採用のプロがこっそり教える「Zoom面接で好印象を与える5つのワザ」
プレジデントオンライン / 2020年7月10日 15時15分
■「買い手市場」の中で17.5万人の追加採用を発表したアマゾン
つい最近まで、新卒採用は「超売り手市場」と言われていましたが、新型コロナウイルスの影響により、急激に買い手市場へと移っています。要するに、採用を中止・延期する企業が増え、学生が就職しづらくなっているのです。
実際に現在、首都圏の中小企業の51.8%が採用活動を中止または延期しています。一見、今年の就活生は可哀想にすら思えてしまいますが、少し発想を変えると悪いことばかりではありません。
例えばこの市況の中で、突然なじみ深いものになったオンライン会議ツール「Zoom」は、ユーザー数が1000万人から2億人に急増しました。すると、Zoomを提供する企業は人手が必要になり、採用を強化します。米アマゾンも3月以降に17.5万人の追加採用を発表しました。
このように、コロナの影響の中で採用を強化する業界と、採用を縮小する業界が明確に分かれ、今後成長していく企業が今までより分かりやすくなっているというメリットがあります。しかし、そういった企業は当然就活生の間で人気を集めるため、競争は激しくなります。
採用活動では、新卒・中途問わずオンライン面接が主流になりつつあります。コロナで変わる就活市場では、どんな人材が求められるのでしょうか。
■アフターコロナで勝ち残る人材の本質
AIやロボットなどの技術進歩で仕事を奪われる人が出てくるというのは、コロナの前から言われていた傾向ですが、それがコロナの影響でより加速しました。その結果、日本の失業者は176万人にも上り、アメリカの4月の失業率は14.7%と戦後最悪の数値となりました。
今まで、日本では面接などで「素直・明るい・元気」という三拍子揃った、フレッシュな就活生が好まれる傾向にありました。もちろん、このような人材は働く環境にとても良いエネルギーをもたらし、会社を活気づけてくれるでしょう。
ただし、先ほどのような現状を考えあわせると、「明るく元気で素直」だとしても、任された単純作業をこなすような人材では、これからの社会で生き残っていけないのです。
これから求められるのは、どんな困難な環境でも「創造」と「変革」ができる「サバイバル人材」です。このように書くと新しく求められるようになった人材かのように見えてしまいますが、実際はそうではありません。オンラインが主流の時代でも、勝ち残っていく人材の本質は、今までの就活で強かった人と何ら変わりないのです。
■オンライン化でも変わらない、就活に強い人の4つの共通点
採用担当者は就活生を大きく4つの視点で見ていると考えています。
1つ目は、「成果をあげられる人材か」。つまり入社後に活躍するイメージが湧くかどうかです。これは採用担当者が学生を見る重要な観点でもあるため、エントリーシートの記述はもちろん、面接で話す際には相手に活躍イメージを想起させるように意識して、心からの志望動機を言語化する必要があります。
2つ目は、「戦力と定着」です。要するに人間性が良く能力があるかに加えて、企業への共感性が高く、長く働いてくれそうかどうかという視点です。就職活動で企業を見る際にはどの企業も良いところと悪いところがあると思います。完璧な企業は絶対にありません。そのときに自分が「変わりやすいところ」に共感しているか「変わりにくいところ」に共感しているのかを見極めることが大切です。
例えば「変わりやすい」のは上司や給料などで、「変わりにくい」のは企業理念や社風などです。会社のイメージを左右してしまうことではありますが「人事の人が優しかったから」など、変わりやすいものへの共感で入社先を決めてしてしまうと離職率が高まってしまう場合があります。大切なのは「変わりにくいところ」への共感です。これが定着率を大きく左右します。
3つ目は、「なぜ自分を採用すべきかを論理的に説明できるか」です。これには自己分析に加えて深い会社理解が必要になります。例えば受けている企業のホームページがイマイチだったとき、自分がデザイン能力に長けたプログラマーだったら、「だから私を御社は採用すべきです」と説明できるかもしれません。会社もこれから何十年も給料を払い続ける相手を選ぶわけですから、採用することに納得できる理由が必要なのです。
4つ目は、「過去の実績・現在の行動・未来への意欲」に一貫性が見られるかどうかです。これは大学で選んだ学部の専門性を生かした方が良い、というのではありません。例えば、「インターンをしていた営業の会社で、押し売り感が出てしまうことに課題を感じていました。今は本などで独学する傍ら、関連するオンラインセミナーにも参加しています。将来的には、押し売りではなくサービスの魅力を最大限に伝えるスタイルで、営業トップになりたいです」といったように、過去の経験から自分が将来なりたい像が明確に描けているかが重要になります。
