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40kg減ダイエットに苦しんだ僕がたどり着いた2つの無料アプリ

プレジデントオンライン / 2020年7月9日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tero Vesalainen

なぜダイエットは続かないのか。体重115キロだった医療記者の朽木誠一郎さんは、何度もダイエットに挫折していたが、2つのアプリを使うことで40キロの減量に成功した。その意外な活用法とは――。(第3回/全4回)

※本稿は、朽木誠一郎『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「インスタダイエット」のすすめ

僕のダイエットは常にスマホと共にありました。減量中、もっとも活用したアプリは、実は写真・動画のSNSであるインスタグラムです。

東京大学大学院医学系研究科准教授で、健康格差対策を専門にする近藤尚己先生によれば、健康に大きな影響を与えるのが、まず「現実世界の人間関係」。仲の良い人が健康的な体型になったら「自分もやらなきゃ」と思うことでしょう。しかし、多忙な現代人においては、現実世界の人間関係が希薄になってきている、という別の問題もあります。

そこで朗報なのが、「近年普及しているSNS上のソーシャルインフルエンスも同様だと予想できます」という近藤先生の言葉。

たとえば「ダイエットします」と宣言することで力を得るのは、“コミットメント効果”という心理学的効果によるものだと考えられます。また、ダイエットする様子をSNSに投稿して“いいね”をもらうことをモチベーションにするうちに「どうすればより“いいね”がもらえるかな」とさらに努力するようになるのは「Pokémon GO」のような“ゲーミフィケーション(ゲーム化)”の一種で、ナッジ(「そっと後押しする」の意)としても有効です。

キーワードは「コミットメント効果」と「ゲーム化」。僕はダイエット初期、ちょうど95キロになったあたりで、インスタでダイエット開始を宣言しました。以降、体重計の数値を撮影した写真を繰り返し投稿しています(投稿は今も残してあるので、ぜひインスタグラムで朽木誠一郎/@amanojerkを検索してみてください)。

■体重が減るごとに「声援」も大きくなる楽しさ

実際に宣言してみると、友人たちが「いいね」やコメントで励ましてくれることもあり、「後に退けないぞ」という感じがして、ダイエットが捗ります。なるほど、これがコミットメント効果だったのですね。体重が80キロ台になり、80キロ台前半になり……と数字が減っていくごとに、ネット上の「声援」も大きくなっていきました。なんと、ただダイエットをするだけの30代男性のインスタアカウントを、この頃には1000人以上の人がフォローしてくれるようになったのです。初期のフォロワーさんは友人や知り合いだけでしたが、この頃には次第に、ハッシュタグ経由のフォローも増えてきました。

インスタはダイエットに関連するハッシュタグ(たとえば「#ダイエット」なら、他の人のダイエットに関連する投稿をまとめて閲覧できるタグ)がたくさんあり、がんばっている他のアカウントを見て、あるいは「いい体」に仕上がっている人気アカウントを見て、やる気を出すことができます。現実の人間関係の延長、むしろ現実世界ではつながっていない人ともつながることができるので、ダイエットにはより優秀なツールと言えるかもしれません。

■しれっと投稿しなかった日もあるけど…

とはいえ、最初は体重が減ったときだけ、バランスのいい食事ができたときだけ、ちゃんと運動したときだけ、「ええカッコしい」でアップしていた、というのが正直なところです。会食の中華で出てきてしまった担々麺を食べてしまったり、家で一日中ゴロゴロしていたりした日のことは、しれっと投稿しませんでした。それでも、「健康によい」ことをしたときの投稿時に「いいね」をもらったり、フォロワーさんが増えたりすることによって、「もっとバランスのいい食事を」「もっと運動を」と投稿の頻度が上がります。いつの間にか、SNSをゲーム化して利用していたわけです。

肥満者にとって、食べたいものを食べる、動きたくないから動かない、というのは抗いがたい目先の利益です。「将来、病気になる」と言われてもピンときません。しかし「変わった、あるいは変わろうとしている自分を、周囲の人が応援してくれる」、もっと具体的に「『いいね』が増える」「フォロワーが増える」というのは、同様に魅力的な目先の利益です。目先の利益には目先の利益で対抗しましょう。

■同じ志を持つもの同士でゆるくつながる

ダイエット中、気持ちが挫けそうなタイミングというのは、何度も訪れます。そもそも、肥満の主な原因が社会経済状況という認識が一般化していない今、「太ったのは自己責任でしょ」といった意見に触れることも、肥満者には多いからです。そして、ダイエットは難しい。自分のクセもあるし、社会人には繁忙期も、歓送迎会も、新年会も忘年会も、「もうダメだ!」と思うシーンが無数にやってきます。

そんなときは、ぜひ、僕のSNSを見てみてください。これを書いた以上、僕はもう太れません……。今後は、太らないことが仕事です。でも、僕もまた新聞社の医療記者であり、毎日忙しくしながら、ここで明かしたエピソードのように、もがきながら自分なりの正解を見つけようとしています。

ダイエットの最大の敵に立ち向かっているのは、あなたひとりではありません。便利なSNSを活用しながら、同じ志を持つもの同士でゆるくつながり、それぞれのダイエットを成功させましょう。

