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「結婚はお金がかかるから結婚しない」が間違っている理由

プレジデントオンライン / 2020年7月18日 11時15分

■結婚は人生の「コスパ」を上げるか?

株式会社CAYOFが全国の20歳から39歳までの交際中の未婚男女408人に向けて行った調査によると、新型コロナによって結婚願望が高まった人が7割以上もいたようです。その理由は、「恋人の存在が心強いから」など精神的な側面が大きいようです。その一方で、「経済的に安定していない」など経済面を不安視する人も少なくありません。

では、お金の観点から結婚を考えてみると、「結婚はおトクといえるのでしょうか?

まず、支出面から考えてみます。住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」で杉並区の家賃相場を調べてみると、単身者向けの1Kが8.14万円であるのに対し、2人で住める2DKの相場は12.09万円となっています。

結婚した場合、このように家賃や食費、水道光熱費など生活コストが「おひとりさま」のときと比べて単純に2倍になることはありません。

また、家事なども分担にすることで1人あたりの負担を減らすことができますし、忙しくて宅配や家事代行サービスなどを利用していた場合、その費用も節約できます。

収入面でも、共働きなら世帯収入は増えますし、どちらかが病気やケガで働けなくなっても、もう一方が家計を支える安心感も生まれます。

■配偶者に対する制度が利用できる

さらに、税制や社会保険料の配偶者に対する制度が利用できる点もポイントです。

たとえば、配偶者が専業主婦(夫)やパートなどで一定収入以下なら、所得税の配偶者控除や配偶者特別控除が受けられ、税金が安くなります。

なお、2020年から収入基準が引き上がり、前者は年間の合計所得金額が48万円(以前は38万円)以下、後者は48万円超133万円(以前は38万円超123万円)以下が要件となりました(このほかにも要件あり)。

また、社会保険料についても、会社員の夫(妻)の被扶養者となれば、保険料の支払いは不要になります。

さらに、勤務先によっては、家族手当などがつく場合も。

もちろん、結婚後に子どもが生まれれば、支出増にもかかわらず、妻(夫)がこれまでのように働けなくなることは必至です。その間、一方が家計を支えなければなりません。また、配偶者の金銭感覚や価値観次第で、結婚前より生活が苦しくなるケースもあるでしょう。

しかし、筆者が知る限り、経済的な不安については、夫婦2人で力を合わせることで解決することがほとんどです。

その一方で、破綻するのは、経済的なメリットだけを考えて結婚に踏み切った場合がほとんどです。

確かにお金は大切ですが、お金だけが幸せに生きるために必要なものではありません。

人間が幸福を感じる要素には、お金や所有物など、他人と比較できる「地位財」と、愛情や人間関係のように、他人と比較できない価値である「非地位財」に大別できます。

「幸福の持続性」という観点では、地位財は低く、非地位財は高いという専門家による分析もあります。

人間の幸福度を主観的に検証するさまざまな幸福度研究では、結婚や配偶者の存在は幸福度を引き上げることがわかっています。

とはいえ、結婚のメリットを損得勘定ばかりで考えていると、幸せは長続きしないということかもしれません。

ちなみに、経済学者のニック・ポータヴィーによる計算では、結婚は自らの年収プラス約47万円分の幸せに換算できるようです。意外に、幸せとは安いものなのかもしれません。

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黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
プレジデント誌でもおなじみのFP。お金の管理に関するプランニングや講演、メディア出演を行うと同時に、自身のがん経験を生かし、病気時の資金繰りサポート活動にも力を入れている。近著に『三大疾病 ライフプランニングハンドブック』(金融財政事情研究会)。

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(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

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