副業、独立…すべての「稼げる人」に当てはまる唯一の共通点
プレジデントオンライン / 2020年7月17日 9時15分
※本稿は、俣野成敏『サラリーマンを「副業」にしよう』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■「技術をウリにした副業」は実は難しい
前回のお話の中で、「オススメする副業とは、個人事業を始めること」だとお伝えしました。個人事業を始める人を大雑把に分けると、2つのパターンに分けられます。それは、「手に職をウリにして起業するか?」それとも「営業力で起業するか?」のいずれかです。こういうと、多くの人は「手に職で起業したい」と考えます。
サラリーマンが、手に職をウリに副業を始める際に、気をつけなければいけないのが「今いる会社との競業」です。ほとんどの場合、専門技術を身につけるのは、会社の仕事を通じてのことが多いため、副業を始める時は、会社で培ってきた技術やノウハウを流出させないよう注意しなければなりません。
会社と競業してしまう状態とは、たとえば
・CAD設計会社に勤めている人が、設計技術を使って同じ業界で起業
・マッサージ店の店員が、仕事で身につけた技術を使って開業
・ラーメン店のスタッフが、お店の秘伝レシピを使って自分の店を開く
・セールスマンが、会社の取引先から商品を卸してもらい、個人でも販売
といった例です。
意外に、独立する人で、会社と競業してしまう人は多く、中には自分が担当していたお客さんを連れて独立してしまう人もいます。しかし、業界は狭いので、たいていはどこからともなく噂が伝わってしまうものです。
副業・独立にかかわらず、ビジネスをしていく上での最大のポイントは「自分のお客さんを見つけられるかどうか?」です。初めからセールスで起業をしようと思っているのであれば、後はよい商材を見つけるだけでいいでしょう。
しかし、技術で起業しようと思っているのであれば、今いる会社との競業を避けることが大切です。方法としては、前回お話しした「顧客の再定義をすることで、お客さんを換える」ことなどが挙げられます。
■セールスとは「売る」ではなく「売れる」こと
ところで、「ウリとなるような技術がない。セールスなんてやったことない。それでも副業をしたい」という場合に、多くの人が考えるのが“資格取得”です。「資格を取って、それをウリにしよう」ということですが、資格を取ったからといって、それがすぐに商売になるとは限りません。
「他人との差別化」という意味においては、資格になっている時点で、それはすでにマニュアル化されているのと同じです。現在のように変化のスピードが早い世の中では、資格取得によって得た知識は、瞬く間に古くなってしまう可能性もあります。
たとえば、すでにあなたに見込客がいて、資格さえあればセールスできるということであれば、資格取得は必須です。問題は、今までやってきたこととはまったく関係のない分野の資格をこれから取得しよう、と考える人が多いことです。「会社では研究職をしているけれども、ファイナンシャルプランナーの資格を取ったら使えるかな?」といった資格取得は意味がない、ということです。
「ウリとなるような技術がない。でも副業を始めたい」という人に、私がオススメするのは、セールスそのものを副業にしてしまうことです。「手に職」で勝負をしようと思えば、今から蓄積を始めても、モノになるのに何年かかかります。一方、セールスの場合は、正しい方法を身につけさえすれば、早ければ数カ月後には結果が出せます。
たいていの人は、セールスと聞くと「買わない人をその気にさせる手練手管のこと」だと思っているのではないでしょうか。しかし実際は、「売る」ではなくて「売れる」です。より正確にいうなら、「セールスとは売れる仕組みをつくること」です。
最初にキチンと仕組みをつくりさえすれば、商品は売れるようになります。多くの人が持っているセールスに対する良くないイメージは、世間にあまりにも商品を押し売りしようとするイケテないセールスマンが多いからです。
■口下手サラリーマンが副業で独立できた理由
未経験でセールスを副業として始め、2年間で累計1億円の販売実績を上げた後に、サラリーマンを卒業して独立起業した人をご紹介します。現在、私が主宰する副業オンラインアカデミー「The Second Phase(TSP)」の認定コーチである永井優人さんです。
永井さんは大学院を卒業した後、研究職として東証一部上場メーカーに就職。将来的には社長を目指す大望を抱いて、エンジニアとしてのキャリアを順調に積み重ねてきました。ところが、サラリーマンとしての収入の限界を感じたことから、他の収入源を見出そうと書籍を読み漁り、あちこちのセミナーを渡り歩いた後に、私のマネープランコミュニティの会員となりました。
永井さんは、お金の勉強をすればするほど、世の中にはチャンスが多いことを知り、そこで思うように袖が振れないジレンマを感じたといいます。ちょうどその頃、私がそのコミュニティ内で実験的に始めたセールスを教える別のコミュニティの存在を知り、直ぐに名乗りを上げてきました。
もともと、私と初めて会った当初は口下手で、目も合わせてくれなかった永井さんでしたが、ここから変化が始まります。一見、セールスとは程遠いと思われた永井さんがメキメキと成長し、独立を果たすまでになりました。(私が永井さんに伝授した方法論については、拙著『サラリーマンを「副業」にしよう』の中で、詳しく解説しています。)
永井さんのお客さんになった人たちは、古くからの友人や学生時代の同級生、元同僚、知り合いからの紹介や、たまたま飲み屋で隣り合わせた人など、さまざまです。特に強力なコネや、誰かの後ろ盾があったわけでもなく、サラリーマン時代に役職に就いていたわけでもありません。場所も、地方の交通の便があまりよくないエリアで活動していました。
永井さんの初めてのお客さんは、会社の後輩でした。商品に惚れ込み、誰かに言いたくてうずうずしていた永井さんが、仲がよかった後輩に向かって熱く商品について語ったところ、後輩のほうから「自分もそのサービスに申し込みたいです。もっと詳しく聞かせてください」といってきたのだそうです。これが、「売る」ではなくて「売れる」状態です。
■「必要なところに必要なモノを届ける」
仮に今、あなたに高い技術力や能力があったとしても、買ってくれる人がいなければ「業」にはなりません。私が副業の選択肢としてセールスが一考に値すると考える理由は、そのこと自体が副業として機能するのはもちろん、自分のスキルが商材となる場合にも、セールスが強力な武器となるからです。
商売で一番大事なのは、あなたの商品・サービスが売れることです。どんなに良い商品を開発しても、知らなければ顧客は選ぶことができません。世の中には、良いモノなのに売れず、人知れず消えていく商品が山のようにあります。売れている商品は、品質を高めるのと同じくらい、売れるための努力をしています。その中の一環として、必要なところに必要なモノを届けているのがセールスだということです。
これまで3回に渡って、最近、世の中で注目されている副業について述べてきました。本稿を通じて「副業って、世間でいわれているイメージとは随分違うな」「自分も副業を検討してみよう」と思っていただけたのであれば、嬉しく思います。
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ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー
30歳の時にリストラに遭遇。同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の中で現役最年少の役員に抜擢、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資家としても活動。投資にはマネーリテラシーの向上が不可欠と感じ、その啓蒙活動にも尽力している。自著著書に『プロフェッショナルサラリーマン』が12万部シリーズ、共著に『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』などがある。
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(ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー 俣野 成敏)
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