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ラジオ体操を始めたら「オッサンくさい」と言われてへこんだ話

プレジデントオンライン / 2020年7月26日 11時15分

およそ90年前に制定されたラジオ体操。その意外な注意点とは。(PIXTA=写真)

■ラジオ体操を始めたらオッサンくさいと言われてへこんだ話

緊急事態宣言も解除され、再び町中では昼夜問わずジョギングに精を出す人の姿をよく見かけるようになった。もはや「健康は財産」との考えはすっかり世間に定着したようだ。

一方で、健康ブームが過熱すればするほど、存在感が希薄になっているものもある。日本の国民的エクササイズとでもいうべき、ラジオ体操だ。

ファッショナブルな今どきのフィットネスと比べた際のどうしようもない野暮ったさ。そもそもスマホ全盛の時代に“ラジオ”って。

都内の専門商社で働くA氏(33歳)も、ラジオ体操の不人気ぶりを痛感しているひとりだ。

「僕の仕事ってどうしても長時間パソコンの前で座りっぱなしになることが多いし、肩もやたらこるようになるわで、これはいかんと。だから出勤前と昼休みの1日2回、ラジオ体操でもやろうかなって。ジムに行くよりはるかに気楽だし、長続きするかなと思ったんですよ。何より、子供のころから慣れ親しんでる体操ですし」

思い立ったが吉日がモットーのA氏、すぐに行動に移した。スマホのアプリでラジオ体操の音源を再生し、毎日2回、コツコツとおなじみの運動を繰り返す。肩こりが改善される、気分が爽快になるなどすぐに効果を実感したものの、一方で不快な出来事も。

■どうせならヨガとかやればいいのに

「昼休みにラジオ体操をやってると、同僚や後輩が笑うんです。『なんでそんなオッサンくさいことやってんの』『どうせならヨガとかやればいいのに』って。本当にうっとうしいというか」

情景を思い浮かべると、A氏が立腹する気持ちも理解できるが、ここで気になるのは、ラジオ体操のエクササイズとしての有効性だろう。なにせ、同体操が制定されたのはおよそ90年前(!)。あまりに時代遅れだし、効果もさほど期待できないのでは?

疑問に答えてくれるのは、ラジオ体操に関しての著作がある、医学博士の戸田佳孝先生だ。

「ラジオ体操って運動というよりはストレッチなんです。だから、サラリーマンの方が仕事の合間にやるのはすごくいいと思いますよ。特に肩こりなんかには効果があります」

意外な答えが返ってきた。もう少し詳しく解説していただこう。

「筋肉って寝てる間は動かせないでしょ。その意味で、朝一番のラジオ体操はすごく体にいいんです。ストレッチのほかにリラックス作用もあるから会社の昼休みにやると効果的です」

とはいえ、ラジオ体操は必ずしも万人向けではないと先生は指摘する。

「65歳以上の高齢者にはあまりオススメしません。というのもラジオ体操は本来、若者向けに考案されたものなんです。筋肉が硬く、量も少ない高齢者は膝や腰を痛める可能性があります。やるならむしろ筋トレを推奨します」

高齢者に愛好者が多いラジオ体操の現状を踏まえれば、皮肉な結果というほかない。が、少なくともビジネスパーソンには効果アリといえそうだ。

というわけで、戸田先生の見解をA氏に伝えると、うつむいてしまった。聞くと最近、「同志」と呼ぶ高齢のラジオ体操仲間ができたそうだ。

「うちの社内取締役です。僕がラジオ体操をしている姿を面白がってくれて、一緒に体操をするようになりました。社内で力のある人だから、同僚に笑われることも少なくなりました。ただ、67歳なんです……。膝や腰を悪くしてまで付き合ってもらうのは、さすがに忍びない。でも、1人でラジオ体操をしてまた笑われるくらいなら、いっそやめてしまおうかと」

その後、A氏は昼休みのラジオ体操を独りで続けているが、同志が加わる前は散々バカにしてきた同僚も静かに見守っているという。A氏の「同志ロス」が社内に広がり始めた。

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戸田佳孝(とだ・よしたか)
戸田リウマチ科クリニック院長
1986年関西医科大学卒業。98年戸田リウマチ科クリニックを開院。『1日半分のアボカドでひざの痛みはラクになる』(河出書房新社)など著書多数。

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富士 弥勒(ふじ・みろく)
ライター
1975年生まれ。月刊誌の編集のかたわら、執筆活動にも従事。

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(ライター 富士 弥勒 写真=PIXTA)

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