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林家木久扇「82歳、私の長寿の秋訣は、しゃべって笑って"歯を磨く"」

プレジデントオンライン / 2020年7月19日 11時15分

落語家 林家木久扇氏(AFLO=写真)

「イヤン、バカ~ン」のフレーズでお茶の間を沸かす『笑点』の人気者・林家木久扇さん。落語家としてだけでなく、ラーメン実業家、漫画家、YouTuberなど、多岐に活躍。御年82歳。元気の秘訣を聞いた。

■笑いの快感は人を長寿に導く

私の健康は睡眠から。夜の11時から朝7時までの8時間睡眠。お昼の2時から昼寝もします。昼はあまり寝込んじゃうと夜眠れなくなるので、眠れても眠れなくても40分ぐらい横になり、何も考えない時間をつくっています。

お茶や水もよく飲みますね。私の師匠、林家彦六が毎朝、大量にお水を飲んでいたんですよ。前日に水道水を一升瓶に取っておいて、朝から2時間かけて一升飲み干す。ずいぶん変わったことするなと思っていたんですけどね、86歳までお元気で、ご長寿でした。そういえば、師匠もよく昼寝していらっしゃいましたね。

私は何度か大病していましてね。腸閉塞のときは生死の境をさまよいました。お腹がパンパンに膨れて、それは痛くて痛くて。その日は幸い月曜日で、もしもお医者さんがいない日曜日だったら、死んじゃってたんですけれど。家族が私の周りに集められたもんで、「ああ、ダメなのかな」と思ったんですが、一命をとりとめました。運が良かった! それから「生きてて得した」という気持ちを持つようになりました。「もっと面白くして世の中に恩返ししよう」と思うようになりました。

テレビのお仕事でも落語でも、大きな声を出しますし、よくしゃべりますでしょ。これも長く元気でいる秘訣なんじゃないかと思います。82歳になる私みたいな老人の話なんか、ふつう聞いてくれませんよね。だけど、落語っていうストーリーがあって、面白いことを言う人っていうひとつの信用があると、聞いてくれるわけです。反応して爆笑してくれる心地よさがあるんですよ。そういう快感を得られる職業だから、私は元気で長生きなんだと思っているんです。

食生活に関しては、師匠がいつも「噺家は口の商売だから、口が“おごってなくちゃ”いけないよ」とおっしゃっていました。「おごる」とは、美味しい・まずいを正しく食べ分けられる人になるという意味です。たとえば、師匠と私の好物は、油揚げをね、お湯で油落としして、炭火で焼いてカリカリにして、生姜をすっていただくこと。決して贅沢でないものの美味しさを師匠はいっぱい教えてくれました。

(写真左)自慢の歯ブラシコレクション。今日はこれで磨こう、歯間もきれいにしようと、楽しみながら歯を磨く。(右)いろいろな豆やおかきをミックスして専用容器に。机の脇に置いて、いつもポリポリ食べている。
(写真左)自慢の歯ブラシコレクション。今日はこれで磨こう、歯間もきれいにしようと、楽しみながら歯を磨く。(右)いろいろな豆やおかきをミックスして専用容器に。机の脇に置いて、いつもポリポリ食べている。

豆を食べろとも言われましたね。植物の命は豆から誕生しますでしょ。毎日口にする味噌汁なんて、味噌もお醤油も具材のお豆腐も、すべて大豆。ひとつの料理に豆のものが3つもあるって、素晴らしいですよね。あとは、毎朝の納豆と漬物。漬物はうちのママの糠漬けで、孫がこれ目当てに遊びにくるほどの美味しさです。発酵食品って、とても体にいいのでしょうね。免疫力を高めるなんて言いますし。海苔やお米も好きで、美味しいものを取り寄せたりしています。

落語家なので、お酒とも縁が深く、以前は結構飲んでいました。夜10時頃から明け方までなんてしょっちゅう。でも癌を2回やっちゃったので、最近は飲まなくなりました。酒を飲まずに生きていると疲れます。いつも意識がちゃんとしてるじゃないですか。毎日シラフって、疲れますねぇ(笑)。

人気YouTuberのHIKAKINからノウハウを学び、“KIKUKIN”として華々しくデビューした。興味のあることにはどんどん挑戦することが長生きの秘訣であると語る。https://www.youtube.com/watch?v=v4HkeuydNEU(2020/01/01公開)
人気YouTuberのHIKAKINからノウハウを学び、“KIKUKIN”として華々しくデビューした。興味のあることにはどんどん挑戦することが長生きの秘訣であると語る。(2020/01/01公開)

■木久蔵ラーメンと田中角栄

歯には自信がありましてね。奥歯はインプラントですが、前歯はすべて自分の歯! 豆類も堅いおせんべいも自分の歯で噛めます。食べ物を噛み砕くことは、生きることに繋がります。私は歯ブラシを17種類くらい使い分けて、毎回7分かけて磨いていますよ。2週にいっぺんは歯医者にも行っています。歯の健康は長生きには欠かせない要素だと思うんです。私のような商売の人はとくに、歯には気遣いが必要。小学校4年生頃、洋画スターの顔がアップになったとき、どうしてこんなに格好いいんだろうと思ったら、歯がきれいなことに気づいた。だから大人になっても、歯が汚れるのが嫌でタバコには手を出しませんでした。

落語家という仕事を軸にしながら、興味のあるビジネスには何でも挑戦してきたことも、心と体を健康的にしているんじゃないかな。

初めてのリモート取材に挑戦!●外出自粛中の中、木久扇さんにとって生まれて初めてのZoom取材にご対応いただきました。ありがとうございました!(プレジデント編集部)
初めてのリモート取材に挑戦!●外出自粛中の中、木久扇さんにとって生まれて初めてのZoom取材にご対応いただきました。ありがとうございました!(プレジデント編集部)

「木久蔵ラーメン」もね、いろいろやりましたよ。中国でラーメン屋をやりたくて、面識もない田中角栄さんに頼みにいって。1人3分しか面会時間がないほど多忙な角栄さんにラーメン屋の相談なんて最初は呆れられましたが、ラーメン党は会員が1万人いますよってささやいたら協力してくださって。ところが、角栄さんの紹介ですからヘタなことはできないと思ったのか、中国側が提示するのは1000坪もあるホテル級の土地ばかりで。

私は立ち食いのラーメン屋がやりたいのに。8回も北京に通っているうちに、天安門事件が起こりまして、棚上げになって助かりました。この出来事は面白いから、「ラーメンは人類を救う」という新作落語にしました。お客さんは作り話だと思って聞いて笑ってくれてるんですけど、本当の話なんですよ。

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林家 木久扇(はやしや・きくおう)
落語家
1937年生まれ。60年三代目桂三木助門下入門。三木助没後は八代目林家正蔵(彦六)門下へ移る。73年真打昇進。2007年親子W襲名により林家木久扇に。20年、芸能生活60周年を迎える。新刊『イライラしたら豆を買いなさい 人生のトリセツ88のことば』が好評発売中。

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(落語家 林家 木久扇 構成=力武亜矢 写真提供=トヨタアート 写真=AFLO)

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