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日本をGoTo地獄させた無能安倍晋三…解散9月説、12月説、2月説、4月説、どれが本当だ!

プレジデントオンライン / 2020年7月15日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mizoula

■コロナ禍に信を問う「別の道」がある

政界に吹き始めた「解散風」が勢いを増している。その発信源は政権中枢で、新型コロナウイルスの「第1波」が収束し、「第2波」到来までの間に衆議院解散・総選挙を実施しておきたいとの思惑が透けて見える。衆議院議員の任期満了まで1年半を切り、急落した内閣支持率と安倍晋三総理の求心力を回復させるためには「この道しかない」というわけだろう。

でも、ちょっと待って。再び新規感染者が増加傾向にあるコロナ禍において総選挙を実施すれば全国的に「密」が生じるリスクとなるのではないか。強引にその道を突き進めば、逆風を浴びて政権を失う「悪夢」もよぎるところだろう。これまで拙稿は失われた「民の声」を聞くための方策として解散総選挙を断行すべきと提言してきたが、現在の安倍官邸による解散戦略には疑問がある。コロナ禍に信を問う「別の道」を提案したい。

■自粛生活の中で選挙への関心は低下

「新型コロナウイルスの感染拡大が再び起きている。2次拡大か分からないが、冬には本当の2次拡大があるとも言われている。経済状況も大変厳しい。政治はそこに専念すべき時であって、大きな政治空白をつくるのは国民の理解を得られない」

自民党と連立政権を組む公明党の斉藤鉄夫幹事長は7月3日の記者会見で、年内解散に反対する考えを強調した。冷静沈着、理論派として知られる斉藤氏がこのように断言するのは珍しいが、その反対理由は多くの国民の皮膚感覚と同じだろう。

7月5日に投開票された東京都知事選は、人々が密集する「密」をつくらないために選挙運動は極力抑制され、史上2番目の得票で圧勝した小池百合子都知事は「オンライン選挙」に徹した。投票率は4年前の前回に比べ5ポイント近く低下し、盛り上がりに欠けた。「なるべく外出を控える自粛生活をしている中で、とてもではないが選挙に注目できるほど余裕はない」(調布市に住む40代の男性会社員)との声も漏れた。

公明党には別の事情も存在する。支持母体の創価学会はコロナ禍で従来のような積極的な選挙運動を控えざるを得ない。支持者を大量動員するイベントを回避した結果、6月7日投開票の沖縄県議選では2議席も減らしている。7月2日には次期衆議院選挙で擁立予定の公認8人を発表し、選挙準備を急ぐ構えを見せるものの、比例九州ブロックの遠山清彦財務副大臣を神奈川6区に、東京12区には現職の太田昭宏前代表の後継として比例北関東ブロックの岡本三成衆議院議員を擁立予定のため「新しい選挙区で浸透するまでの時間は必要」(公明党関係者)というのが本音でもある。

■解散総選挙なら「今年秋」一択…安倍総理も本気

とはいえ、背に腹は代えられない状況に追い込まれている安倍官邸に余裕はなく、その道は「自民党」の視点に立ったものになる。衆議院議員は来年10月に任期満了を迎えるが、安倍総理の自民党総裁任期はその1カ月前の来年9月末までとなる。

直前の夏には1年延期された東京五輪・パラリンピックの開催があり、少なくとも「2021年7~9月」に解散総選挙を実施するのは現実的ではない。残る選択肢としては、①今年秋②年末③年始④来年4~6月の4つというわけだが、世界各地に感染拡大したコロナの「第1波」を考えると、もし冬に「第2波」が到来した場合には②③④の選択肢は困難となる。つまり、コロナ禍で断行できるカードは事実上「今年秋」に限定されるといえる。

安倍総理は2012年末の総選挙で政権を奪還し、2014年末、2017年秋に解散総選挙を断行。参議院選挙と合わせれば国政選挙で6連勝してきた。支持率が低下傾向にある中でも国政選挙での勝利をテコに政権を再浮揚させてきた成功体験がある。コロナ対応で支持率が急落し、与党も霞が関官僚も面従腹背するようになった中でレームダック化を避けるためには「早く信を問うべき」(官邸関係者)という衝動にかられるのは理解できる。