■ただ「えらい!」とだけ返すLINEグループ

もうひとつ、僕がダイエットする上で、使用頻度の高いアプリがLINEでした。身近すぎて「どういうこと?」と思われたかもしれません。

これは友人でありクリエイターの與座ひかるさんが考案した方法で、その名も「運動報告部」。LINEで仲のいい数名とグループを作り、運動をしたら報告。報告されたらただ「えらい!」とだけ返す、というのがルールです。社会人になって運動を始め、挫折することを繰り返してきた與座さんが、1年間運動を続けることができたテクニックだといいます。

詳細はぜひ「運動報告部」でインターネット検索をしていただきたいのですが、しばらく運動する期間が空いても責めない、自分も気にしないのがポイントとのことです。

運動して褒めてもらえるのはインスタ同様の効果ですが、友人とグループを組むことで現実の人間関係に寄ったコミュニティになります。すると人選にもよりますが「○○がやったのなら自分もやらなきゃ」と思う効果が強いのです。

■多忙で時間が取りにくい人にも好評

僕の場合は複数のグループを運営していました。ひとつが、大学陸上部のOB・OG数人で作ったグループ。それ以外に、メディア業界でできた友人たちとふたつのグループ。與座さんのアイディアを自分なりに応用したものです。

運動報告部

前者のグループは、僕のことを「失踪した」「安否不明らしい」と思っていた、大学の仲間たちとのグループです。まさに與座さんの方法をそのまま導入し、LINE上ですべてを完結させます。メンバーは全国各地で医師や看護師をしていて忙しく、僕以上に時間が取りにくい人たち。彼ら彼女らにも、この方法は好評でした。僕にとっては、別人のように太ってしまった自分が、大学時代のような体型に戻っていくところを見せることができるという、強いモチベーションになりました。こんなふうに、自分に強いモチベーションの湧く相手とグループを作るのがポイントです。

後者、メディア業界の友人とのグループは、少し方法を変えました。掲示板のように、「○○日○○時~○○でトレーニング」などと書き込んでおくのです。運動意欲が高い友人たちと組むことで、予定が合えば一緒にトレーニングをすることができます。

■肥満者の思考のクセを攻略せよ

ひとりきりでダイエットをするのは精神衛生上、よくありません。「なんでこんなツラいことをしているんだっけ」「自分が太ったから悪いんだ」「もう何もかもイヤだ……」思考がそんな負のスパイラルに陥りがちだからです。ネットでもリアルでも、人とつながる余地を作っておくことを、僕としてはぜひ、おすすめします。SNSやLINEはそれを担保する、強いサポートになり得るのです。

近藤先生は「SNSはダイエットにも有効であるとみられる」とした上で、「これからの公衆衛生を考える上で、SNSのようなツールの重要性は増していくでしょう」と予想します。

このように、お金や時間がなくても、「3割の意志」を元手にテクノロジーの力を借りて、その効果を大きくすることはできます。個人の実感としては、この工夫自体も次第にゲーム化されていくため、ダイエットがどんどんおもしろくなっていきました。しかも、このようなツールは無料、スキマ時間で利用できます。これが僕なりの肥満者の思考のクセや、社会経済状況という最大の敵の攻略法です。

■会わなくてもゆるくつながれる機会を作っておく

「弱い紐帯の強み」という言葉を知っていますか。これは、米国の社会学者マーク・グラノヴェッターが発表した社会的ネットワークに関する仮説です。ざっくり紹介すれば、「普段、顔を合わせている人たちとの間にある情報はイノベーションの種にならないが、会わなくてもゆるくつながっている人との間にある情報には、イノベーションの種がある」というものです。

朽木誠一郎『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)
朽木誠一郎『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)

家族や友人、同じ業界の人同士など、自分と強いつながりを持つ人たちは、同じような環境、生活スタイル、価値観を持つ場合が多く、情報が均一化されたり、冗長になったりすることが理由とされます。そして、僕はこれが、ダイエットにも当てはまると思っています。

メディア業界は特に、忙しい業界であるがゆえに、長時間労働や精神的ストレス、喫煙や飲酒などの独特の習慣があります。これを前提にしてしまうと、太りやすく、やせにくいことはここまで説明してきたとおりです。だからこそ、業界外、友人外、家族外から、何らかの機会がもたらされる状況を、積極的に作っておくことが、ある意味では僕たちの健康を守るシェルターになるのです。

■状況によって「紐帯」を使い分けよう

他にも、この記事を読んでくださっているみなさんと、僕の関係が弱い紐帯に当たります。もし、SNSでフォローしてくれることがあれば、その関係が継続することになるでしょう。SNSのフォロワーさんたちは、まさにこの弱い紐帯でつながっている方々です。

これは決して、強い紐帯がダイエットによくない、ということを意味しているわけではありません。SNS投稿やLINEの運動報告部のように、強い紐帯の方がやる気が出るケースもあります。大事なことは、自分の状況によって、弱い紐帯と強い紐帯とを使い分けること、そのために正しい知識を持つことだと言えるでしょう。(続く)

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朽木 誠一郎(くちき・せいいちろう)
ライター・編集者
地方の国立大学医学部を卒業後、新卒でメディア運営企業に入社。その後、編集プロダクション・有限会社ノオトで基礎からライティング・編集を学び直す。現在は報道機関に勤務しながら、フリーライターとしても雑誌『Mac Fan』連載「医療とApple」など執筆中。主著に『健康を食い物にするメディアたち』(ディスカヴァー携書)。近著に『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)がある。

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(ライター・編集者 朽木 誠一郎)

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