この4つの視点は頭で理解することはできても、実際に働いてみないと正確にイメージすることは難しいでしょう。そのため、インターンやアルバイトの選び方も「どれだけ実践経験を積むことができるか」という視点を持って見直す必要があります。
■オンライン面接で好印象を与える5つのテクニック
一方で、面接はオフラインからオンラインになり、ルールが変わったことは確かです。ここからは、新卒・中途問わずオンライン面接で好印象を与える5つのテクニックを紹介します。
- ①視覚のインパクト
背景に映る部屋の様子はきれいか、服装は清潔感があるか、画面に映る顔の大きさは適切かを事前に必ず確認しましょう。何事もまずは基本からです。
- ②資料の出来栄え
オンライン採用では、どうしても対面よりも印象を残しづらい面があるため事前の提出物や、自己PRの資料などの作り込みには絶対に手を抜いてはいけません。提出しなければならないという意識ではなく、サプライズな内容を込めて相手を喜ばせるためのものと考えて取り組むと、より印象的なものに仕上がるはずです。
- ③反応の大きさ
オンラインでは、相手のリアクションが伝わりづらい傾向にあります。どんな人でも相手に話すとき、相槌や表情の変化がないと話しづらい人だ、という印象を受けてしまいます。そのため、オンラインでは少し大げさにリアクションするくらいの意識で、面接を受けましょう。
- ④論理の妥当性
①~③ができたとしても、やはり話に一貫した筋が通っていなければ採用されることはありません。これはオフラインでもオンラインでも大きくは変わらないですが、言語情報が残す印象がより大きいオンラインでの就職活動では論理的かどうかがより問われます。
- ⑤感謝の伝達
オンラインで関係性が希薄になる中で、選考中の会社への手紙やお礼のメッセージを送ることは好印象に映ります。媚びるような印象を与えるのではないかと抵抗がある学生もいるようですが、デキるビジネスパーソンは取引相手の誕生日や担当企業の創業日などの記念日があるごとに手紙を書くなどのマメさを持ち合わせています。社会人になってから活躍するためにも、その練習を就活段階から始めることをオススメします。
■アフターコロナの企業選びで絶対に忘れてはならない3つのポイント
最後に、これからのオンライン就活で絶対に忘れてはならない3つのポイントをお伝えしていきます。
1つ目は、リアルな現場は絶対に見に行くことです。できれば体験することが望ましい。オンライン就活最大のデメリットは、実務体験型のインターンシップが極端に少ないことです。そのようなオフラインのインターンがあれば、いったんは業界業種を問わず、参加してみることをオススメします。1人では気付くことのできない学びが必ずあります。オンラインでのインターン選びは、「3日以上で社員参加型」であるかどうかが1つの指標になるでしょう。
2つ目は直近の財務状況の確認です。選考を受ける企業は、今後コロナのような緊急事態が起きたときに生き残れる会社なのか。その企業の本業利益や預貯金、そしてコロナ以降の成長戦略を確認することをオススメします。
最後にお伝えしたいのは、コロナだからといって、本当にやりたいことを諦めないでほしいということです。例えば、大学受験では行きたい大学に落ちてしまった場合、浪人するなどして再挑戦する場合があります。そうした浪人がこれほど社会で受け入れられている中で、より将来に直結する就職活動における浪人はあまり根付いていない。
もちろん、様々な事情がある中で推奨するわけではありません。しかし、ANAなどが採用を中止する中で、夢を諦めていく就活生を見ていると、より周到に準備をして来年に望むという選択肢もあっていいと思うのです。
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レガシード社長
大学院に進学と同時に、人材教育会社に入社。営業部に配属される中、新しい新卒採用人事の仕組みを作り出し、1年間で2万人以上が応募する人気企業へと発展させた。その後独立し、人材採用と人材育成のコンサルタントを経て、2013年11月レガシードを設立。人材採用コンサルティング、社員教育・組織活性コンサルティング、学生向けキャリア教育事業などを手掛け、創業6年で応募者1万7000人企業にする。同社のユニークかつ画期的な人材採用コンサルティングの手法と採用活動が話題となり、テレビや雑誌をはじめ多数のメディアに採用の様子が取り上げられる。著書に、『伸びてる会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法』(クロスメディア・パブリッシング)、『内定辞退ゼロ』(実業之日本社)などがある。
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(レガシード社長 近藤 悦康)
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