選挙時期が固定されている参議院選挙を除けば、過去3回の総選挙はいずれも秋から年末までの間に実施され、たしかに安倍総理と相性は良い。「今年秋解散」を進言している安倍総理の盟友である麻生太郎副総理兼財務相は最近、安倍総理と10回近くも会談を重ねて解散戦略を練っていることから本気度がわかる。

■麻生氏が「秋解散」にこだわる理由

麻生氏が「秋解散」にこだわる別の理由には、自身の苦い経験がある。麻生氏は総理就任直後の2008年秋、解散総選挙を断行する準備に入ったが、世界金融危機への対応や自民党の議席減が予想されたことから断念。だが、その後も麻生内閣の支持率は思うように回復せず、翌年夏の都議選で自民党は惨敗し、直後の総選挙で民主党に政権交代を許した。

2008年秋の解散にストップをかけたのは自民党選対幹部だった菅義偉官房長官で、その頃から政局勘という点で信頼されないようになった菅官房長官は解散戦略をめぐる相談相手から外され、今秋総選挙に慎重な人物への根回し役は麻生氏が担っている。

だが、公明党の斉藤氏にその提案は拒絶され、安倍総理に進言したとされる菅官房長官や二階俊博自民党幹事長の更迭も党内に激震を与える結果を招いている。そもそも、斉藤氏との「会談」だけではなく、解散案件という重要な「内容」が漏れるのは異例中の異例で、公明党の拒否感は強いと見て良いだろう。公明党の山口那津男代表は「まだブルペンに入っている状況ではない」と断じている。

■総選挙間近にコロナが急拡大すれば大逆風は必至

もちろん、都知事選と同じ7月5日に投開票された都議補選で、自民党が全4選挙区で勝ったことを踏まえれば、いざ総選挙を迎えたとしても自民、公明の与党が勝利する可能性は高い。政党支持率は多少下がったとはいえ、自民党は野党第1党の立憲民主党を大きく引き離しており、2009年の時とは状況が大きく異なる。都知事選の結果を見ても、野党がまとまらず、大きな集票能力が見えない中での総選挙実施は与党に有利に働くだろう。

しかし、「今、それか?」である。麻生氏の解散スケジュールに欠けているのは、コロナの「第2波」到来時期だ。ウイルスは政局に左右されることなく、今冬よりも前に訪れる可能性がないとはいえない。今の状況だけを見て判断を下し、仮に総選挙間近に感染急拡大した場合には大逆風が待ち構えることになる。

出口の見えないコロナ禍では、いかなる選挙にもリスクはつきまとう。来年に感染状況が好転していると断言できる政治家はいない。そうであれば、再び政権を失いかねないリスクを負う覚悟はあるのか。コロナ禍で国民を不安にさせない選挙は実施できるのか明らかにする必要がある。

■本当にやるべきことは総裁選だ

そもそも自民党の視点に立った信を問う方法ならば、「別の道」があるのではないか。それは、解散総選挙よりも前に「自民党総裁選」を実施することだ。安倍総理や麻生財務相が解散総選挙を断行したい理由は、落ち込んだ自民党や内閣支持率の低下を反転させ、求心力を高め、力強く政策を遂行していくことにあるのだろう。

それだけの理由ならば、コロナ禍のリスクは極力控えて「政治空白」を生まない総裁選を単にやれば良いだけである。総裁選は与党に許された「メディアジャック」が可能なツールで、たとえオンライン選挙であっても自民党に国民の注目が集まり、候補者と支援者が限定されるため「密」をつくらない工夫は可能だ。

現在のルールでは「安倍4選」ができないようになっているが、それは安倍氏が再出馬できるようルールを変更すればクリアできる。人材が豊富な自民党の複数の候補者による総裁選で安倍氏があらためて勝利すれば求心力も支持率も回復するのではないか。

暴論といわれるかもしれないが、総裁選を実施した上で可能である状況ならば解散総選挙を断行すれば良い。今、やるべきは「政治空白」や「密」が心配な総選挙ではなく、自民党総裁選による危機に対応できるリーダー選びであるということをおススメしたい。

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麹町 文子(こうじまち・あやこ)
政経ジャーナリスト
1987年岩手県生まれ。早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーランスとして独立。プレジデントオンライン(プレジデント社)、現代ビジネス(講談社)などに寄稿。婚活中。

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(政経ジャーナリスト 麹町 文子)

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