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あなたVSダイエット「7000キロカロリー余るごとに体重1キロ増」

プレジデントオンライン / 2020年7月25日 11時15分

PIXTA=写真

■「糖質制限」では主食より気をつけるべき糖がある

夏を迎えて薄着の季節となり、二の腕やおなか回りのぽっこりが気になるかもしれない。同じものを食べても若い頃は太らなかったのに……と感じているなら、その感覚は正しい。食べたもの(摂取エネルギー)が変わらなくても、エネルギー消費量が加齢とともに低下しやすいのだ。

『38歳からはじめたい リカバリー美容事典』(朝日新聞出版)など、アンチエイジング関連の著書を多く持つ吉木伸子医師(よしき皮膚科クリニック銀座院長)によると、「年とともに体内で糖を燃焼しにくい体になる」という。

「ダイエットというと運動で、体を動かすと脂肪やカロリーが燃焼するというイメージがあるでしょう。間違いではないのですが正確ではありません。体を動かして最初に燃焼するのは、脂肪ではなく血液中にある糖(=血糖)なのです」

血糖は筋肉や脳を動かす、車でいうと“ガソリン”の役割を果たしている。運動するとまずは血液中の血糖が燃焼し、血糖値が下がるのだという。しかしあまりに血糖値が下がると倒れてしまうため、その手前で、体はほかのところから血糖を補おうとする。それが肝臓の中にあるグリコーゲン。“糖のもと”である(そう、一粒で300メートルと打ち出した、あの栄養菓子の由来はここからきている)。そしてグリコーゲンを使い尽くすと、やっと脂肪燃焼という流れに。

つまり運動してすぐに脂肪が燃えるというわけではないのだ。また、腹筋をしたからといっておなかの脂肪が燃焼するということもなく、脂肪燃焼はあくまで全身的に起こってくるという。

■どこかの部分の脂肪を減らすということは不可能

「運動でどこかの部分の脂肪を減らすということは不可能に近いのです。それでは運動や体を動かすメリットは何かというと、“糖を効率よく使える体”になるということ。年を取り、運動する習慣がないと、糖をうまく取り込めない、つまりは血糖値の下がりにくい状態になってしまうのです。余った糖は脂肪に変わり、やがてメタボや中年太りにつながります」(吉木医師)

「体を動かす」とは、「血中の糖を消費する」こと。こまめに動くことで余分な糖を少しずつ消費でき、その習慣を続けていくと、「糖を消費しやすい体(=基礎代謝が高まった状態)」になるというわけだ。血糖を取り込む働きとしてインスリンが知られるが、年とともにこの働きが誰しも自然に悪くなり、基礎代謝が低下しやすくなる。

基礎代謝とは呼吸や体温維持、臓器の働きなど生命活動を維持するために、じっとしていても消費されるエネルギーのこと。この基礎代謝量と日中の活動や飲食の消化などで消費するエネルギー(活動量)を合わせたものが「エネルギー消費量」だ。食べ物からの摂取エネルギー(カロリー)が、エネルギー消費量を上回れば「太る」ことになる。健康検定協会理事長で、管理栄養士の望月理恵子氏が説明する。

自分の基礎代謝は同年代の平均より高い?低い?

「日々余ったカロリーが積み重なって、およそ7000キロカロリーで体重が1キロ増と考えられています。体重60キロの男性の場合、一日の基礎代謝量の推定値は20代で1440キロカロリー、50代になると1290キロカロリーになります。その150キロカロリーの差が“余分”ということ。この場合、7000キロカロリーに達する(体重が1キロ増える)のは、単純計算で47日です」

反対に7000キロカロリーを1カ月で落とすには、一日あたり7000÷30(日)=約230キロカロリーを減らせばいい。「ごはん1膳(普通盛り)、肉まん1個、ドーナツ1個分、ビール500ミリリットルなどが230キロカロリーに相当します」と望月氏。

しかしここで「カロリー」だけに目を奪われないように気をつけたい。

なんとカロリーが高くなくても、糖を取りすぎることで血糖値が急上昇し、脂肪に変えて蓄えられる(太る)仕組みが私たちの体にはあるのだという。再び吉木医師の話。

「肉を食べると肉がつく、と考える人が多いようです。しかし、肉(脂肪)に変わるのは肉よりも圧倒的に甘いもの、つまり糖です」

糖に気をつけるというと、近年の流行であった「糖質制限」の影響からか、「主食を削らなければ」と思う人が多いようだ。だが糖は糖でも、主食(炭水化物)に含まれる糖よりも、ジュースや菓子、加工食品に含まれる添加糖(ブドウ糖果糖液糖、スクラロース、異性化糖など)のほうがよほど危ないと知っておきたい。

■夏は汗をかくのに太りやすい魔の季節

「主食には糖質とともに食物繊維が含まれていて吸収がゆるやか。一方でコーラやソーダなどの飲料は糖が過剰なうえに、吸収もされやすい。添加糖は肥満や糖尿病、老化の原因になりやすいと考えられています」(吉木医師)

夏は清涼飲料水のおいしい季節だが、糖が添加された飲み物はダイエットだけでなく健康の観点からも避けたほうがいい。

ところで贅肉には二種類あり、外からつまめる「皮下脂肪」と、体の奥にたまって外からつまめない「内臓脂肪」がある。体に悪いのは内臓脂肪のほうで、これも糖質の過剰摂取が大きな要因だ。内臓脂肪型の肥満は、肥大化した脂肪細胞が血栓を溶けにくくするPAI-1(パイワン)など体に有害な悪玉ホルモンを分泌しやすい。

「男性に多い、胃のあたりからおなかがぽっこりと出る肥満が、内臓脂肪です。CT検査で測定される内臓脂肪面積が100平方センチを超える人は生活習慣病リスクが高まるというデータがあります。内臓脂肪面積100平方センチに相当する目安として、国内では腹囲が男性85センチ、女性90センチを超えるかどうかが特定健康診査(メタボ健診)の診断基準になっています」(望月氏)

肥満の防止・改善のためには、まず飲料を中心とした吸収されやすい糖を過剰に取らないことと、そして糖を消費するためにこまめに動くことが必要。運動によってエネルギー消費率が高い「筋肉量」が増加すれば、基礎代謝量がさらに上がることも期待できる。

「硬いものをよく噛んで食べることも交感神経を刺激して消費を高めますし、温かいもの、香辛料のきいたもの、カフェイン入りの緑茶やコーヒーを飲むこともエネルギー消費を高めます。運動と併用して、消費が高まる飲食習慣を取り入れると、ダイエットの効果が高いでしょう」(同)

これからの時期は、意外にも太りやすい季節。体温維持にエネルギーを使わないため基礎代謝量が落ち、活動量も減りやすく脂肪がつきやすい。糖質の代謝には豚肉などに多く含まれるビタミンB1が必須のため、ソーメンなどの糖質主体のあっさり食もダイエットにはNG。カロリーや糖は少なめに、栄養素はタンパク質を中心に幅広く。そしてこまめに動くことで、痩せやすい生活スタイルを習慣にしたい。

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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)など。

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(ジャーナリスト 笹井 恵里子 写真=PIXTA)

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