コロナ第2波に備えた、シンガポールの国を挙げた徹底コントロール政策に学べるもの

プレジデントオンライン / 2020年7月7日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/andresr)

シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。シンガポールでは新型コロナウイルスの影響で2020年4月上旬から6月中旬まで外食や他人との面会ができない日々が続いたのですが、6月中旬頃から段階的な経済解放が進んでいます。そんな中、第二波を防ぐためにシンガポールで行われている対策をご紹介しましょう。

■行く先々でQRコード入力、政府に記録を送る

シンガポールはコロナの初動をうまく抑え込めたものの、欧米からの帰国者や外国人労働者などの感染が増え、自宅で待機しなければならない期間が約2カ月間ありました。シンガポールでは第二波を防ぐためにレストランやジムなど行く先々でQRコードをスキャンして入退出記録を政府に送っています。ショッピングモールの入り口と、さらに個別の店舗でも記録をしなければ入場できません。また、それぞれで熱も測ります。モールによってはサーモグラフィーや近づくと検温ができる体温計の機械が設置され、投資額も半端ないと感じます。最初は少し抵抗があったQRコード入力に関しては慣れてしまいました。メディアでは感染者が滞在した場所が報道されていますが、それによって住民は情報を知ることができ、安心をして過ごすこともできています。

また、外出時にはマスク着用義務があります。飲食店に入る際も、食べている間以外はマスクをつけていなければなりません。話している間は基本的にマスクをする必要があるわけで、違反すると罰金です。フェイシャルエステサロンのスタッフや調理スタッフなどはフェイスシールドに加えてマスクをしています。マッサージなどを受けることもできますが、行きつけのサロンではマッサージをする人はマスクにビニール手袋を着用し、顧客の手足を消毒してから施術という工夫をしていました。受ける側もマスクをしました。子供の学校でも2歳以下の低年齢の子供を除いてはマスクもしくはフェイスシールドをつけなければなりません。給食も配膳ではなく、パックされたお弁当になっています。各地で徹底した衛生管理が行われているので安心ではあります。

■グループの集まりは5人まで

また、グループの集まりは5人までで一度にたくさんの人が集まることはできません。習い事なども距離や人数の条件を満たしたアクティビティーのみ再開されています。プールなども始まりますが、1レーンに5人までなどあるようです。それでも約2カ月の間、家族以外の人と会うことができなかったので、かなりの自由を取り戻せたように感じます。

出勤も基本は在宅のテレワークで、企業も出勤できるスタッフと在宅グループとを分けて人数制限をし、一度にたくさんの人がオフィスに集まらないよう工夫がされています。ミーティングの多くも依然としてテレビ電話会議などで対応をすることが多いです。買い物もネットスーパーで注文をする人が多く、配達の枠は未だに争奪戦です。

コロナショック以前と比べると、ニューノーマルな世界ですが、政府が明確なガイドラインを出してくれていると、住民はそれに従えばよいだけなので余分なことを考えずに済んで楽な面もあります。また、移動時間が短縮でき、家族との時間が圧倒的に増えました。

もちろん、シンガポールなど中華圏は厳しい感染症の抑え込み対策があるので自国に一時避難や本帰国をした日本人や欧米人もいます。20歳前後の若い人にとっては友達や恋人に逢えないことは非常に辛かったようです。経済解放をされた初日には繁華街に若者の姿が見られました。

■ルールを厳しくしないと自粛できない人もいる

なぜ、海外では罰則を伴うなど厳しいルールがしかれることがあるのでしょうか。法律的な問題も大きいですが、米国、シンガポール、欧州のような、移民が多く、多人種多文化だとルールを明確化しないと個別の習慣や感覚などがかなり千差万別です。娘が通うインターナショナルスクールもお弁当にベジタリアンとハラル用もそれぞれ提供するなど常に5-6種類の選択肢があるほどです。文化的にもマスクの着用が義務になって生まれて初めてマスクをつけたという人も多いのです。また、欧米人などは自由で社交的でグループで集まることが好きな人が多いので、人数など制限を明記しないと自粛を要請することは困難です。そんなこんなもあって、多くの国では「なぜ、日本はゆるいのに感染が大爆発していないのか?」と不思議に思う人も多いようです。とはいえ、シンガポールをはじめとした中華圏の規制は特別に厳しいようで、欧米ではここまで厳しく管理することは難しいと、欧米に住んでいる人は言います。

■毎日何をして過ごしているか

部分的に経済解放をされてから、私自身は、徐々に外出して1対1のサービスから受け始めています。ジムに行く場合、できるだけ平日の早朝にして、グループクラスは受けずにパーソナルトレーニングにするなど工夫をしています。トレーナーとお互いにマスクや手袋をしていればリスクを減らすことができます。マスクやフェイスシールドも手に入るようになったので先々に備えて常備するようにしています。顧客と対面したり、取材に行く際にも、やり過ぎなくらい備えた方がお互いに安心です。

また、基本は自宅待機の時とほとんど行動を変えていないローカルの友達も多いです。買い物はネットスーパーなどのオンライン、外食は控えて調理したものを家族で食べるかデリバリー、運動をする際には人混みを避けるなど。アジア系の人は慎重な人も多く、自主的に早くから隔離をしている友達もいました。「もう少し落ち着いたら会おうね」ということで、人と会うのも慎重な人も多いです。私自身もニューノーマルを楽しむようにしており、2カ月も自宅待機で辛かったというよりは、子供のオンライン学習のサポートなどができた人生で貴重な経験だったと思っています。

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花輪 陽子(はなわ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。

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(1級ファイナンシャル・プランニング技能士 花輪 陽子 写真=iStock.com)

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