのか、いまから楽しみです。
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(flier編集部)
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